面白い道具屋さん
「すみません。グリフ・バンドルさんからのお届け物です」
「良く来たね。あれっ君3つも持ってきたの!それは重かっただろうに今変わるよ」
僕は丁寧にゆっくりと鞄を置く。グリフさんは割れないとは言ってたけど念には念を入れて。
「よし奥に持って行くね。よし、重っ!3つとも満杯に入ってるじゃん。これ運ばせたのあの人、ダメでしょ」
「いえ、僕がやりたいってお願いしたんです」
「そう?ならいいんだけど。それと他に何か用事はあるかい」
「えーっと魔力を覚えるため?に使う魔石ってありますか」
自分でも言ってることに疑問があるんだけど魔法を覚えるじゃなくて魔力を覚えるってどういうことだったんだろう。でも確かにフィーリアさんは魔力を覚えるのに便利って話してたよね
「うーん。あんまり心当たりがないななぁ。あっ、もしかしたらあの時のかもしれないちょっと待ってて」
何かを思い出したようでバタバタと小走りに店の奥
へ入って行く。どうにか手がかりがみつかりそうでよかったよ。ていうかあの鞄3つも両手で抱えてあんなに動けるのか、受付の人といいなんかこの町の人みんな強そうだけどこれ僕が弱いだけの可能性も出てきたな。もっと体を鍛えないと
「ごめんごめん待たせたね。たぶんこれのことだと思うけど、この前に魔法使いの人が1番安い属性魔石を大量に買っていった時に何に使うか気になって聞いてみたら練習用だって言ってたのを思い出したんだ」
「そうだったんですね。あのそれってひとついくらぐらいしますか」
「これはバラ売りできるようないいもんじゃないよ。属性にもよるけど火と水なら5個1メニーそれ以外なら10個で1メニーって所じゃないかな」
安っ、まだ基準が少ないから確定は出来ないけど5000メニーは結構な大金だったんじゃないかな。
「火と水の属性だけ個数が違うのはなんでですか」
最近の僕って聞いてばっかりだな。でも情報は多く集めないといけないから仕方ないよね。こういう時恥ずかしくて聞けなかったら何も意味ないからね
「需要の問題だよ。火と水はそれぞれ火種にしたりちょっとした飲み水になったりとかできることがあるんだけど他の風と雷と土はこの大きさじゃ使い物にならないの。もっと大きくなったら便利だけどね。それでどれくらい必要なんだい」
魔石の属性はその5種類かでも深層には特別な魔力があるって聞いたしそれ以外にも魔力はありそうだな。あれ、でも魔石で魔力を覚えるのならほかの魔石もないと覚えられないんじゃないかな、そこはどうするんだろう。まぁこれを考えるのは後にして
「じゃあとりあえず20個ずつください」
「20個か、結構多いね。僕からするともし間違ってたら心が痛いんだけど、うーん君は初めて来たし最下級のなかでも売れない方の属性魔石も買ってくれたし割引してあげよう。でも返品はしないでね。火と水が8で他が6でしょ、まぁ合わせて10メニ―でいいよ」
「いいんですか!ありがたいです。それでお願いします。最後になんですけど、どんな魔法にも使えない純魔石はあるでしょうか」
自分で言っていても申し訳なく感じるなぁ。もっと詳しく教えてもらえばよかったよ。初めての魔法で興奮してたから無理かもだけど。
「なんかクイズでもやってる気分になってきたな。でもまぁ今回はすぐにわかったよ。あの不良在庫のことでしょ、あれには困らせられてるからね。たくさんあると思うけどとりあえず持ってくるね」
純魔石は買ったら高いけど店の人に言ったらもらえるといってたよね。どういう意味なんだろう、パン屋さんのパンの耳みたいなものなのかな
「たくさんあると思ったんだけどさ、処分を頼んだのが最近だったらしくてこれ一個分しかなかったよ」
「あのこれってどういったものなんでしょうか」
「これは純魔石のカケラって言ったら伝わりやすいかな。魔石は大量に買う場合は箱買いするんだけどその時小さいものが紛れてるんだ。運搬の過程で割れたりもするしこういうのは処分しないといけないけど魔法使いの人しか消費出来なくてしかも時間もかかるらしくてね。倉庫いっぱいとなると結構な料金を取られるんだ。だから持っていってくれるならありがたいよ」
「そうなんですね。でも僕たくさんの魔石を入れる鞄を持ってないことに気づいたんですけど」
「あっそうなの。うーんどうしよっかなぁ、普通に売ってもいいけど君は純魔石の処理してくれるからなー。よしこうしよう!今、君100メニー出せるかい」
「えーっと出せますけど、、、」
「あーっ負けたよ。賭けは君の勝ちだよ。魔石と鞄全部合わせて100メニーでいいよ持ってけ泥棒っ!」
「えっ、えっ、えー!どういうことですか」
勝手にに1人で納得して盛り上がらないでよ。でも安くしてくれるのならいいのかな。
「この鞄は元々魔石を持ち運ぶためのものだから安全に保管できると思うよ。属性魔石が混ざらないように複数のポケットがついてるからね。でもこれからも僕の店にきてくれないと困るからね。その鞄、僕が使ってたけどまだ日が経ってないし結構いいものなんだよ。純魔石の処理してくれるから安くしたんだからさぁ。魔石の入荷は頻繁にするから絶対に来てよね!」
「はい。たくさん練習して無くなったらまた来ます」
なんか色々あったからよくわかんなくなっちゃったけど一件落着だよね。でも鞄を4つも持つのは空っぽなものがあるとはいえ邪魔だな。早いとこ戻って返しに行こう。
「グリフさん依頼を無事に終わらせてきましたよ」
「案外早く帰ってきたな。それによく運びきったな根性あるじゃねぇか。」
「はい!それでこの鞄を返しにきました」
「おう、ありがとさん。あれ、お前さん鞄1個増えてねぇか」
「これは魔石を買うときに僕が入れるもの持ってなかったから店の人が使ってた鞄を90メニーで売ってくれたんです」
「そうなのか。それちょっと見せてみな。中身は純魔石か随分と小せぇな、で他は属性魔石が5種類と。また随分と安く売ってもらえたな、珍しい素材は何も使ってねぇが魔石を運ぶための機能と拙いけど加工までしっかりしてやがる。あいつのことを考えると元の値段は倍ぐらい、まぁつまり半額だな」
「えっそんな割引きしてもらえたんですか!」
「そうだな。中古を踏まえても状態はいいからいつものながら引きすぎだと思うが元の値段でも少し安いのと加工の仕方を見ると新人の試作品ていうところか。あいつは稼いでやがんのにまた妙なもの使ってんな」
「あの人はどういう人なんですか。僕の時は賭けに負けたからって言って値引きしてもらえたんですけど」
「あいつは自分が負ける賭けが好きなただのお人よしだ」
「面白い人ですね。あっでも名前は聞いておきたかったです」
「あいつは店名そのまんまだぞ。ハース・リーフっていう名前だからな。それよりも今はお前さんの話だ。依頼を無事に達成しておめでとうそれでどんな武器が欲しいんだ?」
「えっもう武器を貸してもらえるんですか。仮登録の依頼はもうおわりですか」
「お前さんなぁ、今やった仕事はかなり大変な仕事だぞ。可能性は低いが死ぬかもしれないし、そもそも、、、、、はぁお前さんにもいろいろあるだろうから何も言わねぇぞ。自分で決めることだしな。それでもよぉ、きっかけがないと始まるものも始まらねぇだろうが」
「はい。すみません。」
いろんな人に心配されて応援してくれてるのに決めれない自分が情けなくなってくる
「おいおい、そんな顔すんじゃねぇよ。迷いは誰にでもあるんだ。思い詰める必要はないぜ。とりあえず武器は短剣作っとくからよ、明日にでも取りに来てくれ。もっと早くできるがそっちの方がお前さんもいいだろ」
「そうですね。あっちょっと待ってください。短剣が欲しいってなんでわかったんですか」
「お前さんの背丈に1番あったものが短剣だからな。あとは宝晶兎の傷から判断しただけだ」
「それだけでよくわかりましたね。それで合ってます。今日はありがとうございました」
店を出てこれからのことを考える。そういえば僕って顔に出やすいのかな。前もよく言われた気がする。
「あんたは顔に出やすいんだから、わからない訳ないでしょう」
「蓮のそういう素直な所はいいことだから気にしなくていいと思うよ」
「レンちゃんは考えてると顔に出るし、そもそもどうせ最後には勢いで行動するから悩んでも意味ないよ」
あれっ、、誰に言われたんだっけ。他にも言われたことがある気がするけど、、、また頭が痛いっ、なんか新しい症状でも増えたのかな
「キュウー?」
「あっごめんね。自由な時間ができたから今なら相棒と契約できるよね。まずは方法を探さないとだけどとりあえず人目つかないところがいいか」