第55話「物置部屋拡張・マッドなサイエンティスト」
我が家転生…「我は無限の竜脈使い?」…が眷属育成計画中なのですw
第55話「物置部屋拡張・マッドなサイエンティスト」
竜脈生活の24日目である。
今日は朝から弟達が大騒ぎ。
新たに仲間に加わった「茄子の精霊牛」と「胡瓜の精霊馬」に跨がり、屋上を駆け回っている。
「茄子の精霊牛」には橘花くんが、「胡瓜の精霊馬」には菅原くんが騎乗している。お互いに相性があるようなので、専用騎乗精霊と言ったところか。
さすがは男のコである。とても楽しそうだ。そして飽きない。ほんとに飽きない。
「ちゃんとお世話もするんだよ〜。」
『兄上、了解です!』
元気よく菅原くんが返事をする。
『I-;/5…!』
橘花くん、精霊牛の頭を撫でながら俺の顔を見上げる。その笑顔がニパッと輝き、俺の兄上魂は限界値を超えそうだ(?)。
『ブヒィィィン。』『ブモォォォ。』
精霊馬と精霊牛も嬉しそうに鳴いた。
しかしながら、そうなると不憫なのはクロちゃんだろう。俺とクロちゃんは並んで弟達の騎乗を眺めているのだが。
「…う〜む。クロちゃんにも専用の騎乗精霊をあげたいところだが…。」
『ニャウ…。』
気にしないで欲しいとか、そんな自重的な言葉はいりません。
俺だって、家の敷地内に駐車してあった我が愛車…チャンピオンイエローのニクいヤツ、スイスポフルチェーン装備の行方を考えると尋常ではいられない。
昨日今日、ヴァースキちゃんを問い詰めて判明したのは、俺のスイスポは竜脈に飲み込まれ、別の亜空間を放浪している可能性が高いとのことだ。行方不明ということだ。
おのれ、ヴァースキちゃん(怒)、許すまじ。
ポピコーーーン♪
_________________________________
(*´ω`*)あ…おはようございます。未読メールが1件、届きましたよ。
帝釈天 2020/09/11>
_________________________________
ん?これは帝釈天様だな。昨日、G3(ジザ)さんが生まれたばかりだから、その後の経過観察ってところだろうか?
「メールを開いてくれ。」
_________________________________
(*´꒳`*)御主人様、メーラーを起動します。
2020/09/11
差出人:帝釈天
宛先:田崎 蓮人殿
…私の電脳PCが一台、消失してしまった。
まあ、おおよその見当は付いているのだが、私の憶測が甘かったというべきか。
《電脳統合システム〈OMOIKANE〉》については有効に利用したまへ。
悲しいが、以上だ。
_________________________________
これは何が起こったのか?まあ、俺もおおよその見当は付くけれども。
まず間違いなくG3(ジザ)さんの仕業だろう。あの爺さん、飄々として抜け目ないからなぁ。
そもそも、人格形成してないのに、既に人格を持ってるのが怪しい。
そんなG3(ジザ)さんの能力を暴く。それが本日の主目的である。
俺は騎乗練習に没頭する弟達を弟クロちゃんに任せて、その場を離れることにする。
「クロちゃん弟よ。あとは頼んだぞ。」
『ニャウ。』
貴族ばりの優雅な挨拶でクロちゃんは返答。頼もしいな。
今回、いつものようにお供は連れていかない。
それは何が起こるか分からないからだ。相手はG3(ジザ)さんだからな。
そして俺には「魔弾・オレイカルコス」と「バール(真)」がある。大丈夫だ。怖くない。
え?E5(エコ)さんはただの備品ですね。
階段に向かう俺の前に、DSさんが待ち構えていた。これはもう、心に決めたって顔だ。説得しても無駄だろう。
音声『4R (シリュウ)に任せても良かったのですが、彼は竜脈の防壁をコントロールしていますので、もしもの際にはワタクシの方が都合がよろしいかと思います。』
何の都合が良いかと言えば、不測の事態で俺の身代わりになるって事だろう。
そんな事、俺は望んじゃいないけどな。
と言うのも、G3(ジザ)さんは3階の物置部屋を気に入り、そこで何をしているのかと思いきや、部屋の拡張をしたいとの訴え。
改築工事か?と思いきや、亜空間を使用して内部空間だけを拡張すると言う。
結果的には了承したが、今日はその結果を視察し行くわけだ。
音声『本来、亜空間制御とは神もしくは、神に近しい存在が有する力です。G3(ジザ)殿がどこまでの力を持つかは分かりませんが、亜空間拡張などと、あまり過信しない方が宜しいかと。』
そうそう。それな。俺が期待していたのは危険物の管理者。異◯元ポケットだ。
「それは分かっているさ。だから1人で行こうと思ったんだけどな。」
音声『論外ですな。』
こうして俺達は3階の廊下の突き当たり、物置部屋に踏み込む。
おっかなびっくり、中の様子を伺う。
_________________________________
(*´Д`*)うわぁ。凄いですね!部屋の大きさ的には、約3倍になってますよ。
_________________________________
そう。物置部屋は広がっていた。
明らかな異常。だが違和感はない。
今まで物置部屋にあった雑貨類…フィギュアの棚は奥の片隅に移動されていた。物品の損壊などの支障は無さそうだ。
「大丈夫そうだなぁ。」
しかし広がった分、殺風景だ。何もない。がらんどうだ。
音声『旦那様。右奥に扉がありますぞ。』
それはもう拡張とは違う、別空間の創造ってヤツだ。
扉の意匠もちょっと古代中国っぽい作り。豪奢な感じの木造観音開き戸。
「模様が凝ってるなぁ。さすがは仙人。この黄色い竜の造形は俺の琴線に触れるぞ。」
音声『旦那様。ワタクシが開きます。お下がりください。』
DSさんに言われるがまま、俺は開かれた扉を目の当たりにし、そしてDSさんに続いて門を通り抜ける。
しかしてそこは真っ白な空間。言うなれば何も無いという現象のみを体現した一室。
音声《ひょっひょっひょ。ようやく来られましたな。待っておりましたぞ。》
G3(ジザ)さん。正式名称「ジンブルザド」。
彼は魔法使いじゃなく仙人だった。ちょっと仙人には見えないと思う。騙された。あの髭は洋風だしな。
「G3(ジザ)さん…あれ?それ実体か?」
音声《既にココは電脳世界じゃて…今の儂は〈電子体〉として存在しておるのじゃ。》
_________________________________
∑(゜Д゜)あら!?それなら私も実体化できますかっ!?
_________________________________
音声《それは無理じゃろ。あくまで儂の亜空間が主軸となっておるのでな。》
_________________________________
( ´_ゝ`)…そうですか。
_________________________________
…ちょっと期待してしまった自分が憎い。気の迷いだから。
「…で、この空間は何だ?」
音声《儂の個室として作ったのじゃ。まだ何ものでも無い部屋でのう。そこで主にお願いがあるんじゃよ。》
お?G3(ジザ)さんが言うとなんか怖いな。
「その前に、さっき帝釈天様からメールがあってな。帝釈天様の電脳PCが消失したそうだが…何か心当たりはあるか?」
手の平をポンと打ってG3(ジザ)さんは笑う。
音声《そうそう。電脳統合システム〈OMOIKANE〉を主核に内蔵アプリを統合しようとしたのじゃが、容量が足りなかったので吸収したのじゃよ。》
頭が痛い。
「…んで、その内蔵アプリの件だが…。」
音声《そうそれよな。まさか構想していた〈深慮望遠〉が〈神慮望遠Ω〉にグレードアップしたのじゃ。この能力で、儂の亜空間制御能力は圧倒的なまでに強化されたのじゃ。》
もうこの時点で絶望感が俺を襲う。
「あ〜。その…電脳世界通販JYUKAIは?」
音声《分解して〈神慮望遠Ω〉に組み込まれたのう。》
絶望。そして地獄。
「…地球電脳閲覧「覗」と竜脈解析vr6.5「霆」は?」
音声《これも分解して〈神慮望遠Ω〉に組み込まれたのう。》
デジャヴ。そしてこれも地獄。
「…完全型メーラー「雷金鳥vr1.5」はどうかな?」
音声《アレも分解して〈神慮望遠Ω〉に組み込まれたのう。》
アレも地獄になったか…。
「…亜空間収納「どこでもα(あるふぁ)」は?」
音声《安心するのじゃ。それこそ儂の本領発揮。αならぬΩじゃぞ。儂の亜空間は常に主と結びついているおるでの、言わば4◯元ポケットじゃ。》
最後の最後で報われた。天国が訪れた(え)。
音声《現在準備中ではあるがの。主がいつ如何なる時でも、この亜空間に繋がる仕様にするでの、金庫番代わりに使用してくれて構わぬのじゃ。》
「それは凄いな…言わば魔法の鞄と言ったところか。しかし、安全性はどうなんだ?」
今イチ、俺の中で亜空間と言うモノの価値観?実用性が分からないのだ。
音声『旦那様。問題ないかと。亜空間は、それを構成した者の領域…即ち不可侵領域です。外部からの侵入は、神であろうと困難です。それは同様に、他の神が成した領域 (世界)では無許可の存在は許されない事と同義なのです。』
音声《左様じゃ。言わばこの電脳世界ならば、儂は主であろうと圧倒する力があるのじゃ。》
音声『それはさせませんよ。』
ズイッとDSさんが半歩前へ前進する。空気がピリピリと振動する。
そんなDSさんの眉間のシワが怖い。
音声《執事殿。そのなりで儂に勝てるかのう?》
音声『御心配無用。もはや勝機は見出しております。』
一触即発。なんだ、この熱い展開は?
我が家において、今まで前触れもなかった戦闘シーンに突入ですかっ!?
DSさん、突如に姿がブレる。フィギュアの肉体が変異する。
「うおっ!?DSさんがデカくなった!?」
音声『能力〈雷導体(NEW)〉を獲得しました。電脳世界でならば、今のワタクシに敵はいませんな。』
ウチの執事長さん、約身長180㎝と、俺を軽く越えて行った。なに、このイケメン。超ダンディですよ。
音声《ひょっひょっひょ。この数秒で適合するとは…空恐ろしいのう。》
対してのG3(ジザ)さん、飄々として怯む様子もない。
_________________________________
(;´Д`Aあわわ。御主人様、これどうなっちゃうんでしょ!?
_________________________________
「シッ!今いいところなんだ。邪魔すんじゃない。」
このバトルの行く末は?
音声『行きますよ!秘技〈雷手〉!!』
DSさんの右手が黄金に輝く。その輪光。
まさに神速で右手が指が、G3(ジザ)さんの胸を抉る。動きも見えなかった。あれはヤバい。あんなもん回避できんだろ。
バキィィィン!?
弾ける雷光。
G3(ジザ)さんの薄皮一枚、粉々に砕きつつも、肉体に損傷は無い。と同時に吹き飛ばされるDSさんの姿。クルリと回転し着地する。
音声《儂の発勁〈亜空間〉を易々と打ち砕くとは、凄まじい威力じゃ。さすがは主の執事長殿。これならば御身は安泰じゃな。》
音声『いえいえ。御老体こそ、その防衛能力は筆舌に値しますぞ。御主人様の金庫番として相応しい能力です。』
双方歩み寄り、グッと握手。
_________________________________
(´・ω・`)何です、この展開?
_________________________________
「…これは敵の敵は味方的な?奥が深いなぁ。」
まあ、始めからこんな事だとは思っていたがな。どうせ、お互いの実力を図って、俺に相応しいかどうかの試験をしていたのだろう。出来レースとも言う。
音声《ひょっひょっひょ。して、どうじゃな主?》
「ん?ああ、俺にお願いってやつか?」
すっかり忘れてたな。とても熱いバトルを見れたので、ここは軽い気持ちで了承しておこう。
「いいぞ。」
音声《では、玉皇上帝様からのメールに添付されていた〈神炎炉〉を頂きたい。それをココに設置しようと思うのじゃ。》
ん〜?そんなのあったっけ?俺は真顔で考える。
「ああ、玉ちゃんのか〜。」
音声《ひょっひょっひょ。玉ちゃんとは、主は豪胆よのぅ。正に我が主に相応しい御仁じゃぞ。》
音声『全くですな。』
あれ?俺って呆れられてるのかな?
「まあ、いいさ。E5(エコ)さん、あのメールを開いてくれ。
_________________________________
(*´ω`*)え〜と。これですね。メールを開きますよ。
2020/09/02〈既読〉
差出人:玉皇上帝
宛先:田崎 蓮人殿
先日は世話になった。
謝礼として〈神炎炉一式〉を贈らせてもらう。
尚、迂遠な方法だが日本国総理大臣のプロテクト・キーを借りた。
その際、日本国総理大臣から君へ謝辞を伝えてほしいと頼まれたので、ここに明記しておく。
ではまた。
添付:《神炎炉一式》
_________________________________
う〜ん。何度読んでも突っ込みどころが満載な文章だ。
「よし!神炎炉を取り出してくれ。」
_________________________________
(*´꒳`*)はい。了解しました。
添付 :《神炎炉一式》の適正ダウンロードを開始…成功。
電脳 情報を取り出します。御注意下さい。
_________________________________
ゴゴゴォォォ……。
揺れる。床も壁も天井も…視界も歪む。
「うぉぉぉ…何だ?」
景色は一変した。それは豪華絢爛な鍛治工房といった趣き。壁は黄竜模様の装飾で彩られている。
中央には円形で巨大な祭壇?いや、これが「神炎炉」ってヤツだ。
音声《ひょっひょっひょ。儂の工房の出来上がりじゃ。儂は〈神仙術式〉が使えるのじゃ。期待して欲しいものじゃな。まずは何を作るかのぅ。ひょっひょっひょ。》
ウキウキとした足取りで「神炎炉」に取り組むG3(ジザ)さん。
「あっ…おい。」
ダメだ。もう俺の声が届いていない。これ、魔法使いじゃなくて、仙人でもなくて、マッドサイエンティストの目だろ。危険な目をしている。
ちょっとどころか、大変心配になる俺なのであった。
◆ ◆ ◆
田崎 蓮人
種族〈竜脈種(真種)〉
階級〈主格〉
所属国〈災害竜脈の地〉
カテゴリー〈8.1+〉
戦闘力 139+6
防御力 147+6
生命力 133+6
回避値 159+6
知能値 26
器用値 25
魔力値 181+7
無属性154+6
地属性154+7
固有能力
竜脈適正「高位」
幸運の加護
雷霆の守護
世界卵の選別
蓬莱の恩恵
〈王桃の系譜〉※効力消失中
妖精言語LV1
能力
打撃 調理 計算 博識 精密操作 努力 竜脈 再生 霊子
統治
召喚系術式
契約
契約破棄
契約鑑定
召喚
送還
眷属
E5(エコ)さん
DS (ディス)さん
4R (シリュウ)
G3(ジザ)さん
契約
ルル君
金さん
チョメ君
ミミちゃん
シーちゃん
ミチ
花子さん
タロさん
ロンちゃん
クロちゃん
ハナちゃん
称号
召喚士
装備
魔弾・オレイカルコス〈魔銃〉
属性:中炭素鋼改LV220〈秘跡武具級〉
付与効果:神の遊具〈風属性〉
月光核〈新月〉増幅20%
耐久値強化〈合金〉
耐久値:400+α
中炭素鋼バール(真)〈打撃武器〉
属性:中炭素鋼改LV120〈特殊兵装級〉
付与効果:物理強靭化・打撃強化〈強〉
破砕〈中心核破壊〉
耐久値:200+α
E5(エコ)
種族〈電子の妖精〉
階級〈緑の蝶妖精?〉
属性:電子属性20
カテゴリー〈1.5+〉
耐久値:500
鼻セレブシャツ〈服〉(NEW)
属性:化学繊維LV15〈通常級〉
付与効果:愛嬌(微)
物理抵抗
耐久値:45
ジーンズ〈服〉
属性:厚地織布LV18〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
耐久強化
耐久値:60+α
◆ ◆ ◆




