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〈13〉

 3時限目は教師の病欠で自習だった。

 休み時間に私と美樹が話しておりそこへ日直の金井君が伝えに来た。

 「屋上にでも行く?」と美樹が提案して私と金井君をちらっと見て、あなたとあなた、と視線で指名する。

 「うん、行こう」と私は小さくつぶやき

 「おう~ん」と金井君は「おう」と「うん」の中間みたいな返事をした。

 こういう時、美樹の動向はクラス全体が意識するが、誰と過ごすかは常に美樹に選択権があり、もともと私が話していて、そこに伝えに来たのが金井君なので一応「自然な流れ」と言えなくもなかった。

 階段を3人で上がるとき森本君とすれ違う。

 「次は天文学なのか?」と森本君。

 「自習」と私。

 「じゃあ俺も行く」

 「授業は?」

 「たまにはいいや」とサボりを宣言してついてきた。

 成績もよく自己管理のできる森本君ならサボっても成績にまったく問題ないから心配ないが、金井君がサボると言ったら説教では済まない。「こういう時普段からコツコツとやってる人は自由が利くんだぞ分かったか金井!」とまだ何もやってない金井君をやっぱり心の中で説教して落ち着いた。

 屋上の真ん中に4人で座り、森本君はすぐあおむけになる。ポケットに手を突っ込み、足は組んだり組まなかったりしてベストな姿勢を探している。

 空は快晴でたまに風が吹くと肌寒いが、日向にいれば気持ちよかった。

 金井君はあぐらに売店で買った紙パックのジュースを吸っている。私と美樹は女の子座りで、美樹は時折吹く風に髪を抑えたり整えたりしている。

 「まだ三島由紀夫読んでるの?」と森本君が空を見ながら聞いてきた。

 「読んでるよ金閣寺」と私。

 「ああいう暗いのよく読めるな」

 「あんた読んでないでしょう?なんで暗いってわかるのよ。別に暗くないよ」

 「ああいうのは大体暗いんじゃないの?てゆーか文学なんてよくわかるな」

 「あたしも別にブンガクなんて言われると難しいしそんな深いものがわかってると自分でも思わないけど一文だけとか、ここの表現がいいなあ、程度のがあるからそういうので読んでるだけよ。全体で何が表現されてるかまでなんてとてもわからない。でも読むごとに新しい発見がないわけじゃないの、なんか不思議だけど」

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