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犬奴隷とクズ盗賊  作者: リィズ・ブランディシュカ
2/2

第2輪 俺はクズだ



 俺はクズだ。

 たまに人に施しをしていたりもするが、基本的にはクズだ。


「お兄ちゃん、おなかが空いたよ」

「ほら、これをあげるから我慢するんだ」

「でも、お兄ちゃんの分の食べ物がなくなっちゃうよ」

「大丈夫。……あれ、ポケットに入れておいた食べ物が増えてる」


 気分が乗った時とか、余裕のある時しか、人を気にかけれないしな。


 どうしようもない人間だと思う。

 さっさと死んだほうが、余の為、人の為、世界のためだろう。


 けれど、のうのうと生きている金持ちどもの存在がどうにも我慢ならない。


 だから、奪えるだけ奪ってからこの世からおさらばする事にした。


「こらぁぁ! わしの金をかえせ!」

「誰が返すかよ! くたばれ強欲じじい!」


「私の宝石が! ポケットに入れておいたお金も無くなっているわ」

「すられる方が悪いんだ、ばーか」


 どうせ死ぬなら、嫌いな奴に嫌がらせしたいだろ。


 そういうわけで暇なときに、金持ちの馬車を襲撃する事にした。


 危機的状況に陥った時の、あいつらの醜さときたら。


「たっ助けてくれ! 命だけは!」

「奴隷をやるから、何でもやるから、見逃してくれ!」


 おかしくてな。


 げらげら笑っちまうよ。


 日ごろ貧乏人を醜いと馬鹿にしてるが、自分だってそうだろうに。


 あいつらは、スラムで生きていた俺達を見つけて、何か嫌な事があった時にサンドバックにしにくる。


 俺達が世話をしていたチビ達や、動物も容赦なくなぐってきてよ。


 本当にどっちがクズなんだか。


 どっちもクズかもしんねーな。


 まあ、いいさそんな事。


 今さら。


 俺はどうせろくでもない最期を迎えるんだから。


 その前に、お前らに散々嫌がらせしてやるよ。


 ああ、そうだあの獣共に、働いた分の褒美をやっておかないとな。


 今は寝ているからチャンスだ。


 ったく、よくあんなアホみたいな説明信じたよな。


 勝手に増える、なんてあるわけねーだろ。


 だから奴隷になっちまうんだ。


 少しは人の言う事、疑えよな。


 自分達で、生きていくのに向いてねーよ。


「俺の首でもとっとと狙って、自由になればよかったのに」


 いざという時、殺してもらうために世話してやってんだが、なかなかこいつらがアホすぎて。


 世の中のあれこれ汚い場面をみせて、教育してからじゃねーと、おちおち死んでられねーな。



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