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After [World]アフターワールド  作者: 白湯
落としものは川の向こうに
3/21

違う出会い

「おい、坊主は大丈夫か?」


「宝晶兎がこんなにいっぱい。なんでだろう?」


僕の前に現れたのは二人の男女だった。片方は弓を持っている長身の男の人で森に溶け込むようになのか暗めの服を着ているのが特徴的だった。もう一人は僕と同じくらいの背丈でローブを身にまとっていて大きな杖を持っている。魔法使いだということがわかる見た目な女の人だった。


「・・はい。大丈夫だと思います」


なんとか言葉を絞り出すと、相棒が服の中から飛び出していった。


「ちょっと勝手にいかないでよ!」


「キュウ―ン、キュウ―ン」


相棒は僕の言うことなんか聞かずに楽しそうに女の人の周りをまわっている。


「何なんだコイツ、敵意はなさそうだけどよ」


「うん。この子がいるから宝晶兎が集まったんだね。」


相棒のゆうことの効かなさに頭を悩ませていると二つの人影が近づいているのに気づいた。


「おーいお前ら先に行くんじゃねぇよー」


「すまん、いつもと違う気配が多くてな」


「二人ともおそすぎ。」


「お二人の反応が速いだけですよ」


どうやら置いてかれた二人の仲間がやってきたみたいだ。一人は一目で戦士だとわかるぐらいガタイが良く大きな斧を持っている。もう一人は白い甲冑を全身に身につけて、僕より大きい盾と両手剣を背負っている。でも甲冑の形と声の感じからして女の人だと思う。

「あれっ、その子どもとこの生き物は何ですか」


「この子たち、正確にはこの子の精霊に惹かれて宝晶兎が集まってきたみたい」


「お前精霊だったのか」


「キュキュウ」


そんなことは説明に何も書かれていなかった。やっぱりあそこの情報は不親切すぎる。


「君。知らなかったの?」


「そんなことよりよぉ、お前さんはどうしてこんなところにいたんだ?」


「あっ、えっーと行くところがなくて、町に向かうために森を抜けようしたんですけど迷子になりました。」

うーん一応ウソはついてないんだけど大丈夫だよね。


「ふーん。」


「まぁ、いいじゃあねぇか」


「それより皆さんこの後はどうしましょう?」


「つってもよぉ、おいていくわけにもいかないだろ」


「そうですね町まで連れて行きましょうか」


「そうだね。じゃあとりあえず帰る準備するよ。」


「おう!じゃあ俺たちは周りの警戒とかやっとくから間違っても戦闘に参加すんなよ」


「またいつもの、うるさい。今回はこっちに任せて。」


「今回はって、毎回敵を見つけたら荷物放り出して戦いに行くのやめてくださいね」


それぞれが僕たち2人を中心になるように離れて配置についた。そして女の人が魔法を唱えた。


浮遊物(フロー・ブリング)


するとウサギが浮かび上がって1か所に集まり少し後ろを追従するようになった。


「おぉー魔法だ!」


「あんまり珍しい魔法じゃないんだけど。もしかして見たことないの?」


「はっハイ。そうですけど、」


「・・・・・・」


会話が続かなくて、気まずいよー。他の人たちに助けて欲しいけど離れていっちゃったし、どうしよう。うーん、そういえば僕は魔法使えるのかな。


「えーと魔法ってどうすれば使えるようになりますか?」


「練習したら誰にでも使えるようにはなると思うよ。才能とか魔力の違いはあると思うけど。」


「僕もですか?」


「頑張ったらね。練習には魔石を使ってみたらいいよ。魔力を覚えるのに便利だし属性魔石とかだったら値段も安いから。特に必要なのは純魔石なんだけど高いから難しいと思う。でもお店の人にどの魔法にも使えない純魔石くださいって言えば貰えるよ、たぶんだけど。」


「ありがとうございます!頑張って練習します」


やったー。すごい役に立つ情報を教えてくれたよ。この人すごいいい人じゃん。でも、こっちから話振らないと全然会話してくれない。えぇと何か話題を考えないと。


「そういえば皆さんはここで何をしているんですか」


「私たちはこの町の冒険者ギルドに所属して


「冒険者!冒険者ギルドがあるんですか!」


「そ、そうだけど。これも知らなかった?」


「知ってますけど実際には見たことがなかったから」


「それでね。私たちは魔物退治とかよりこの森の動物を狩る活動を主に今はしてるかな。」


「なぜ動物なんですか」


「今。動物のことなめてたでしょ。あんまり油断しないほうがいい。この宝晶兎も動物だけどこんなのじゃなくて、魔物より強い動物もいる。」


「こいつら動物なの!」


ていうかこんなのって僕こんなのに結構苦戦してたんですけど。魔物より強い動物とかどういう定義で魔物と分けてるんだろう。


「あっ、この森にも魔物が出るんですか?」


「うん。でるよ。でも森のもっと奥からだね。正確にはこの反対の方向にある川の向こう側からが魔層だね。」


「魔層ですか?」


「そう。魔層地帯。魔力のたまり場でたくさんの魔物がそこで生まれてる。魔物は大体がそこで生まれるしめったにそこから出ない。」


「境界があるからこの森の奥だけが魔層で魔物がいるけど、こっちは普通の森なんですね」


「うーん。ちょっと違う。本当だったら魔層は境界線なんてないあやふやなもの、普通ならこの森一帯が魔層化してもおかしくない。そうならないのはこの森が深層地帯だから。」


「魔層と何が違うんですか」


「1番違うのは魔物がいないこと。あとは何だっけ。深獣とか森の主みたいなのがいるけど、まぁ似たようなもの。ていうかこの子深層出身じゃないの?」


「キュウ?」


急に話の中に自分が出てきた相棒は首をかしげている。たしかに僕と一緒に生まれたから深層出身かもしれない。ていうかいつまでそっちにいるの。


「この子とは生まれた時から一緒にいるんですけど僕もよくわかってないんです」


「そうなんだ。でも精霊とは契約しといたほうが安全だと思う。わたしは精霊術師じゃないからやり方しらないけど。まぁ今の状態でもその子強いから守ってもらったらいいよ。」


その言葉で相棒は何かを思い出したかのように僕に突っ込んできて頭をたたき始めた。


「キュイー!キュイ―!」 「痛いよ、ちょっと何すんのやめてってば!」


「フフフ。二人とも楽しそう。」


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