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犬奴隷とクズ盗賊  作者: リィズ・ブランディシュカ
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第1話 ご主人様がだいぶクズ



 私は奴隷です。


 犬の奴隷です。


 簡単な人語は理解する事はできますが。犬なので奴隷です。


 この世界では犬の地位が低いので。


 私はつい先日まで、大勢の奴隷たちと共に、鎖に繋がれていました。


 ついこの間までは、神聖な森で、のんびり過ごしていた獣だったというのに。


 なんという不幸でしょう。


 このままだと、見世物小屋に売られるか、珍味として美味しく食べられるか、闘技場の雑魚敵の一人として補充されてしまう。


 何とか脱走しなければ。


 そう思った矢先でした。


 私達奴隷がのっている馬車を、一人の少年がとめたのです。


 その少年は鮮やかな手並みで、ばったばったと奴隷商人たちをなぎ倒して私達を救出してくれました。


 何て良い人なのでしょう。


 私達は、その人に手によって救われたのです。


 その人は私達の新しい主人になりました。


 恩返しの時です。


 そう思ったのですが。


「おい獣、俺の為に働けよ」


 嫌な予感がしますね。はい。








 一週間後。


「金だ! 金をよこせ!」


 目の前でご主人様が野盗をおそってみぐるみをはいでいます。


 私達も、ご主人様に言われた通り、「がるる」とうなりながら彼等をおそいまくります。


 ご主人様はさらに、野盗につかまったキラキラの服をきた人達からも「救出料だ!金をよこせ!」とお金をせびってます。


 新しい私のご主人様はだいぶクズでした。


 どうしましょう。


 私はクズには使えたくありません。


 なので、他の皆と共に逃げ出そうとしましたが。


「奴隷の分際で、何俺さまから逃げよーとしてんだぁぁ?」

「きゃいいいん!」


 逃げられませんでした。


 驚異の気配察知能力で補足、捕縛されてしまいました。


 私は犬なので、足は早いはずなのですが。


「さぁ、金の匂い(※お金持って想な人間の匂い)をかぎあてろ!」


 罰として街道で待ち伏せして、カモになる金持ちの馬車を襲撃するはめになりました。


 とほほ。


 働いた後は、魔法のバッグをもらいます。


 首から下げてもらいました。


 そのバッグは、知らない間に食べ物が補充される魔法のバッグらしいです。


 大抵は寝ている間に補充されます。


 この世界、不思議な道具があるんですね。


 聞いたこともない道具です。







 ご主人様はクズですがどうやら義賊のようです。


「おお、ありがたや! ありがたや!」

「みんな! これで当分、生活に困る事がないぞ!」

「これで、ご飯が買えるね!」


 基本的には自分の為に悪事を働いていますが、気が乗った時は他の人に分けてあげています。


 一時期はその行為で、みなおしかけましたがやはりクズだと思います。


 この間は、お金持ちの貴族を人質にとって、頭をふみながらうっぷんはらし、げらげら笑っていましたし。



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