始り
Chapter 0
平成から令和に変わったというのに、自分だけが
この「社会の枠組み」から外れていると自覚するまで、
数ヶ月を要した。
上記に挙げた「社会の枠組み」とは、一般的に家庭を持ち、
安定した雇用のもと、一社会人としてを指すこととする。
その場合、自分自身は家庭+雇用は確保出来たものの、
会社組織に囚われ、家族という枠組みに囚われ、
本当の自分を失ってしまった。
つまるところ、俗に言う鬱病になったのだ。
そのせいもあり、妻の勤務先変更やら、自身の所属部署やら
たくさん迷惑をかけてしまった。
只々、申し訳ないと思う気持ちと、自分自身について思案
する日々。
朝起きれば、朝食を用意し、妻を見送った後、子どもを保育園に預ける。
その後、夕飯の支度をするのが専らの役割となった。
その間の余暇は、やる気があれば筋トレやら、アニメやらを漁ってみたりし、自己変容に繋がる「何か」を模索する。
よく、なろう系では異世界に飛んで、大活躍!
みたいな話があるが、現実は甘くないなぁと、今日も一人ごちる。
今の会社についての不満は特に無いので、このまま休職を一つの機として、ここにしたためた次第。
世の中にはインターネットで稼ぐ手段を徐ろに展開し、
自己顕示欲丸だしのインフルエンサーもどきには辟易しつつも、やっぱり羨ましい。
稼ぐ才能が欲しいのか、あるいは平凡な家庭を再構築したいのか、今時点ではどちらも属さない。
今の自分と過去の自分を否応なく見せられる妻子にとって、
これ程までに酷な事は無いだろう。
ごめんねと一言付け足すようになったのはこのときからだ。
毎日繰り返す日々の中、夢ではなろう系を卑下しつつも、
みてしまう事がある。
例えば、妻子がいない世界線の自分が、ひょんなことから
異世界へ!
なんて、、あったら良いなぁ。
ファンタジー物のゲームは少年時代にしこたまやって来たからか、夢の中ではそれが体現出来るって寸法だ。
自負する訳ではないが、完璧主義のため、最初の町で出来得る限りのレベルアップをしてから進む。
そうすることで、理不尽なまでの強さを敵に惜しげもなく
見せつけ、優越感に浸るのだ。
ゲームで出来る事が、現実で出来ないのかについては、
できれば触れて欲しくは無いが、そこは、どうかお目溢しを。
あぁ、また朝が来てしまう。
出来ることならそのまま夢の中で過ごしていたい。
自分の好きなものに囲まれ、自己を認めてくれるものだけの世界が欲しい。
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そんなあり得ない夢を心の隅に追いやり、目を覚ますと、、
広大な原野が、、
Chapter1へ続く。