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おれは人間サラブレッド ANATA号  作者: 桐生 ハム太郎
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裏開催第5レース

☆裏開催第5レース☆


「ねえシズカ、クロは絶対に人間の言葉を理解してたと思うんだけど、貴女も私の言ってる事…実は凄い分かってるの??」


石田牧場のおてんば娘である雪ちゃんがシズカの身体をブラッシングしながらシズカにふと尋ねた。


雪ちゃんだけじゃなく、雪ちゃんの両親である石田夫婦もそれは感じていたようだが、クロ(おれ)もシズカも人間の言葉が喋れるわけもなく、石田牧場的には多くの謎が残ったままクロは旅立った的空気が漂っていた(笑)


「きっとあの仔は大きいところを取ると思うよ」

雪ちゃんのお母さんが言った。

雪ちゃんもコクコクうなずく。


小さい石田牧場にとって、ステークスウィナーのシズカが繁殖にいる意味はとても大きい。

夏になるとシズカ目当てにファンも訪れてくれる。


競馬は色んな人間達のドラマの元に成り立ち、色んな人に感動を与え、その感動は決して色褪せない。


「クロはね、ナリタブライアンの血とオルフェーブルの血を持つ凄い馬なのよ」


種牡馬としては大成しなかったナリタブライアン。だが、少ないながらもこの偉大な三冠馬の血を持つ牝馬は少しながらも存在はする。


ちなみに…宗一郎はナリタブライアンの現役時代はアンチナリタブライアンだった(笑)

まさか今の馬の身体にナリタブライアンの血が混ざってるなんて夢にも思わないだろう。






そして場所はまた病院へ。





「宗ちゃん、ブリコとマリコがパドックに映るわ」

民放の競馬中継に堂々と登場したラッキーブリランテとマリモズハートは共に宗一郎が出資した一口馬。

何とも凄い事だが、2頭とも泣く子も黙るステークスウィナーに成長して、今、正にG1の舞台で初対戦を迎えようとしていた。


「格ではマリコの方が上だけど、この距離はブリコの方が実績あるから、どっちが勝つか分からないね。でもどっちも頑張って欲しい」

勢津子もいつになくテレビをガン見している(笑)

まぁそりゃそうだ。


春の最強牝馬決定戦に宗一郎の馬が2頭も出てるのだから。


テレビから流れる解説…

「春の最強女王を決めるG1、ヴィクトリアマイル。今年も各路線から強い馬達がエントリーしてきました。中でも去年の牝馬二冠馬、【ヴァニラ】を中心に、前走…牡馬達を撫で斬り高松宮記念を制した【マリモズハート】、京都牝馬S、阪神牝馬Sを連勝し波に乗る【ラッキーブリランテ】など…」


一番人気こそヴァニラに譲っているが、宗一郎の馬も負けてはいない。

脚質も逃げ先行タイプのマリモズハートに差し追い込みタイプのラッキーブリランテ。

どちらも鋭い決め手を持っているこの舞台に相応しいサラブレッドだ。



そう。

娘達の晴れ舞台。

結果はどうであろうと宗一郎に見せてあげたかったな。



いつも愛馬達を息子や娘と呼んでいた宗一郎。

子供達のレースはちゃんと録画してあるから、起きたら二人で観ようね。





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