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おれは人間サラブレッド ANATA号  作者: 桐生 ハム太郎
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裏開催第3レース

☆裏開催第3レース☆


とある病院の相部屋。

患者と思われる寝たきりの中年の耳から僅かに競馬中継の音が漏れている。

ベッド横の一人掛けソファには今日も中年女性がお見舞いにに来ている。

毎週日曜日、女性は用事が無ければここに来てるようだ。


「宗ちゃん、今日は新潟でヒバオが走るのよ」


そう、もう分かると思うが、馬に転生したはずの宗一郎の器はまだ生きていたのだ。

もう一年以上経つが、宗一郎の身体は事故の傷も癒えほぼ事故の前の姿のまま植物状態になっていた。


交通事故により保険金から入院費、その他、宗一郎の楽しみであった一口馬主もきちんと継続されていて、勢津子に金銭的な負担は無かったが、あの日から勢津子も時が止まってしまったようにも見える。

勢津子も府中なら気軽に行ける距離なので、宗一郎の愛馬が府中参戦してる時は府中に出向き、宗一郎の為に覚えたカメラで愛馬達の写真を撮っては宗一郎の病室に飾っていた。


そうする事でまたこの人は何事も無かったように目を開けると信じていた。


「6番ヒババッチャン、馬体重568キロ。今日は+8キロでの出走です」

相変わらずの丸太ボディ。

それでも毎回掲示板に載ったり載らなかったりと、デブなりに頑張っている姿がどこか可愛らしい。万年500万条件馬だが、宗一郎が一番愛していた馬だ。


「今日はヒバちゃん、3着来たから次も優先で出走出来るね」


薄々は勢津子も気付いてると思う。この器には魂がない事に。

でも

こうして声をかける事で宗一郎がまた

「まぢかっ!?さっすがヒバオ!!」

と無邪気にはしゃぐ気がして。


また秋は府中に来てね、ヒバちゃん。

宗一郎の代わりに私が応援するからね。

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