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おれは人間サラブレッド ANATA号  作者: 桐生 ハム太郎
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第12レース 東スポ杯2歳S 前編

☆第12レース☆


帰厩してから数日が過ぎてる。

おれの頭の中は未だにモヤついたままだが、似鳥のオッチャンの差し入れが重賞を勝つたびに豪華になるので、それを食べてる時だけは全てを切り替えて幸せな気分でいられた。


「アナ夫っ、お前、バナナ食うか?」

似鳥のオッチャンがバナナをくれた。

うーん、バナナってこんな美味かったっけか。

食い物一つでこんな幸せな気分になれるなんて、人間の頃はそこまでなかったなぁ。


藤平厩舎もそこそこ名門だけあって、秋のG1を目指す馬も何頭かいる。


人間時代にも思っていたが、本番前にトライアルを使う方が良いのか?

ぶっつけで本番へ向かうのが良いのか?

トライアルを勝っても本番で微妙な人気にしかならない馬、

ぶっつけ本番にもかかわらず一番人気になる馬。


基本的には負けてない馬が人気馬なのであるが、あえて本番まで使わない事で、人々の脳内無敵馬をキープしてる馬もいるから面白い。


要するに、トライアル出たら人気で負けてたかも知れないけど、出てないから「もしあの馬がトライアル使ってきたら楽勝だったろうな」に勝手に変換されちゃうのである(笑)

藤平先生はこのマジックを頻繁に使う。

そして、このマジックは有力騎手すら騙す。

「あの馬最優先で本番は乗ろう」という気持ちにうまく持っていくのだ。


実際問題、トライアル使わない分、調教も本数重ねられるし、馬自体がほぼ仕上がってるなら近代競馬は騎手の力が大きいので、自然と勝てる確率が上がるという訳だ。



おれの専属騎手はリーディングジョッキーのクリスティだ。

何だかんだでコイツはやっぱ上手い。

コイツが乗る限り、これからもおれはそこそこ人気になるだろうな。



そして…

おれは結局、東京スポーツ杯2歳Sをトライアルに挟んで本番に臨む事が決まった。

似鳥のオッチャンの独り言で分かった事だが、結局のとこはまだおれの適正距離がよく分からないから、もう一度1800メートルのレースを観てから結論を出そうという事らしい。


ま、なんでもいいけど、馬の立場から言うなら距離は短いほうが早くレース終わって楽なんだけどね(笑)




「本日のメインレース、東京スポーツ杯2歳S。メンバーは15頭。馬場状態は良です」


そういや〜またロータリーターボがパドックにいたような。

またあれが逃げるんだろうから、今日は出来るだけ好位に付けてあまり楽に逃げさせないようにしねーとなぁ。

後、何頭か骨っぽそうなのがいるね。

さすがは東京スポーツ杯ってとこか。


芝のコンディション自体は秋のG1戦のダメージもそこそこあり所々痛んでる感じだ。

出来るなら最後はある程度外回った方が良さそうだね、こりゃ。


……


所で、何でおれの屋根はクリスティじゃないの?(笑)

誰だよ、こいつ?


馬であるおれにはイチイチ情報が入らない。

専属のクリスティはどうも10レースで落馬したらしい。

そして…急遽乗り替わりで日本人騎手が乗る事になったのだが、イマイチ顔がよく見えない。



「ま、いっか。走るのはおれだからお前は落ちないようにちゃんと捕まってろよ」





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