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狼は剣を振り回す  作者: ヘンダー・ベンダー
VRというものは便利なものでして。
2/2

狼はチュートリアルをする

さあさあやって参りましたよゲームの時間!

昨日はアバター作りに時間を掛けすぎてできなかったけど、今日こそプレイを始めてやりましょう!


《アバターを確認。ようこそ、渡界者様。》


メニューでゲーム開始を選択すると、なんか羽が生えた電球みたいなやつが現れた。

あれかな、ナビ的なやつかな?


「君は?というか、渡界者って?」

《はじめまして、私は小精霊。名も無き木っ端の精霊です。渡界者というのは外の世界からこちらにやって来た方々のことです。》


おぉう、ずいぶんと自分を卑下する案内人だな。

渡界者は要するにプレイヤーってことかな?


「え、案内をしてくれる人?」

《人ではありませんが、まあそうです。動きの訓練などをサポートします。》


チュートリアルキャラってことか。

まあ、あの狼アバターまだ動かしたことないし、いくら技術があるからといっても僕がうまく動かせるかも分かんないしね。


《まず、渡界者様のアバターを適用します。少々違和感があるかもしれませんが、ご了承下さい。》


いやまあ、それくらいは──っと、今のか。

これで僕の体は…変わってる!

おお!ほんとに狼になってる!すげえ!


《と、渡界者様?渡界者様?聞いてますか?》


やべえ!すげえ!僕狼になってる!夢叶った!


《渡界者様!》


はっ!

つい我を忘れてしまった…


《大丈夫ですか?心拍数がかなり上がっていたようですが…》

「あ、大丈夫大丈夫。もう心配いらないよ」

《そうですか。では、動作チュートリアルを始めます。》

「どんと来い!」

《まずは移動をしてみましょうか。こちらの道をジャンプも併用して歩いてみてください》


お、いつの間に道が。

………まあ、普通に歩けるな。

すごいことなんだろうけど、あんまりにも自然に動かせるもんだからアバターの適用ほど感動とかはしないな。

ジャンプもしてみるか。

そいっ!──って高っ!?

3メートルくらい飛んでるよ!?


《ステータスでジャンプ力が上がっていますからね。》

「…だとしても高くない?」

《この世界での標準は渡界者様の世界より高いようですね。ふむ……大体初期値の半分ほどが渡界者様の世界での平均値でしょうか。》


初期値の半分?初期値は50だったから…今の僕は普通の人間の大体3倍のジャンプ力ってことか!そりゃこうもなるよ。


《さて、基本的な移動は馴れたようですので、次はスキルを使ってみましょう。》


きた!


《最初は案山子(カカシ)に使ってもらいますが、最後は実際にモンスターと戦ってもらいます。上手く出来るようこちらも協力するので、頑張っていきましょう。》


おー!

…で、あれが案山子か。普通の畑にあるようなやつを頑丈にした感じだね。


《では、まずは【爪撃】です。スキル名を言うか、使いたいと強く考えてください。》


思考操作はちょっと苦手なんだよな…

よし、


「【爪撃】!」


お!爪がちょっと伸びて白いエフェクトみたいなのが出てきた!


《それがスキル【爪撃】です。スキルを使わなくても攻撃は可能ですが、こちらの方が与えるダメージは大きいです。クールタイムは短いので、積極的に使っていきましょう。》

「オッケー!」


案山子に向かってジャンプして──攻撃!


「ふっ!──せいっ!」


+5!


《お見事。今出た数値が相手に与えたダメージ量になります。》

「おお!」


やっぱり自分の思った通りにアバターを動かせるのは良いなあ!

レトロゲーも自由なものは多かったけど、やっぱり自分で動かしてる感がVRに比べてあんまりないんだよね~


《ちなみに、そのモンスターにとって重要な部位に攻撃を与えるとダメージ量が増えますよ。》

「そうなんだ!…なら!」


案山子の首に──


「──とりゃっ!」


+5+2(Critical)!


《流石です。ですが、少々上にずれましたね。また、着地した時に体勢を崩さないように気を付けてください。カウンターなどを持つモンスターもいますから。》

「わかった!」


《では次に──》


~十五分後~


《スキルについてはこんなものでしょうか。最後に、実際のモンスターと戦ってもらいます。》

「ついに!」

《渡界者様は初心者ですので、スライム種でも弱い部類のブルースライムと戦ってもらいます。》

「あるあるだなあ…よし、いつでもどうぞ!」

《ではいきましょうか。【下級魔獣召喚:青粘体】!》

「えっなにそれ!?」

《私が皆さんにチュートリアルを行う際に貰ったスキルです。それより、よそ見は危険ですよ?》

「え、あっ、ちょっ!」


あっぶな!もう少しで右足かする所だった…

……ブルースライムかあ。

見た感じ小学生のときにやった理科実験で作ったことあるような見た目してるな。

唯一違うとすれば、そのゼリー状の体の中に丸い石みたいな物があるのと、跳び跳ねて突っ込んでくることくらいか!

また来たなっ!今度はこっちの番だ!【爪撃】ぃ!


「おらぁっ!」

「キュイィ!」


鳴くのこいつ!?どっから発声してんの?


「キュイキュイキュイ……」


ん?あれ?どこ行ったあいつ?

でもそんな時は……こいつだ!


「【索敵】!」


▼マークは…あった!あそこか!


「【鋭牙】ぁ!」

「ギュウ!」


ガブッと一発ぅ!


「キュイィィ……」


勝った?勝ったな!やったぜ初勝利ぃ!


「よっしゃぁぁ!」

《おめでとうございます。スキルも上手く使えていましたね。とどめに【鋭牙】を使ったのも良い判断です。あれは一定確率でひるみを誘発できますから、例え仕留めきれなくても【爪撃】で倒しきれたでしょう。》

「ひるみとかあるんだ?」

《状態異常の一種ですね。麻痺の下位互換のようなものです。効果時間は短いですが、動きが若干にぶくなります。》

「へぇ~」

《状態異常などはメニューのヘルプから一覧を見れるので、チュートリアルが終わったら見てみてください。》

「ありがとう。それで、これでチュートリアルは終わり?」

《はい。今ここでやるチュートリアルはこれで終わりですが、メニューから様々なチュートリアルを行えます。このチュートリアルも一応スキップは出来たんですが……。》


え、そうなの!?…まあ使い方とかが把握できたから良いのか?

ということは……


「もうプレイ出来るの?」

《望むならすぐにでも。》

「じゃあ早速お願い!」

《分かりました。新たな渡界者、ルーヴァン様。先駆者にも負けぬ発見を楽しみにしています。》

「行ってきまーす!色々ありがとう!」

《役目ですから。では、行ってらっしゃいませ。》


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