〈25〉
12月にもなるとクラスの住み分けは落ち着き新しい人事異動などはほぼ見られなくなる。
外はけっこう激しい雨なので外でやる部活のいくつかが中止になっていた。
美樹の取り巻きが教室の真ん中に陣取り机の上に座って元気にでかい声で談笑している。そして彼らの中だけで通じるらしい言葉があり、それを言うとみんなで礼儀的な笑いがおこっている。彼らは5人ないし6人そろわないとこういった行動はとらず、友情で結ばれている集団ではなく徒党を組んでいるだけの空虚さが目立った。
こういう徒党を組んだ時の彼らは森本君がたまに教室に入ってくれば「おう!森本!」と俺、森本とも友達なんだぜアピールを欠かさず、森本君の「おう…」という乾いた返事にもそれと気づかず満足気である。
女AB(もちろん名前を知っているが別に言うほどのものじゃない)はとにかく美樹と同じ空間にいた実績を作るべく必死であり、その後は地元の知り合いにこの事実を吹聴するに違いない。小、中学生時代の同窓会で2階級特進を狙っているのが明白である。
彼女らの人生は結婚すれば夫の年収を絶対勝てそうな相手と競い、子供を産めば子供の学歴を競い、そうやって、存在しないヒエラルキーを永遠に追い続けるのだろう。
とにかく彼らの言動の1つ1つにこのようなヒエラルキーへの露骨な執着が見て取れた。
こういうヒエラルキーにこだわる人たちを見ると鶏がトサカの大きさで順位が決まるような原始的なレベルであることを感じざるを得ず、森本君は鼻から相手にしていないといった風で、金井君もクラスメイトという関係以上の接点は持とうとしていないのがよく分かった。
金井君もこういうところはけっこうはっきりとした線を引くみたいで、成績は悪いがなんだかんだで人間のレベルではあるらしい。




