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神輿担ぎ  作者: 蒼崎海斗
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1.出会い

 昨日三時間程歩いた所でわかったことがある。道筋に歩いてはいるが完全に迷子になっているという事実に。

 歩いても歩いても人の家はおろか線路や何やらと人が近くに住んでいる気配すら全くしない。道には人の足跡の名残はあるので歩いていればいづれどこかの家に辿り着き、電話を貸してもらおうということも考えてはいたが、それどこれではない状況のようだ。

 そして夕日が沈みだす前に道を進むことを諦めた。

 道の近くに川が流れていること流れている小川の傍で休むことにした。

 合宿用に大量のお菓子を持っいき、顧問にそれを初日に没収されるというハプニングがあった。帰りの電車に乗る際に没収されたお菓子を返却されていたので、没収された際は不幸ではあったが、こうしてお腹を満たすことができたので幸運だったのだろう。

 そして、オヤジの趣味でキャンプなどに良く出かけていたため野宿する事に全く抵抗がなかったので、そのまま川の近くの少し広けた雑草が生い茂った場所をみつけ就寝。


「慣れてはいるけど、完全に用意もしない状態での野宿はきついな」


 キャンプ経験が豊富であっても、それはある程度準備を整えた状態でのことであって、テントはない、寝袋もない、包まれる毛布はないなどの状態での野宿は経験したことがなかった。

 救いは深夜になっても急激な気温の変化がなかったこと。天候が悪くならなかったこと。そして、部活の合宿で着ていたままだったウインドブレイカーの防寒機能のおかけだ。10月も後半であったことから、夜になると少し肌寒くなるかと思っていたが昨夜は想像していたよりも気温が下がることはなかった。少し大きめのスポーツタオルでを身体にかけ、枕代わりにスポーツバックを代用で熟睡。

 起きると地面の上で寝たせいか身体が少し痛かったが、ストレッチや整理体操をしていると、快調とまではいかなくとも普段通りの体調まで戻った気がする。

 川まで行き水を持っていた1リットル用の少し大きめの魔法瓶に詰め、蓋兼コップに水をいれ朝食代わりにお菓子を食べることにする。

 そして、お菓子を食べお腹を満足させながら状況の分析に入ることにした。

 昨日はなんだかんだで、山を一つ越えた。今いるのは二つ目の山の中腹くらいの辺りで野宿をした。

 昨日隣の山の頂上から見渡した感じだと想像以上の自然の真っ只中で最低でも後一つは山を越えないと街は見えないだろうという絶望的な状況。山の頂上でも携帯の電波は届かず、できたことといえばアクセサリーとしてバックに付けていた方位磁石とそこらへんの木の枝で、日時計を作成し大まかな時間の時計合わせをしたくらいだ。土とはいえ正規ルートの山道はある。その道沿いに行けばどこかに辿りつけるとは判断できるが、問題は迷っていることよりも、食料としての食べ物があと一回の昼食分位しかないことだ。

 こうして分析していってわかることがある。


「どうやってここに置き去りに去られたかはわからないが、食料の状況から考えてこの山を越えれば街に出られるってことだな」


 流石に冗談でこんなところに置き去りにされたとは言っても、俺が行方不明になっては警察沙汰になってしまうだろうし、こうしてお菓子とはいえ一日分弱の量の食料を持たしたことからこれは顧問もグルの冗談であると判断できる。

 合宿2日目に年齢が30後半の女顧問の前で、遅れた遅れた(スタートダッシュがだが)と数十回と連発しぶち切れさせたのを根に持っていたのだろう。自分としては苦手なスタートダッシュを克服しようと普段よりも多めに練習をしていただけで、悔し紛れに発言をしていただけだった。一緒に練習していた友人に止められるまではずっと同じ言葉を言い続けていて、止められた時既に遅く顧問の顔が般若のようになっていた。

 トラックのど真ん中で正座をさせられ、他の部員に迷惑もかけながら般若顧問より、いかに女性に対して言ってはいけない言葉がどうだと一時間近く説教。

 女子の先輩が言うにはその日の風呂場で、ブツブツと独り言を言いながら時折「小石川しばく」と呟きずっと湯に浸かっていたらしい。その怒り具合を聞いていたので、ある程度は今後の部活動で影響は出るだろうなあと考えてはいたが、まさかここまで怒らせることになるとは予想だにしていなかった。


「まあ、顧問が絡んでるなら親にも連絡が言ってるだろうし、のんびり登山気分を味わうかなあ」


 食べ終えたお菓子を鞄に詰め込み、少し伸びをしてから立ち上がる。整理体操はしておいたが、少し身体の強張りが残っていたのか背骨の骨が小さく音がなる。

 2日連続野宿は勘弁したいので、早いとこ今登っている山を越えることを決意し、川原をあとにし土の歩道に戻り少しテンポをあげて歩き出す。

 昨日は少し焦っていたこともあったのか気づくことはなかったが、土の道の踏み鳴らされかたが普通ではないことに気づく。


「人の足跡と、馬と車輪の跡」


 馬の足跡を見た経験はないが昔、競馬の特集か何かで馬の蹄鉄を調整する調教師の番組を視たことがある。そのときの蹄鉄の形に似ている足跡が複数土の地面に残っている。二度三度という頻度のものでなく、長年定期的にこの道を使っている。その為か、道とわかる程度に踏み鳴らされているのである。それに加えて柔らかい部分にまっすぐに線上に伸びる恐らく車輪を引いたであろう跡もある。その跡が馬よりも深くめり込んでいることから、結構な重量のものを乗せて運んでいるのだろう。

 車のタイヤの跡が一つも見当たらないことから察するに、この先にあるであろう村は相当な田舎なんだろう。


「今の時代に馬をメインの移動手段を使う村か。それはそれで珍しいな。まあ、テレビで知る常識なんて一部だけだからな。そんな村が残っていてもおかしくないか」


 流石に電気がろくに通っていない村があったとしても、国と連絡が最低限つくように役所か交番に行けば電話ぐらいは備えているだろう。そこで携帯に登録している顧問にでも電話し、謝って迎えに来てもらおう。

 予想はどうあれ、踏み均された道があるおかげで迷う心配もなく、普通の獣道を使って登山するよりも歩きやすい道があるのは大変に助かる。


「とりあえずあと一時間もあれば、二つ目の山の頂上にまで辿り着けそうだ。よし、ファイトー!!」


 部活で練習するときのように周回で走る時にいれる声をあげて自身を鼓舞し、気合を入れて少し距離のある山の頂上を目指して歩き出す。

 そして、歩き始めて一時間がたったくらいでついに山の頂上にまで辿り着き見下ろした風景に二の句が継げなくなった。

 家はあった。村と呼ばれるような規模で言えば、結構な量の家が建っている。

 しかし、立ち並んでいる家がどこかおかしい。昔の日本建築然とした建物でなく、洋画で出てくるような木や石が主な構成内容だ。それも一軒一軒の家の形に統一性が全くといっていいほどない。

 そして、半分予想はしていたことではあったが見渡す限り電信柱はどこにもない。


「……さすがに厳しいな。何世紀前の村だよ、ここは」


 連絡手段に絶望的な予感を感じながら、それならばとりあえず頼みこんででも食事だけでもわけていただこうと決意し、下山することにした。

 山を下りながら近づく家を見ると、何件かに一軒に馬小屋があり、馬が飼われている。そして、遠めにではあるが人の姿もちらほらと確認できる。


「都会に憧れる人って良く髪を染めるって聞くけど、農具を持っているような人まで染めてるんだなあ」


 金色の髪は遠めでも目立つし、中には赤色とか緑色とかもいるようだ。一人が染めている場合、村全体では異質扱いでも大半の人間が染めていればそれは同質になる。田舎の暴走族ってわけではないが、遠めにみても老人のような体格の人間が真っ赤な色の髪をしている光景は斬新である。


「ん~、なんというか、はっちゃけた村だなあ」


 とりあえず、連絡手段の確保のために誰かには話さないと自分の状況が改善しない。 そう思いながら歩いていると村の入り口のような木の柵まで辿り着いた。そこに立て看板があったので何が書いてあるのか見て、再度驚いた。


「どこの国の字だ?」


 なんというか横一列に正方形が並びそうな感覚で独特の記号が10文字くらいあるということは、絵ではなく文字であることが推測はつく。そして、その文字が日本語でも英語でもないことも。

 丸と三角と線そしてその記号の塗りつぶしや配置や大きさで文字として形成しているっぽいのだが、所見で解読できるものでもない。可能性は低いが文字でなく単なる落書きであるかもしれない。

 現状がこれが文字であっても読めないのであれば、自分にとって落書きであっても意味は同じだ。

 村の入り口を越えて中に入り、上から見たときに大きな建物が多かった村の中央付近まで伸びている道をあるく。


「おっ、遂に第一村人に接触」


そして、 待望の第一村人と遭遇することができた。まあ、第一とは言っても、男と女の2名なので正確には、第一村人と第二村人の遭遇だが。

 男のほうは金髪碧眼で背は俺と同じくらい。年も見た目には同じくらいだが、どこか落ち着いた印象の受ける青年で、雰囲気的にうちの部の部長のように安心感を覚える感じだ。

 女の方は茶髪茶眼で半ズボンに動きやすそうな服でどこかボーイッシュな感じだ。これまた歳は俺と同じくらい。

 そして何故か二人とも驚いたような顔をしてこちらを見ている。まあ、こんな地域の村だとよそ者が珍しいのだろう。

 それにしても、着ている服が二人とも手作り感満載の外国ファンタジー物の村人っぽい服を着ている。この村は服もろくに届かないのだろうか。

 とりあえず、村を調べるのは後回しで連絡手段の確保が大事と思い、二人に声をかけてみることにする。


「あの~、すいません。どこかに電話を貸していただけるところってないでしょうか?」


 そうして、声をかけると男の方が口を大きく開けて先ほど以上の驚きの表情を浮かべる。

男とは対称的に女のほうは驚きの顔からいっぺん、表情がなくなり感情の見えない眼で俺を見据えてくる。もしかして何か失礼なことを聞いたのかと考える。思いついたのは電話があるのかという事で、もしかして馬鹿にしすぎていただろうか。しかし、こちらにしても大事なことなのでもう一度聞く。


「どこかに電話を貸していただけるところってないでしょうか?それか携帯電話をもっているのなら貸していただけると助かります」


 一度目に少し無愛想だったかと思い最後にできるだけ笑顔をつくる。

 すると、無表情でこちらを見ていた女のほうがこちらに近づいてくる。後ろで男の方は固まったままだったのは気にはなったが、まあ問題はないだろう。

 ゆっくりと、こちらに近づいてくる女。近づくほどに顔が良く見える。いまは無表情だけど、こんな田舎じゃなければ噂になったりどこかの事務所にスカウトでもくるんじゃないのかってほどの美人だ。冗談で陥れられて山の中を二日間彷徨ったが、こんな美人に出会えたのならみんなに自慢しかえしてやろうと思う。

 少し浮かれていた俺にゆっくりと近づいていた女が目の前で突然消える。


「えっ!?」


 一瞬なにが起こったのか理解できなかった。目の前にいた女が文字通り消えたのだ。そして、頭の整理がつかない合間に自分の両脇から何かがとおり首周りに圧迫感が走る。何者かに首と腕を極められていることを経験上瞬時に察知した。

 けれど察知するまでは良かったが普段からの冗談でのやりとりでの絞め方と違い本格的に極められている。

振りほどこうと身体を動かそうとしたが、そのとき右足が払われる。そして首を絞めてきた何者かが片足でバランスの取れないところに、後ろから重圧をかけてくる。

そのまま自分がどうなるのかの予想はついたが、完璧に技を極められた俺はどうすることもなく、土の地面と激しくキスすることになった。

 あまりにも強い衝撃を受けた際は感覚がどこか麻痺することがあるが、今回もそういう類のようで強烈な顔面殴打に痛みは感じず、そのかわりに意識が薄れていく。

そして、薄れいく意識の中で自分が極められた技の名前をつぶやく。


「……スカル・クラッシング・フィナーレとかマニアックすぎだろ」


そして後頭部に強烈な痛みが走ったと認識した瞬間薄れていた意識が完全に途絶えた。


異世界に迷い込んで二日目。俺の異世界人との第一接触がこれだった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 昨日さんざん噂話をしていたのが嘘のように今日のレクター村は平常運転だった。

 昼すぎのピーク時間、店内には帝都からの行商人が数名、井戸端会議用に集まってきた主婦たち、仕事の休憩に来た村人が数名だけの至っていつもどおりの昼の風景である。


「おい、アリー。店のほうはいいから、畑に行って夕飯用の食材を取ってきてくれ」


「わかったー。それじゃあ少し出かけてくるから、あとお願いね」


 実家が宿屋件酒場とはいえ村の中に自分の家の畑はある。副業である為、農業専門でやっている家の畑に比べれば小さなものだが、その分他の畑では作っていない食べ物を作り店のメニューにしている。そして、食料を夕飯分だけ取ってくるのが私の仕事の一つだ。

 カウンターの横の通路を抜け、そのまま直通の家のリビングに入り、着ていたエプロンをイスにかけて外に出る。家を出てすぐにある納屋から背中に背負うタイプの籠を持ち出し、背負って歩き出す。

 歩きながら伸びのついでに見上げた空は快晴で雲ひとつなく、もうすぐ冬になるというのにそれを感じさせない陽気だった。

 そうした足取りもよく畑に続く道を歩いているときに目に入ってきたのは村の向こうに聳え立つ山脈だった。

 昨日の噂どおりなら、目の前に見えている山のもう一つ向こうの山の向こうに何かが落ちたらしい。気にはなるけど、他の地域に比べて魔獣が出没する山に好奇心だけで確認に行くほど酔狂なものは村には誰もいなかった。

 よって今日にいたっては昨日の噂はどこへやら、平常運転のレスター村になったわけだ。


「山向こうに確認でもしに行くのか?」


 山を見上げながら歩いていた私に横から声が掛かる。横を向いてみると昨日の昼に店に来ていたベネットがいた。


「そんな酔狂なマネしないわよ。確認なんてしに行ったら往復で二日はかかるじゃない。父さんに怒られるわ」


「そこで魔獣が危ないとか言わないあたりが、アリーらしいね」


「そんなもの出ても返り討ちにしてあげるわよ」


「……冗談に聞こえないから怖いよ」


 辺境の村とは言っても帝都を中心に考えて、この村より外側に位置する村は複数存在する。そんな村への中継地点となっているレクター村の宿屋をやっていると、変な大人がいたりする。そんな大人相手には力のない女でいると舐められてしまうことが多々ある為、対策として過保護な父親より幼いころから色々と鍛え込まれていた私にとっては、ちょっとした魔獣程度なら撃退することができるのだ。

 そんな私のことを知っている幼馴染であるベネットは私のことを女扱いするわけもなく、男友達として接してくる。

 こういう自分が嫌いではないので別に文句はないのだが、完全に女扱いされていないというのも少し釈然としないものがる。


「この時間帯に、この道を通るって事は畑の野菜採り?」


「そうよ。夕飯分の材料を適当に見繕ってくるの」


 夜になると酒場はみんなの溜り場になったりするが毎日同じ量の来客があるわけではなく、分量はいつも適当に見繕って採取する。気を利かして大量に持って帰っても注文されなかったりで無駄に余らせてしまうとせっかくの採れたてがもったいなくない。だから料理は微妙に足りなくなるくらいがちょうど良い。


「今暇だから手伝おうか?」


「そうね。そんな採るつもりはないけど、早く採って帰りたいからお願い」


「了解。そうそう、来月にジェニーがこっちの村に泊まりにくるんだよ。なにかおいしいものないかな?」


「はいはい。手伝ってくれるのはうれしいけど、婚約者の惚気話は今日は勘弁してくれない」


 昨日休憩時に来たベネットの話の七割が、隣村のベネットの婚約者ジェニーのことで耳にタコ状態だ。それに加えて昨日の夕刻以降に連絡があったのか来月にはその婚約者がやってくるという。正直なところ目障りになりそうなので、あまり遭遇したくはないのだがベネットのことだからうちの店に入り浸ることになるのだろう。

 とりあえず、手伝ってくれることは了承してくれたので、村の入り口近くにあるメイトリクス家の畑まで連れ立つ。

 道中、案の定聞いてもいないのにベネットの惚気話を聞くことになり、手伝いを頼んだのは失敗だったかと苦笑いしながら今後は気をつけようと心に誓う。

 そして、村の入り口まで辿り着き、畑に入ろうかとした時だった。


「アリー、あれ」


 ベネットが入り口向こうにある山道を指差しながら驚いている。

 友人の驚きを目にし、自分の中で何か危険があるのではと瞬時に臨戦態勢に入る。

 そして、ベネットが指差す方を見た。


「……なに、あれ?」


 見たこともない服装に身を包んだ男が山道を悠々と降りてくる。

 帝都からの行商人などや、軍隊、査察官、色々な国の人間を見てきたが、その中でも軍を抜いて異質な服装をしている。

 すぐさま、目に魔力を通し視力を強化して確認をする。

黒髪、黒眼。それだけなら珍しい部類に入るが着ている服は強化した視力で確認すると遠めで見た以上に変だ。貴族が着ているような服みたいに設えがよく、手首や足首の部分が締まっているのにボタンも何もない。

 そして色がおかしい。ただ黒いだけでなく、どこか昆虫の身体のように艶がるのに男が動くたびに伸縮している。

 全身謎の服装に身を包んだ男が、昨日の噂のあった山から降りてくる。

 得も言われぬ雰囲気を漂わせた男を見てどうすればよいのか判断できない。

 そんな男がこちらに気づき声を発した。


「***、*****。**この豚女****」


……なんだと、この野郎。

あらゆる言葉を想定していた自分の耳に聞こえてきたのはそんな言葉だった。

聞いた瞬間に頭の中が真っ白になり、私に向かって暴言を吐いた謎の男を見据える。

男は少し首をかしげて何かを考えた、もう一度声をかけてきた。


「**この豚女****。****ペチャパイ女*********うぜえ」


 暴言の後に、こちらに言ってやったぜとでもいうように満足そうな笑顔を向けてくる。

 そこで私は完全キレてしまった。

 ゆっくりと、男に近づきながら全身に魔力を通す。

 そして、間合いまで入った瞬間に踏み込み相手の左側を回りこむように滑りこむ。

反応できていない相手の両脇から手を廻して頭を固定。

 ここで相手が少し反応しようとしてきたので、素早く右足を払い前方に力がいくように飛び込む。

 数瞬あとに地面と接触。すぐさま腕を解き立ち上がる。


「**********************************************************」


男が何かうわごとのように呟くのが聞こえるが魔法を使われないように即座に後頭部に蹴りを打ち込み意識を刈り取る。


「ズタボロに眠れ!!」


収まりきらない怒りをこめて、どこの誰ともしれない無礼な男に言い放つ。


これがわけのわからない同居人との出会いだった。

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