ただの何でも屋です
カーテンの僅かな隙間から日が射し込んだ。時計を見ると、AM11:55。あと5分で、約束の時間だ。やべぇ。慌てて着替えを済ませ、総会に走った。
「遅いですよー、黒川さーん」
総会の門に寄りかかりながら何でも屋は言った。
「悪ぃ」
門をくぐり、集会所に向かった。
「そーいや、お前、そのまま隊長達に会うつもりか?」
「そのつもりですよー」
「どやされても知らねぇぞ」
簡単に何でも屋の滑降を説明すると不審者だ。フードを深くかぶり顔が見えない。俺は何でも屋と知り合って今まで顔を見たことがない。
「その子が、協力者なん?」
「師走隊長!はい、まぁ、一応」
「ついてきい」
いきなり現れた師走隊長について行くとそこには、総会の全隊長副隊長が勢ぞろいしていた。後ろで、何でも屋が口笛を吹いた。
「全隊長様副隊長様が勢ぞろいやないですか」
ぼそりと何でも屋が呟いた。
「おい、光翼!そいつが今回の任務の協力者か?」
「そうですよ。如月隊長」
如月隊長は何でも屋につかつかと歩み寄り
「俺が直々に出てきてやったってのに、面見せねぇといい度胸じゃねぇか」
そう言うと如月隊長は刀を抜いた。
「如月隊長!」
間に合わねぇ
「危ないなー」
何でも屋は軽々と如月隊長の一撃をかわし、刀の上に乗った。
「今回、黒川さんの任務を手伝わしてもらいます、何でも屋と申しますー」
何でも屋は何事もなかったようにおどけた仕草でお辞儀をした。ほとんどの隊長達が臨戦態勢に入った。殺気に気を失いかける。
「君おもろいなー」
そんな中誰かが場違いなことを言った。
「師走隊長ふざけてる場合ですか?」
「まぁまぁ、神無月君もみんなも落ち着きぃや」
師走隊長はいつもの笑顔のまま言った。
「ごめんなぁ、何でも屋君」
「大丈夫ですよー」
と何でも屋はおどけた口調で言った。
「全員元の位置に戻れ、話が進まん」
睦月隊長の氷の声が響いた。
「現段階で分かっていることをすべて話してもらう」
ガラス玉のような目が何でも屋に向けられた。
「はい、お安い御用ですー」
「鬼についてどかまで分かっている?」
「鬼の発生原因及びそれに関係する組織までですかねー」
その場にいた全員がざわめいた。
「お前は何者だ?」
「いややなぁ、ただの何でも屋ですよー」