第1章 転生
処女作になります。
観覧よろしくお願いします。
「ふ〜今日も疲れたなぁ」
そんな愚痴をこぼしながら電車を降りて帰宅している俺は三宅光輝
社畜歴10年のベテラン社畜だ。
広告会社のデザイン担当で、顧客の要望という名の無茶振りと日々格闘している俺はまさに社畜の鏡とも言えるだろう。
だって今降りたこの電車、通勤ラッシュですごい混んでるんだぜ。
·····言ってて空しくなるからやめよう。
「キャー!!!」
今日は月曜日で休みだから早く帰ってゲームして寝ようと考えながら駅のホームを出て歩いていると、突如目の前から悲鳴が聴こえてきた。
見ると体格の良い若い男が、腕を振り回しながら何か言っている。
その目線の先には高校生くらいの美少女が座り込んで怯えている。
多分さっきの悲鳴はこの子だろうなぁと思いながら、俺の足は止まらず、男の方に歩いていく。
痴話喧嘩か何かかと思っていたが近くまできた瞬間、ゾッとした。
「かひゅ。こひゅ。」
男はヨダレを垂らしながら目の焦点があっていない上に、手には刃渡り15cmくらいのバタフライナイフを持っていた。
そして目の前の少女に今にも斬りかかりそうだと思った瞬間、男が少女の方へ動き出した。
「危ない!!!」
俺はとっさに少女の方へ走り、斬りかかる男のナイフを持っていたカバンでガードした。
「早く警察を呼んで!!!」
座り込んで怯える少女に叫ぶと、男は分かっているのかいないのか定かではないが、俺を敵と認識したのか俺に向かってナイフを振り回した。
「くっ 、はっ、うわぁ!」
いきなりの出来事でパニックになりながらも、なんとかカバンでナイフの攻撃をガードしているが、少しでも気を抜けば悲惨な事になりそうだ。
「いやはぁぁ〜!!」
そんな光輝に狂ったようにヨダレを垂らしながら男は一心不乱にナイフを斬りつけてくる。
時間さえあれ稼げば警察が来てくれるだろうが、このまま薄氷の上を渡るような状況が長続きするとは思えない。
「ふ〜、ふ〜」
しばらくガードしていると疲れたのか動き止まった男は、俺への興味を無くしたのか他の獲物に切り替えようとキョロキョロと周りを見渡し始めた。
狙いが変わり少しホッとしている自分と、次は誰が狙われるのかという不安がごちゃ混ぜになりながらも、男がどう動くか注意深く観察していると、
「何の騒ぎですか〜?」
と右前方から少し間に抜けた警察官の声が聞こえてきた。
ようやく警察が来たのか。
助かったと思った瞬間、突如俺の右側に向かって突如男が動き出した。
男が狙っている方へ振り返ると少女が警察官の方へ逃げようと動いた瞬間に襲おうとしたようだ。
俺の右側をすり抜けて進もうとする男を咄嗟に掴み取り、止めようとしたところ、思ったよりずっと強い力に引っ張られ、それに負けないように踏ん張った拍子に男もバランスを崩して一緒に倒れてしまった。
「ぐえっ!」
倒れた拍子にすごい衝撃が光輝を襲い、潰れたカエルのような声が出てきた。
「キャー!!!」
男はまだ俺が掴んでいるのに、なんで悲鳴が?と周りを見渡すと俺の方を見て、誰もが驚きの表情をしていた。
その目線の先である俺の胸元にはナイフが深々と刺さり赤いシミを作っていた。
周りが大騒ぎしている中、押さえつけていた男は警察官に取り押さえられ、暗くなっていく視界の中、俺は泣き叫ぶ少女が無事で良かったと安堵して…
そして死んだ。。。