僕じゃない
■■■が破損しました
うっ、何か聞こえたするけど。いやっそれよりもさっきのはどういうことなの!自分の過去を追体験していたことは分かる、でも別に特別な内容じゃなかった。問題は萩にいと楓ねえのことを忘れていたことだ。
なんで、なんで、、なんでこんなことになった。どう考えてもおかしい忘れるなんてありえない。それに違和感も感じなくて気づかないとかみんなに合わせる顔がないよ!!!
、、、、みんな?みんなって誰だ。おれは2人を思い出したのか。違う!2人しか思い出せなかったんだ!おれには大切な友達がいたはず。いなくなったら、生きていられないぐらいの家族が。でも誰だよぉ、名前が一文字も浮かび上がってこないんだ。
おれはいつのまにか立ち上がり、もたれかかっていた木に額を打ち付けていた。するとあっさり頭が割れ破片が落ちた。感じないはずの痛みがあるがもうどうでもいい。
どうして、こんな世界望んで無いよ。確かに普通の体でみんなと同じように暮らしたかった。でも会ったことのない他人と生きたいわけじゃない。萩にいや楓ねえと、、、名前も思い出せないみんなと一緒がよかった。今じゃもう、なんでそう思うかすら分からないよ。
「ピシッ」
「うえっ、ケホッ」
いつもの自分に戻ったみたいに気持ち悪くなって吐き気がする。脱力感や頭痛がひどくて膝から崩れ落ちた。症状の原因が頭のヒビか精神的なものか判断がつかない。
うぅまたおれは何もできなくなるのか。ダメだダメだ同じことを繰り返すわけにはいかないのに。
「生きてるだけで偉い。生きるだけで精一杯。」
それは正しいかもしれないけどおれたちにとって言い訳にしかならなかった。知ってるはずだった生きてるだけじゃ足りないんだ。それなのに、みんなとの約束は忘れてしまった。みんなの分も生きれなかった。
自分らしくなんてあるはずもなかった。最後にいきついたのがこれなんて合わせる顔もない。
「ピキッ、ピシシッ、パリン」
■■■が破損しました
「ごめんなさいごめんなさい死んじゃってごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい………」
布団にくるまるように体を丸めて身を守るように、何かから逃げるように謝罪をし続ける。森とは思えないほど他の生物を感じさせない静寂にぶつぶつと掠れるような声がこだまする。
「対象の■■■領域の破損を確認。予定外な段階2への移行」
聞きなれない機械的な音声が響く。
「生命活動の停止による致命的な機能障害が発生。自己解決不可能。緊急契約を履行し代理行動を実行。」
蓮の頭にのしかかり冷気を流し込み始めた。ぼんやりと白く光って周りの木には霜が降りている。その後、蓮と鼻を擦り合わせると霜が生き物のように移動して蓮の体を包み込んだ。
「あい、、ぼう?」
「契約を完了。問題の■■■を凍結して段階2に対処、早急にエレクシープを起動します。」
「問題発生。残存魔力の低下により生命活動の再起が不可能。遅延循環に切り替え、魔力を節約。不足分を外部エネルギーで補完。最小限での捕食を計算。代理行動を実行し全ての問題を解決。」
かすかに聞こえる機械的な音声が止まり、急激な眠気に襲われる。力を振り絞って耐えようとするがあまり意味もなく抗えずに意識が落ちる。
日が動くほどの時間を眠り続ける。オレンジ色の光が蓮を照らし
夕暮れであることをその眩しさが伝えようとしている。
体の中からポカポカする日差しの暖かさと自分の身に露が降りるような冷気、相反する温度を肌で感じて目が覚める。
「あれっなんでこんなところで寝てるんだろう。確か相棒と契約しようとしてて…」
頭がボーっとする。思い出そうとするとまるで霧がかかっているようでうまく出てこない。
「相棒は何か覚えてないの?」
「キュウ?」
同じように地面で丸くなって寝ていた相棒が起き上がってきて首を傾げて声をあげる。たぶんだけど何も覚えてなさそうだ。
でも相棒との間に不思議なつながりのようなものを感じる。
「契約できたのかなぁ?」
何か大切なことを忘れている気がする。だがいくら考えても答えが出ないしそもそもそんな気力がない。余り実感が湧かないのが釈然としないが目的は達成できた。ならもうここにいる理由もないんだけどさすがに不明瞭なことが多すぎて思わず空を見上げてしまう。
「ゆうがた?、、、あっ!」
思い出した!夕方から食事の約束があるんだった。どのくらい時間がたったのか分からないけど急がないと。
「相棒!ほらこっちおいで」
「キュ」
ぴょんと相棒が僕の胸に飛び込んでくる。それをなるべく優しく受け止めて抱えるとギルドに向かって走り出す。
途中門番の人に長い間戻らなかったことを色々心配されたけどなんとか説得して急ぐ。ギルドの中に入るとやっぱり待たせてたようで先に2人がついていた。
「すみません。森で寝てたら遅れました」
開口一番の言葉が謝罪だったことが驚きだったらしく2人は目をぱちくりさせている。
「別にいいよ。しっかりとした時間を決めたわけでもないし」
「ボクも大丈夫ですよ。どちらかというと森で寝てたことの方が気になりますけど」
「ありがとうございます」
「とりあえず向かいの店に移動しましょう。お互いの自己紹介もまだですし、詳しい話しはそこでするということで」
そういえば、また名前聞くの忘れちゃったのか
「あれっ名前も聞いてなかったか」
「そうですよ。あなたが名前を覚える機会なんてないかもしれませんが」
少し棘がある言い方だ。僕にもあったことがある気がする。実際に怒るほどでもないけど確実に怒ってる時だ。
「おいおい。それじゃあ俺が失礼な奴みたいじゃねえか。俺は人と滅多に合わねえだけだ」
あっその言葉はあんまり良くないかも
「それをボクは改善してほしいっていつも言ってると思うんですけどねえ。それに今日のことだって
「あははっ、」
急に僕が笑い出したことで話しが途切れ2人の視線がこちらに向いた。2人を見ると何故か分からないけど懐かしい気持ちになる。
「いや、ごめんなさい。おふたりって仲がとってもいいんですね」
「「別に」」




