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After [World]アフターワールド  作者: 白湯
落としものは川の向こうに
20/21

過去の因縁に溺れて 六話


全員が予想も出来なかった光景に口をひらけずにいると、風穴を開けられた案山子がドサっと音を立てるように崩れて辺りに響いた。


それはこのどうしていいかも分からない静けさに包まれた空気を少しほぐしてくれた。そしてなんとかして空気を戻そうと言葉を絞り出す。


「えーっと、これはどういう結果だったんでしょうか、、、」


「ああ、俺の時は何も起こらなかったからなぁ。今回のはどうなんだろ。グラナはどう思う」


「俺に聞かれても魔法使いは専門外なんだが。まぁ一つ言えるとしたら異常なのは確かだな」


「私もそう思います。本当ならフィリさんに話しを聞きたいところなんですけど」


けど?そう言われて魔法のことなのに不思議と黙っている師匠の方を見てみると早口で何かを呟き口元に指を当てて深く考えている師匠の姿があった。


「ああ、この状態だと話しかけても無駄だな。少し放っておくか」


「魔力の使い方を教えようかあくまで戦士としてのだけど」


「それでもいいですよ。よろしくお願いします」



「どういうこと。魔力が阻まれるでも通るでもなく魔法が発動した。そんなことありえるの、前例は知らないし文献でも見たことない。


「まずは武器と戦い方を教えてくれ。複数あるなら候補でもいい」


もしかしたら素質があって天賦の才能を持ってるのなら可能かもしれないけど、それでも説明できない。発動したのが私の魔法じゃなかった。あんな魔法を発動しようとしてない。


「武器はある程度は使えるんですけどやっぱり短剣が僕に合ってると思います」


じゃあレンが魔法を使ったっていうの?レンは嘘を言っていて本当は魔法を使えた?さすがにそうは思えないし、そもそも魔法使いの訓練を受けたんだとしたら魔力が弱すぎる。なら、レンが魔法を使えることを知らなかったのかも。


「まぁ、小柄も活かせるしな。あれ他にも木刀2本持ってなかったか」


そういう事例ならたまに聞く。魔法使いの家系とかでよく親の魔法が遺伝することはある。それでも受け継がれるのは特殊な固有の魔法だけなはず。あとその魔法に合わせた専用の魔力、つまり親と同じ魔力を身に宿す。私に言わせれば応用の効かない変に尖らせた魔力なんだけど。でもレンにはそれが当てはまらない。魔力は生まれたばかりと言っても遜色ないぐらい自然だしさっきの魔法は特別でもなんでもなかった。この仮説も違うかな。


「練習用みたいなものですかね。いつもは2本使ってたので」


あとは種族と文化ぐらいかな知らない間に魔法を使えるようになるのは。それだと魔力に癖も違和感もないのはおかしい、隠してる様子もなかったし。うーんどうやったら魔法を訓練もしないで、いや、逆かな。魔法を受け継いだから訓練させなかった。もっと正確に言うなら魔力を元に戻す教育を受けていた。無自覚に魔法を覚えさせることは無理でもそれぐらいなら可能。そうじゃなくてもこの近くに住んでいたら何もしなくても周りの純魔力に影響を受けて変化する。


「いつもと違うなら変えたほうが、でも魔法使いって片手空けたほうがいいのか。俺じゃわからん」


でもこんな面倒なことするってことはレンを魔法に関わらせたくなかったってことだよね。だとしたら私はどうすればいいの?本当に魔法を教えていいのかな。私は、私は、



「ししょう。ししょう!しーしょーう!」


「あっえっなに。」


やっとししょうの視線がこちらに向き僕を捉えた。


「何じゃないよ、一人でずっと考え事して。ししょうが僕に戦い方教えてくれるんでしょ」


その言葉を聞いたからかもしれない。ししょうの目つきが変わった。笑っているように見えるでも涙目で少し泣いてるようにも、口元にはなんの変化もないし、あれっ元に戻ってる。


なんだったんだろう。


「結局こうなっちまったな」


「フィリさんの考え事が終わっただけでも良しとしましょう」


「そうだな。フィリ、レンの武器についてだ。手をあけておいた方がいいのか。それによって色々と変わってくるだろ」


「あー、それなら片手はあけておいたほうがいいかも。刻陣石を使う前提だから今回は邪魔になる。」


「なるほど。それなら片手の練習をしておかないとな。2本使えるなら一本も変わらんと思うが一応な」


「私が言うのもなんですけど、そういものじゃない気がするんですけど」


「そんことどうでもいい。それより俺はさっきの結果が気になるんだが。何をあんなに考え込んでたんだ」


「結論から言うとレンは魔法を覚えてた。」


もしかして最初のスキルの一つがが魔法だったの、それとも種族かな。どっちでも同じ意味なんだけどね


「どういうことだ」


「問題はないってことじゃないんですか」


「いや俺に聞くなよ」


「魔法使いに関しては大丈夫。魔力も問題はない、素質についても証明されたようなもんだしね。びっくりしたけど。」


「じゃあ特訓が始まるんですね」


「ごめんなさい。」


「えっ」


(レン。あなたの仕組まれたようにも感じる不自然な状況。それはあなたに力を与えた人の願い。まっさらな状態で自由に未来を選んでほしいという想い。それを曲げてしまうことを私は迷っている。だから!)



「あなたと私は戦わないといけない。」


「なんで?」


(レンの中に私と同じ光を感じた。でも本当に染めてしまっていいのか。自分も周りも死に向かう修羅の道。戦いと変化を日常として常にそれを楽しむ狂気。それを確かめる)


「私とあなたに在るもの。隠れた本性、君の中を感じるには死闘が必要なの。」


「えっ、なんで?」


(ふふっ、人を変えるためにここまで悩んだことはなかったな。ああ、私はこんな風に変わるんだ。そしてレンはどう変わっていくんだろう。初めて育てたい、教えよう、人を変えてみたい。)


「だから、もっと知りたい。たたかって戦って闘って、これから一緒に変わっていこう。」


「なんでーーー!」


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