第12レース 東スポ杯2歳S 後編
☆第12レース 後編 ☆
「一番人気、アナタ号に騎乗予定だったクリスティの落馬負傷により、アナタ号の鞍上は…」
誰なんだよ、おれの上に乗ってるやつは(笑)
「伊賀 照男に乗り替わりになっております」
え?
て、照男かよっ!?
伊賀照男…こいつは大穴を開けるんで有名なベテラン騎手で逆に一番人気に乗るとまず来ない騎手の一人だ。
人間時代はおれは伊賀照の事はまあまあ好きではあったが、いざおれの背中にこれが乗るってなるとかなり複雑な気持ち。
ちゅうか、伊賀照、
加齢臭キッツイわ〜
まぁおれの人間の時と同じ歳だもんな。
今日はオッサンコンビでやるしかねーわ。
幸いな事があるなら、伊賀照は昔ながらの騎手で豪腕タイプじゃないのは救いか。
それにしても、ホンマに伊賀照しか居なかったの?(笑)
なんか力抜けるわ〜
「イージーイージー、普通に回れば勝てるど」
伊賀照の最近の口癖らしい。
なーにがイージーイージーだよ、平たい顔してレース前から腸捻転にする気か?(笑)
勘弁してくれよ。
そして
ゲート誘導が始まり、おれは先入れの奇数番に誘導を受ける。
「スタートしましたっ!好ダッシュはロータリーターボ。ロータリーターボがそのまま先頭に踊り出ます!」
またあれが行くのか…ハイペースがあの馬のマイペース。たまにいるんだよな、あーいう馬。
正確に淀みないラップを刻みながらロータリーターボが逃げる。
ついて行くとバテる。
差そうとすると届かない。
かの名馬【ミホノブルボン】が得意とした逃げ方だ。
これは卓越したスピードと坂を駆け上がるパワーが無いと出来ない。
やっぱりこの馬はつえーわ。
「人気のアナタは現在先頭から4頭目。徐々に先頭のロータリーターボに迫ります。」
うん、心臓の負荷は感じない。
これなら4角でロータリーターボに並んでマッチレースでもいい。
おれはハミを噛み伊賀照に合図を送る。
「お〜、まぢかぁ。じゃあ行くベェ」
伊賀照もこのノリに乗ってくる。
「これは完全なマッチレースになったぞ!両者共に譲らない」
そして、完全な併せ馬状態になった時に、何故かロータリーターボが嫌がる素振りを見せ半歩下がる。
おれはその原因がすぐ分かった。
照男の加齢臭が風向きの関係でロータリーターボに直撃したのだ(笑)
おれは加齢臭で沈むロータリーターボを軽く哀れみながら最後は流してゴールした。
「最後の直線、アナタがロータリーターボを競り落として見事一着でゴールインっ!!」
「ロータリーターボは最後にアムステルダムにも交わされて3着」
一着で入線後に更に大きな屁で後続に追い打ちをかける照男。
いやぁ、オッサンってこえーわ(笑)
同年代が頑張る姿を讃えたい気持ちも最後の照男の屁のせいですっかり萎えちまったよ。
まぁでも今日は代打ありがとうな。
これでおれも次は胸はってG1に行けるわ!
2歳G1だって勝てば種牡馬になれるだろ。
( ´艸`)ムププ
なかなかいい流れだね、アナタ(笑)