カッ素い宇宙転生4
補助記号:◎話数、○●天、□■地、△▲▽▼人神視点◇◆亜空間。 【最重要読書前注意&要覚悟事項】:本作には地の文が皆無で動きは重視しておらず、表現不可避部分は台詞に()等で無理矢理詰込んでます。許容して読める方のみお進み下さい。途中離脱か読後後悔で人生時間を奪った際はご宥恕賜りたく存じます。4部構成第4部です。タイトルは転生と読みます。それではどうぞご高覧下さい。
◎ 第43話 あっかん編 ◎
● 別宇宙無期滞在刑43日目の夕方 ●
■ カッサンドロップスの家の近くの浜辺 ■
△ 大昨夏未来 △
「……前の時は深く考えられなかったんだが……」
「ん?」
「前も未来君に『帰れたら二度と会うことは出来ない』と言われてたけど、頭では理解してるつもりでも実感が湧かなかった」
「まぁ二度と会ってるんやけどな(笑)」
「それに最高神が作る世界と世界を繋ぐ出入り口。あれを目にしたのも、君の帰り際のことだった」
「せやな。半信半疑でもしゃーない……いや全く信じられてなくても無理ないで」「そうだね……(落)」
「でも例え半信半疑やったとしても、カッさんはうちのことずっと助けてくれた」
「うん……(落)」
「カッさんそんな俯かんといて」
「どうしても君を引きとめることは出来ない……?」
「!」
「!!」
「……せやで」
「千早ちゃんと同じや。向こうの世界にはオトンオカンがいるんや。帰らないわけにはいかん」
「……君は二度も神々の命令を成し遂げた。しかも二度目は自身への神罰ではないにも関わらず危険を冒してだ」
「? せやな」
「…………」
「何か報われてもいいんじゃないか」
「えっ。まぁ、あの、確かに。言われてみれば? そうかも」
「神々に頼んで、もう一度だけ君が向こうの世界との往来を可能にする権利と、腕輪……両方が駄目なら通訳の方の腕輪だけでも着け続けることを頼めないかな?」
「え……?」
「?」
『…………』
「それで……往復して、またこっちの世界に来れて。それでその後、うちはどうしたらえぇんや???」
「もし僕の世界で僕と一緒に暮らして一生を過ごしてもいいと思えるなら、自分自身の決意でご両親に別れを告げて、最終的な決心がついてからこっちの世界に来てほしい」
「!!!!!」
「そんな気にはなれないのなら、それはそれで構わない。元の世界でそのまま過ごせばいいだけだ。来る権利を行使しなければそれでいい。もちろん僕はどちらでも君の選択、意思を尊重するよ」
「あっ……かんで、カッさん。それはちょっと。違う。解釈不一致やな。あかん」「! 待ってくれ! もしかしてテッサロ二課が問題かな? 君が来てくれるならば僕も決断するよ。君の立場を不安定になんてさせない」
「カッさんっ!!」
「一旦、その口閉じーや? うちもう聞きたないで、その言葉の続き」
「未来君……」
「強くて逞しくて、とっても頼りになって、すごいかっこよくて、うちにだけ特別優しくしてくれるお兄ちゃん。ずっとそのままのカッさんでお別れさせてや。お願いやで……幻滅したないんや」
「…………」
「ちゃうんや。こっちでずっと暮らすなんていう選択肢はうちには最初から無いってことを分かってほしいんや。というか、そんなもんはあったらあかんのや」
「あったらいけない? 果たしてそうだろうか? 義務でも強制されたわけでもなく、君の自由意志による選択と決定なのだとしても?」
「あかんな」
「ただでさえ普段から家族に心配かけとる。『未成年で女子高生やけど好きな男が出来たから紹介もせず異世界に駆け落ちします。もうこの家には帰りませんし二度と姿を見せることもありません、お父さんお母さんさようなら』って??? うちはな、これ以上親不幸したくないんや。悲しませられんのや」
「…………」
「だから本当に好意やって分かってるしその気持ちは嬉しいけど、これ以上誘惑せんといてな。選択肢なんていう迷いが生じる心の隙があるのがもう良くないんや。それにカッさんにだって無意味に待ってほしくない。待ってられると思う方が正直つらいわ。ただ単に会えないよりずっとな」
「…………」
「権利や選択肢は要らん。今うちらの関係性に必要なのは……」
「断ち切ることや!!」
「!!」
「これ以上深い関係なる前に。それぞれの人生をそれぞれのいるべき世界で、より良く生きる為に。そうやろ? それがあるべき姿やねん必要やねん、求められてることやねん!!」
「……そうか……」
「奥さんとお子さん達のこと。大切にせなあかんで。カッさん」
「……。そうだね」
「僕は最終最後まで君に口で勝てなかったね、未来君。全面的に君が正しい」
「……(俯)」
「無闇に惑わせてごめんね。君を失望させてしまった」
「そんなことないっ!!」
「……ごめんね、カッさん。うちのこと、こんなに……(苦)」
「いいんだ。全て君の言う通りにする」
「……(俯)」
『……何やら人間同士、勝手な前提の上に立って話し合いをしているようだが』
「!!」
「ひっ(怖)」
『よいか? 汝等は帰ることが出来ると決まった訳でも何でもないからな???』
◎ 第44話 雑っつ編2 ◎
● 別宇宙無期滞在刑43日目の夕方 ●
■ カッサンドロップスの家の近くの浜辺 ■
△ 大昨夏未来 △
「もしかして、呼ばれたのかい?」
「せやで」
「そうか……」
『汝等、共同神命を遂行したか』
「はい。一緒に書いたんだよね、千早ちゃん!」
「は、は、はい! 一応あの、そうです」
『では奉納品を天に向かって掲げよ』
「千早ちゃん、ページのそっち側持って」
「うん」
「これやでカッ素神様!!」
『!!』
「これがうちと千早ちゃんの合作名付け地図や! もちろんカッさんの地図提供と協力もあるで!! それでは共同提出の前に名付けの一例ご紹介!!」
「まずは『大阪ギリシャ』からいくで! ここの近所の知一位の都市は哲学者があーだこーだ考えを言い合ってそうやから『合ッテナイ』もしくは『合ッテネー』、武一位はやたら時代錯誤っぽい訓練教育とかしてそうやから『スパルタン狂育』、神一位の都市は漢字の感じと大阪市に該当する合ッテナイとの位置関係的にいって(?)テーベならぬ『神戸』。競一位はオリンピックっぽいから、つまり五輪でゴリンピア……だと圧倒的に捻りが足らん。そこで更に、うちら地球人からしたらここは全部地球のコピペ都市っぽい感覚がどうしても拭えないことにちなんで、それを掛け合わせて『五ピペンピア』や! 次に走一位はマラソンっぽいから内側でグルグルするのを避けて、出来る限り外周を走って距離を稼ぐ感じで『マラ外ン』、境一位はコイントスで決めたで! コインの表、つまりカッさん王の横顔の絵柄が出たらそのままコイントスって名前にしよかって思ってたけど、裏側が出たのでつまり地球準拠(?)で『堺』や! それから託一位が神戸と属性被りなんやけど神殿から神託がほいほい出ることから連想して『出ルホイホイ』、それからそれから! プラスチック製のタイヤが」
「未来ちゃん……未来ちゃん……。未来ちゃんっ!! そろそろ次に……」
「あ、ごめん。ついつい全部紹介する勢いやったで、危ない危ない……。えー……じゃあ続いて地中海っぽい海の周辺地域いくで! 『イタリア京都ー』と『イオニア愛知』、『カルタゴ福岡』『レパント和歌山』がメインやで。まずは『イタリア京都ー』、となると人一位の都市は必然的に『ローマ京都ー』で決まり! イタリアの方は半島、ローマの方は教頭先生から先生抜いた教頭のイントネーションや。微妙に違うんやけど、まぁ尻上がりにしないことが共通してる感じ。言ってみれば京都府と京都市の関係(?)やな。それでそっから南の方にある島、名付けて一理あるを通り越して七里アル島の草一位。カッさんから聞いた話だと湿地帯に出来た殖民都市って話やから、そこから捻り出して『知ラン草』、草なんて知らんわ、次の草生やす前に高速で発展したったるわっていう開拓者の気概を込めての名付けやな。そんで次に北の方に行って干支一位やけど、え、自分取るのソレ!? 取ってくのリアルに!? みたいな感じで『エ取ルリアル』や!! そんでそんで、次に麺一位なんやけどナポリタンとかじゃ圧倒的に捻りが足らんからうちが考えたんはラーメンと蕎麦とうどんとスパゲッティから発想を得たんや! ソバゲットゥードンメン、それだとナポリタンの原形とどめてへんからその2つを更に掛け合わせて」
『小娘……小娘……。小娘っ!!』
「はいっ?」
『もうよい、うんざ……いや! じゅうぶんだ』
「あっそうですか?」
『もう合格とする。ギリギリの及第点でな。可だ(諦)』
「えぇ~っ!? この力作が? 合格ラインギリギリですか???(不満気)」
『そうだ。よって2人とも元の世界に戻ることを赦す(諦)』
「良かった! 千早ちゃん、帰れるんだよ!」
「うん……うんっ!」
『そのノートはそのうちタイミングを見て我が複製して学者と各都市の市政運営者や住民どもの手に渡らせる』
「はい! どうぞどうぞ!(ノートが消える) 別にすぐでもえぇと思いますよ!! 各地で信じられてる最高神の名義でドシドシ配っちゃって! どんどん普及させて下さいね積極的に!!」
『では2人ともその男に、永劫の別れを告げるがいい。今度という今度こそな』
「……はい……」
「…………」
「あのっ! 別れの挨拶、私から先で!(千早が手を挙げる)」
「ありがとうございましたカッサンドロップスさん。未来ちゃんが助けに来てくれましたが、あなたの力添えがなければ私は生きてあの牢獄を出られませんでした。命の恩人です、何の恩返しも出来ませんでしたが……(握手)」
「構わないさ。帰れて良かったね千早さん、お元気で(握手) ……未来君は僕の妹のようなものだ。どうか故郷でも未来君と仲良くね」
「えぇ。もちろんです」
「……カッさん」
「未来君」
「うちにとっても最初から恩人やったし恩返し出来てないのもそうやけど、もう何もかも全部助けられ過ぎてそういうの通り越してる。どうしたら、何て言ったらいいのか、もう分からん(苦)」
「気にしなくていいんだよ。もうじゅうぶん過ぎる程に返された」
「そうかなぁ……」
「これ以上の恩返しなんて必要ない。そもそも君を助けたのも一緒に千早さんを助けに行ったのも、全て僕が勝手にやったことだ。それよりもっと近くで顔を見せてくれないか? 最後なんだから」
「うん……っ!!!!!」
「!!(滝汗)(赤)」
「……カッさん最後やからって! ちょっと強引が過ぎるで(照)」
「ごめん」
「でも夢のようやったわ。ありがとう」
「…………」
『……そろそろよいか?』
「えぇでカッ素神様! これ以上はうちもつらくなる、ゲート出してや!!」
「!!」
『――――』
「ひぃいぃいっ!!(怖)」
「カッさん!! もう一生会えなくっても一生忘れへん思い出や!! ほんま楽しかったで! ありがとうや!! だけど今度こそ、さよならや!!」
「僕もだよ未来君!! 逢えて嬉しかった、楽しかった!! ありがとう、さようなら、さようなら!!! さよう――」
◎ 第45話 カッ素編4 ◎
◆ 宇宙の神々の亜空間 ◇
▲ カッ素宇宙の主神 ▲
「うっ……」
「起きたか? 小娘」
「あ……れ……? カッ素神様……。何で……意識飛ばしたんですか?」
「汝があの男と別れた直後では、スッと我の話に入りにくかろうと思ってな」
「! すんません……。何か気を使ってもろたみたい(汗)(照)」
「ふん」
「水素神様も、ようやく起きられたんですね」
「ようやくとは何たる物言いじゃ? 驚異的な程に早く起きたぞい。それもこれもお前達我が宇宙の地球人の為を思ってのことじゃて、うんうん」
「あっはい」
「水素神、小娘の通信機類を預かっとったろ」
「そうじゃった。電池切れとるようだがの。ホレ」
「! ありがとうございます! 良かったぁ。ひっさびさに触ったわこの感触!!(嬉)」
「そして、えぇーとお……」
「オリュンポ素神だ」
「オリュンポ素神様! あの女神から私とカッさんを助けてくれてありがとうございました」
「礼には及ばない。私の宇宙から出た不祥事だ」
「それからカッ素神様も……」
「ん?」
「ローマ京都ーでベストタイミングの雷落としてくれたの、カッ素神様でしょ? ありがとうございました」
「ふんっ。人一位の人間どもがまた思い上がらぬよう、この機会を利用して再度警告したまでのことよ」
「それにローマ京都ーに着く前も。女神が襲ってきた時、オリュンポ素神様を緊急で来れるようにしてもらったって話も伺ってますし」
「そうだがな。あのな小娘、ひとつ言っておくがな。汝等のその地名の名付けだが、うまいこと我の星の人類に定着するか分からんぞ?(笑)」
「いやそこはもう定着させてもろて。せっかく神命こなしたんやから。人一位だの知一位だのいちいち分かりづらい! 地名に固有名詞をつけたがらないしょーもな習慣を捨て去ることから、カッ素星人の進歩は始まるってことですわ!!」
「そうだといいんだがな?」
「うぅ……」
「千早ちゃん! 千早ちゃん、大丈夫? 起きれる?」
「う……ここって……?」
「ここは神様達の方の亜空間やで、最初に来る時来たやろ?」
「亜空間……? でも……浮いてない……」
「カッ素神様がうちらと話しやすいように普通の重力つけてるんやて」
「カッ……(三人の主神を目にする)」
「ひぃいいいぃいぃっっ!!!!(怖)」
「ぅわ!?(驚)」
「恐みぃぃぃ~恐みぃぃぃ~も白すぅうぅう!!(怖)(平伏)(箒で祓う)」
「…………」
「…………」
「…………」
「祝詞ここしか存じ上げませんんんんんんんどおか何卒ぉおおおぉお何卒御赦し下さいぃいぃぃ(怖)」
「千早ちゃん。えぇて。だいじょぶやから、そんなんしなくても。もうだいじょぶなんや。もう神様達は許してくれはってるんや。ねっ。ほら」
「……未来ちゃん……(怯)」
「立てる?」
「立てる……」
「……(伏目)」
「ゴッホン。では赦しの儀を執り行うぞ」
「お願いします!」
「汝等、共同神命を見事成し遂げたり。我はその忠誠、実直なる働きぶりに甚く感心した。よって汝、冬楠木千早の過失による通神発石破損の罪を……」
「許さない!!!!!(激怒)」
「!?」
「ヘーベー神……?」
「ヘーベー貴様、誰の許可を得てここにいる?? いや、まずどうやってここに来れた?」
「許さないで下さいまし、そいつらを処刑して下さい私の名誉の為に! カッ素神様!!」
「その声、あん時の……!!」
「誰? 未来ちゃん(超小声)」
「ほら話してたやろ、あんさんを助けに行く時にうちとカッさんを襲った女神や。まともに姿見たんは今が初やけど」
「おい!! 女神『様』だろぉーが地球の女ぁ!?(歯バリバリバリバリバリ)」「ひぃいいいい未来ちゃん!! ほんとにだいじょぶなのここおおお!?(泣)」「カッ素神様! どうなってはるんですかっ!!(汗)」
「安心せい。ここは我の作りし我が統御する亜空間ぞ。我が許可せねば中級神の力では汝等に何の危害も加えること叶わぬ。主神程の力があれば別だがな」
「そんなこと言って、カッ素星にも無許可侵入して攻撃して来たやないですか、この人!!」
「ぐぬっ」
「ふぉふぉっ! これはもっとも! 小娘に一本取られおったのカッ素神!」
「『人』じゃねえええぇっっつってんだるぉがてめえ人間の女ああぁ!!(激怒) め、が、み、さ、ま、だ!!」
「やれやれ、戻ってきて早々にやかましい女神じゃわい。しかし急に宴の場が華やいで賑やかになったのう! 実に愉快じゃ愉快じゃ」
「ヘーベー。お前の主神の質問に答えろ。いつ脱獄し、どうやって遮断を突破してきた?」
「嫌ですわ~脱獄だなんて人間じゃあるまいし! そんなはしたない真似しておりませんわオリュンポ素神様ってば。面会にいらしたティターン素神様に冤罪を涙ながらに訴えたのです!」
「なーにが冤罪……ティターン素神が? あの不真面目神が共通機関の監獄などというつまらない場所に、わざわざお前の為に出向いて行ったというのか?」
「たまたま顔素神様との主神会談が開催されたからですわ!」
「何だと? 初耳だぞ私は(驚)」
「本当ですわ、私も監獄で初めて知り驚きました、電撃会談のようです。その後、主賓の顔素神様が監獄を見学にいらして、後からティターン素神様も来たのです! 顔素神様は初対面の私をさり気なく庇って下さいましたわ♪」
「情報が抜けてないか? ヘーベー神。その場に派手素神もいただろう」
「……カッ素神様。その登場神物はこの話の流れにおいて、然して重要な情報でもありませんので。省いただけでございます」
「そうか?」
「そして顔素神様との会談を記念して、寛大なるティターン素神様には恩赦により出獄許可を出して頂きました♪」
「恩赦など許されん、お前は私の部下なんだ。何を勝手に」
「神朕大赦でございますわ♪」
「!!」
「ついでにここへの直通路も繋いでもらいまいた♪♪♪」
「ハァ(溜息)。やはり前主神の方針が元凶なんだ。忌々しい……第十二宇宙共通罪神矯正機関を含めて、共通機関も共同空間ももうこの際、全廃すべきだな」
「しっかしのぉ。どういうつもりなんじゃティターン素神は、こんなことをして? ティターン素第十二宇宙の加盟が危うくなるじゃろうに」
「恐らくそれでいいんでしょう。ふざけているんですよ、私達をからかって反応を楽しんでいるんだ。アイツは昔っからそういう奴ですから(憤)」
「これで決まったな。同盟総会ではティターン素神が自ら撤回しなければ、加盟申請却下の方向で我々が議事進行を主導しようぞ。さて……」
「※ーろっせ! こー※っせ! こーろっ※! そーのおんな!! ※ーろっせ!! 女のにんげんこーろっ※!!」
「ヘーベー神よ。ここは我の亜空間だ。いくら我が心広しと雖もこれ以上の勝手は許さん」
「カッ素神様、ですが! こいつのせいで私は他の人間どもの前で恥をかかされたのです!! 到底許せません!! 罰を下して欲しいのです!! 罪人に相応しい神罰の追加をっ!!!(願)」
「ヘーベー、お前は一体どこまで自業自得を繰り返せるんだ? 一体どういう神経をしていたらそんな発言が出来るんだ? 今現在進行形で私に恥をかかせ続けているお前が」
「オリュンポ素神様は黙っていて下さいな!」
「なっ何だと!?!?!?」
「通神発石を損壊した罪人がたまたま地球の女2人だったから興味を惹かれたんですわ!! 必要以上にこの件に関与して、しかも威厳も示さずに甘いんです!! あ~も~鼻の下を伸ばしてだらしがないっ!!(嫉)」
「この前言っただろう! 私が関わっているのは私の宇宙で生産されている該当の通神発石が欠陥品だったのだから当然の義務を果たしているまでだ!!」
「!?」
「っ!! ……」
「いいえ女だからです! 女だから他神の判決に異議を唱えて、強引な理屈をこねて原則を逸脱し、同盟宇宙間で合意済みの転送神罰に対して、司法管轄権を侵害したんです! 同盟の盟主として取るべき行動では決してありません、とんでもないことです!! 僭越ながらあえて申し上げます! あなた様に前盟主の統治やその方針を批判する資格など到底ございません!!」
「司法侵害などしていない! カッ素神に説得を試みただけだ!!」
「更に言えば司法侵害を拒否された後にあなた様が神罰の行く末を見届ける必要性なんて皆無っ!!」
「黙れヘーベー! その喧しい口を今すぐ閉じろ!」
「でもこれがもし仮に転送神罰対象者が地球の男2人だったらどうだったでしょうか?? カッ素神様によってどんなに惨たらしい酷刑を受けていようとも、あなた様は冷淡に全無視してましたわね宇宙政不干渉の基本原則に従って。もーお私には分かりきってるんですからっ!!」
「無視などしない! 仮に男であったとして私は減刑を提案していたはずだ!」
「男なら末路を見届けもせず見※しですわね、見※し。いいえそもそもそれ以前に最初から然したる興味すら持たなかったことでしょう。そうですわね、強制労働と※問映像を尻目に酒を飲みながら三神様方勢揃いで、まずは通神発石の後処理話。その後は同盟総会議事進行の相談で、ティターン素第十二宇宙の加盟可否の話に花を咲かせながら、更に一通り酒宴の場が盛り上がりますわね。罪人の男がボロ雑巾にされていく様子を映像に出して酒の肴にしながらねっ!!」
「黙れっ!! 男だろうが罪状が同様の件ならば助命嘆願をしていたことは間違いない!! お前の主神の公正公平平等中立をそこまで疑うかへーべー!!」
「疑いなんかじゃありません! 確信ですわ! あーもーやだやだ女女女女女!! はーあ嫌らしっ!! な~にが平等!!」
「もうよいか、お主等。ヘーベー神よ。この2人は我の神命を完遂したのだ。もはや神罰は終わった。それをこうして主神方も見届けておるのだ。全員一致で、この2人を地球に帰すことは決定事項であることを確認している。もはや覆されぬ」
「いいえ全員一致ではありませんカッ素神様! 私がっ! この私が反対しておりますわ!!」
「お主には議決権などない。よいか? ここは我の亜空間だ。そしてお主はついこのあいだ明確な害意を持って我の宇宙に侵犯した罪神だぞ忘れたか……?(脅)」「ひっ」
「しかも獄中から再犯した。侵犯の次は残夢への無許可不当干渉。我は全て把握しておるぞ」
「いえ……あれは別に……違うのです、あの件は」
「言い逃れは無用。派手素神に弁明したことを我にも繰り返さんでよい。派ー手ー素宇宙との協定上、全て我に報告が来ておるのだ」
「…………」
「お主の小賢しい立ち回りと誑かしも正直悪い気分でもないし、これまでは大目に見てきたが、今度の一連の件ばかりは我の堪忍袋もさすがに限界だ。他所の中級神とはいえ、これ以上騒ぎ立てるなら今ここで消し炭にするぞ。そこで暫く座って静かに反省していろ。酌もせんでいい、口を利くな、動き回るな。よいな」
「で……ですが私はティターン素神様に恩赦を与えられ」
「黙って座っておれ!!!!! 分かったか!!!!!(超激怒)」
「っっ(怯)」
「(女神大泣中)」
「すまんかったのぉ、2人とも。何ともカオスな空間になってしまったわい」
「いえ……水素神様に謝って頂くことではないですんで……」
「…………」
「そうそう。わしからも言うときたいことというか、伝えたいことがあったんじゃがな。もうあの社に通神発石は置かんことにしたからのぉ」
「あ! そうなんですか?」
「うむ、あの辺の地域は場所を移して設置しカバーすることとしたのじゃ。それから地球上にある通神発石も総点検して、たまに変化球で露出しとる面白いのがあったんじゃが、今後は全て人間が普通は接触出来ない場所のみに設置することとなったぞい。今回の件の反省を踏まえてな」
「いやだから。最初から全部触れないようにしてて下さいよ水素神様」
「正直すまんかった」
「あ! 神社の話題で思い出しました。カッ素神様!」
「…………何だ…………(苦)(伏目)」
「あの4人組も虫としての善行を積んだら、後は人間に戻してから地球に返してあげて下さいね」
「? あぁ。そのことか……虫というか……虫としての善行だと??(笑)」
「虫って……?」
「あ、聞かされてなかってん千早ちゃん? あの神社に来た不良達や。神罰でカッ素星で今、虫になっとるんや」
「虫に……転生!?(驚)」
「転生だと!? 今、汝は転生と言ったな!!!!! 許さん!!!!(荒)(激怒)」
「きゃあああああああああっ!?(怯)」
「許さん!!!! 許さんぞおおおおおおおお!!!!(荒)(激怒)」
「やっばい地雷踏んだでコレ!! カッ素神様、鎮まって下さい!! 転生、転生、転生、転生、転生、転生、転生、転生!!(汗)」
「……よいか!! 輪廻転生の転生だ!! もし次また転生などと口走ったら、再度転送神罰を食らわすぞ、分かったか女!!!!!(激怒)」
「(千早超大泣)」
「(女神大泣中)」
「千早ちゃん! ほらーもお!! 細っかいんだからカッ素神様は!! せっかく落ち着いてきたのに、また泣いちゃったじゃないですか千早ちゃん!!(怒)」
「フンッ!!」
「……カッ素神、水素神。いつまで経っても話が横道に逸れては誰かが怒って誰かが泣いて、もうキリがありません。そろそろ2人を解放してあげましょう」
「そうじゃな」
「そうだな」
「水素神よ、ゲートをあの神社の境内に繋いでよいか?」
「うむ。朝の5時じゃ、ちょうどいい。静かな時間じゃし今、誰もおらん。意識を保ったままで行けるぞい」
「分かった。では……」
「――――」
「(泣)」
「…………」
「ここを出たら汝等は二度とこの亜空間に呼ばれることもなければ、我を呼び出すことも自ら来ることも出来ない。我も儀式が済んだらここを去り、次に地球に来るのはいつになるか、何千万年後か何億年後か? それは分からぬが、少なくとも汝等の前に姿を現すことはない。安心して己が人生を生きるがいい。よいな? ……冬楠木千早はまだ頭に入らんだろうから、小娘が落ち着いてから説明してやれ」
「(泣)」
「はい。さぁ千早ちゃん! 先に行ってて。地面に気をつけて降りてってね」
「うんっ……っ(泣)」
「カッ素神様、水素神様、オリュンポ素神様。お世話になりました」
「ふん」
「うむ」
「……(微笑)」
「この女ぁああぁああ!! 私への礼だけ省きやがった最後の最後まで女神の神経逆撫でしやがってぇえええぇええ!!!!!(泣怒)(歯バキバキバキバキ)」
「いや……私を※そうとしただけの人にお礼って(汗)」
「この場に女神もいるんだから※されようと何があろうとただただ無条件で礼を尽くすのが人間のあるべき分際だ弁えろ!! あと『人』じゃねえっつってんだろ今のわざとやったなてめえ不敬女がぁあぁ※す※す※す※す※す!! 後でぜったい※してや――」
「……私の宇宙に強制送還した。中級神、下級神用の独自監獄を復活させてそこに長期収監する」
「あぁ宴の華が賑わいが……これでまた寂しくなるんじゃのぉ……(悲)」
「しかし、共通空間で発行されたティターン素神の神朕大赦の効力はどうするつもりだ? 適法性があるはずだろう、いいのか?」
「やつの恩赦はやつの支配下宇宙だけで有効な話。共通空間を廃する私にはもはや関係ありません」
「先のことはそうだろうが、まだ手続きを始めておらんだろうに困った盟主殿だ。後々問題になっても我は知らぬぞ(笑)」
「さて、大昨夏未来。こちらのゴタゴタに巻き込んで本当にすまない。少なくとも君達が人生を全うするあいだはヘーベーが出獄することはない。もう安心していいよ」
「今度という今度こそほんまですよね??? 頼みますよさすがに、地球にまで追いかけて来て直接攻撃されるとか無しですよ!! 人間には何も出来ないんですからね、オリュンポ素神様!!(汗)」
「任せてくれ。今度こそ確実に私の手許で厳重管理下に置く」
「お願いします」
「まぁ地球はこのわしの宇宙じゃて。出てきたところで一切立ち入らせんよ」
「ありがとうございます水素神様。じゃあ、私もこれで……」
「……カッ素神様!」
「ん」
「色々あったけど私、楽しかったですよ!」
「……それは本心か?」
「ほんとです! ほんとにいい思い出が出来たんです」
「そうか。良かったな」
「はい! それじゃ、あの。また……」
「または、無い(酒瓶を置く)」
「そうでした。さようなら!(手を振る)」
「さらばだ。小娘――(手を上げる)」
◎ 第46話 過っ疎編10 ◎
○ 夏のとある祝日の翌日の早朝 ○
□ 水配捲神社の境内 □
△ 冬楠木千早 △
「落ち着いた? 千早ちゃん」
「少しは」
「でもまだちょっと震えが止まってないね」
「段々収まってきそう……かも」
「朝5時らしいし、ここ涼しいもんね」
「涼しいとか暑いとかじゃない」
「ごめん(汗)」
「だいじょぶそ?」
「だいじょぶじゃない」
「だよね。無理ないよ。私は実際1回帰ってるからまだあれやけど、千早ちゃんは向こうの時間でずっと帰れないまま1ヶ月以上過ごしてるんやもん」
「でも……こうして帰ってこれた……事実だった、向こうの世界に行ってたのも、未来ちゃんの言う通り、赦されれば、神命を認められれば帰れるってことも」
「せやろ? 事実やってん」
「でも……まだ実感がわかない……怖いの……」
「うちもや。日常生活に戻ればさ、少しずつ実感わいてくるよきっと」
「違うの」
「違う?」
「だって……まだ反故にされる可能性があるじゃない……」
「え」
「……中でも特に、あの神様……」
「カッ素神様やな?」
「えぇ。カッ素神様に新しい神罰を与えられて、向こうに引き戻されるかもって思うと(怖)」
「それは多分、ほぼ可能性無いで。いやほぼっちゅーか、無いな。うちからしたら確信もって言えるで」
「何で言い切れるの?」
「カッ素神様が次に地球に来る時、人類が存続してるかどうかも怪しいんや何億年後か知らんけどな。それとあの通神発石も触れるところに置かれなくなったって話やし、もう神罰の元の原因がなくなったんやで」
「それだって分からないじゃない。宇宙の神様の考えなんて人間には到底及ばない範疇にあるのよ。突然気が変わったら? 馬車の中で神々は気紛れで何をし出すか分からない、それまでの神託や神勅をしょっちゅう翻すから人類は安心して暮らせないって、カッサンドロップスさんも愚痴ってたじゃない」
「確かにカッ素神様は怒りっぽいけど、気紛れとちゃうで。」
「……そうかしら……」
「神託についてやけど、あんまし巫女さんの前で言いたくないんやけど、向こうの神殿の人らはカッ素神様の声なんて聞けてないパチこき屋や。何か聞けてるとしたらせいぜい部下の神様達の声やろ。うちに言わしてもらえば向こうの巫女さんこそ全部ニセもんや、神託も神勅も全部パチもんや。自分らの主観じゃ神がかって対話出来とるつもりなのかもやけどな」
「う……それなんか結構……耳が痛いけど(汗)」
「うちの分析と解釈によれば向こうの神殿の人達は2パターンでカッ素神様の怒りを買ったんや」
「2パターン?」
「自分達が上にいたり権力者と同等くらいに保護されてる偉い神殿の人達の場合、住民や政治家を動かす為に最高神の名の下に好き勝手やったんや。千早ちゃんが囚われてたローマ京都ーの惨状が典型例やな」
「…………」
「別パターンだと、カッさんやその前の大王の人みたいに暴力的な背景があって神殿の方が下にいる場合、戦争や政治に都合良く利用するために無理強いして出させてるんや。それも内外の政治状況でコロコロ乱発させるから一貫してないんや」
「え? ちょっと待って、今のカッサンドロップスさんディスってない?(汗)」
「ん? せやで? うちは何回も突っ込んどるんやで、カッさんがグダグダ言い訳するたびにな。『あんさんら政治権力者や戦争指導者が都合のいい神託出させてるんやん、何を今更被害者ぶっとんねん』ってな。でも基本的に2人きりん時だけのやりとりやで。千早ちゃんや向こうの世界の兵隊さん達とか他の人達が一緒にいる時は、そういうことあんま言わんよう道中とか旅先では控えめにしとっただけや」
「あの帰り道のツッコミの嵐って、控えめだったんだ……」
「恩人中の恩人、うちにとって恩の固まり200パーセントの人の、王様としての面子や体裁があるやん。千早ちゃんは人前で恩人の面子って潰せるん?」
「分かったわ。分かった。オッケー。その件についてはもう納得したから」
「ごめん、うちも話が脱線してもうた。あれ、何の話やったっけ?(汗)」
「神々は気紛れって話。例え人間社会で出された神託や神勅が偽りだったとして、そんな人間の事情と関係無しに神々が気紛れなことに何ら変わりはないでしょ?」
「カッ素神様は違う」
「なに?? なんなのよあんたのそのカッ素神様に対する謎の信頼は、さっきから(汗)」
「少なくともそういうとこに関してはカッ素神様、線引きしっかりしてはる。うちは千早ちゃんと再会する前も、カッ素神様と喋りまくってるんや」
「そ……そうなの?」
「うちは何回も交渉したり取引したり、罵倒し合ってたからよう分かる。カッ素神様はうちが最初の神命を終えて地球に帰れた後、千早ちゃんを帰す為また向こうに行くって言い出した時。それはもう、めっちゃくちゃに警告されて引き止められたんや」
「!」
「あえて危険なことする必要ないってな。うちがものっすごい強引に押し切ったから、向こうに行って共同神命することを許可してくれたんやで、渋々な。そんな神様がさ、何の理由も原因もないのに? ただの気紛れで? 遊び半分みたいにふざけて、うちらにまた神罰を課すって?」
「…………」
「カッ素神様は、そういう神様やないで。無意味に約束を破るような神様やない、いや契約っていうんかな? 神と人との契約ってよう言っとったな」
「そうね……私も神と人との契約については理解してるつもり……でも……」
「でも? そこが分かってて、まだ何か怖いことある?」
「怖いよ……怖い。怖いのもあるけど、何かちょっと納得出来ない。っていうか未来ちゃんの、そのカッ素神様に対しての肯定的な意見にも」
「いや別にそんな肯定的っていう程でもないけど」
「じゅうぶん肯定的だよ……私、あんまりこれは言いたくないんだけど、でも……もうこの際だから言わせてもらうけど」
「うん?」
「あの神様達、私達に神罰を下したって言うけど、人間基準に立ち返ってよくよく考えてみてよ。誘拐でしょこれって! いや誘拐って言うか拉致? 誘拐でも拉致でも言葉はどっちでもいいけど、とにかく私達の意志を無視して、強制的にあの星に連れ去ったんだよ?」
「せやな。うち最初にそれ言うてるで! カッ素神様に散々抗議しとる」
「その神様達をさ、そんなに信頼出来るの? そんなに肯定的に捉えられるの、未来ちゃんって?」
「…………」
「それって人間社会でいったらさ、誘拐犯が人質をあちこち自分勝手に車で引き連れ回しておいて、ようやく解放してくれるっていうから、あぁこの犯人さんは信頼出来るんだみたいな。変な感情じゃないそれって? おかしいでしょ? 倒錯してる。犯罪者に対してそんな感情抱くのは間違ってる。人質が誘拐犯を庇わないと生き残れない状況に追い込んで、それを肯定的に捉えるなんてぜったい違う!!」
「あぁ! 千早ちゃん、何やっけアレ。えぇっとぉ……確かぁ……」
「思い出した! もしかしてストックホルム症候群のこと言うてはる?」
「? いやちょっと私、そういう用語って詳しくないから、あんまり」
「千早ちゃんはうちよりもずっとひどい目に遭っとったんやから無理もないわ」
「…………」
「でも何や、あれやな。巫女さんなのに神様方に、結構なこと言うんやな(笑)」「巫女だってこんな仕打ちされたら赦せないものは赦せないよ」
「まぁそう言われるとそうやな」
「未来ちゃんは? まさか赦せてるの今回のこと?」
「う~ん、赦す赦さないって、人間の分際でありながら言うていいのか分からんけども……」
「…………」
「うちはこの際、神様につき特別に赦すで♪」
「えぇー!?(驚) ほんとなのそれぇ??? 忖度してない? 何か」
「まぁ確かに? 神罰を受けたうちらが神様達に感謝するってのはマッチポンプ感は否めないで、多少はな」
「多少?」
「でも神様ってさ、そういうもんやろ? そもそも」
「そういうもんじゃないよ。少なくともこんな不条理なのは私が信じてた神様じゃない。未来ちゃんは不条理だって思わないの!?」
「不条理、理不尽やけどあくまで神様だから、うちはギリギリ赦せるんや。神様の力を持ってして実現可能な世界をうちに見せてくれた、特別な体験をさせてくれたからやな。これが人間の誘拐犯やったら個人的に死ぬまで許さへんで。刑事罰としてはそうやなぁ、模範囚でも未決拘留期間入れて7年は刑務所で服役してもらいたいとこやな」
「みけつこーりゅー期間って何?」
「逮捕から判決前までの実際の拘束期間のことやで。保釈とかされてる時以外は量刑が確定してないのに拘置所とかに入っとって自由がないやろ? つまり刑務所に入っとるのと実質同じやん。だから有罪確定後に収監される時になって、日数分が計算されて差し引かれるんや」
「はぁ。何か刑務所の仕組みとかあんまり知らないけどさ、仮に犯人が人間だったとして未成年の女子2人誘拐犯が7年って短過ぎじゃない? 最低20年は入っててほしいわ」
「う~ん。それだとさすがにちょっと量刑、重過ぎるかなぁ? 他にもっと罪状が重なってれば別やけど。暴行、傷害とか強※とかされてたらそれはもう全然話が違うんやけどね」
「忘れたの? 私達、突然意識飛ばされてるんだよ何回も。あれだって一種の暴行じゃない」
「あぁ、まぁそう言わると。そうやな。でも今の誘拐犯と人質の例え話って、全部人間基準だったら赦せないっていう仮定の話やろ」
「そうだけど」
「そんな仮定は一切合財、無意味! 人間は人間! 神様は神様!! 神様の力と大いなる意思によってなされたこと」
「よくそんな割り切れるね未来ちゃんって、信じられない。神職でもないし聖職者でもないのに。凄いよ、ほんとに凄い、あなたって……」
「でもうちがこうして赦せてるのは、所詮は結果論に過ぎひんのかもね」
「結果論で赦せてるその神経がもうおかしい。変」
「ん~?(威圧)」
「いや、凄いって言ってるの私は(汗)」
「だってさ。何だかんだでめっちゃ楽しかったし、怖いこともあったけど旅も出来たし、向こうの世界で特別な出逢いもあったし、それに結果的にこうして新しい友達も出来たわけやしな♪」
「……私の場合は何だかんだ楽しくなくて、ほぼ1ヶ月牢獄の恐怖と暗闇だけで過ごして、向こうの人と特別な出逢いも一切なくて、新しい友達が1人出来たことだけが良いことだったってわけね」
「せ……せやな(滝汗) まぁ千早ちゃんが神様達を赦せないと感じるのはじゅうぶん理解出来ることや。そりゃもう、しゃーないことやわ」
「そうでしょ」
「でもな千早ちゃん、もしかしてあんま分かってないかもやから一応言っとくけどまだカッ素神様、ここのすぐ裏の亜空間で水素神様と宴会しとるで?」
「えっ!?」
「だってもう向こうの宇宙に帰るって話じゃ……?(青)」
「それは延期んなっとった例の通神発石を交換する儀式が済んでからっちゅー話やで。しかもどうせあの神様達のことやから多分、すぐさま次の行動に取り掛かったりはせーへんやろ。酒が尽きたら仕方なく、そろそろやらんといかんかーってな感じちゃうかな? もうその光景が目に浮かぶようやで。それが終わったらいよいよカッ素神様はここを去ってカッ素宇宙に戻るんや」
「…………(唖然)」
「どうや? もしカッ素神様が、遊び半分のおふざけ感覚でまた神罰を下そうとするような神様やったらさ、うちらってさっきの会話してる時点でもう罰せられてると思わへん?」
「はい……仰る通りです……(固)」
「そうやんな? でもな、千早ちゃん。さすがのうちでもな、もうそろそろこの辺で止めとった方がえぇと思うで? 人間が宇宙の神様のことを赦すの赦さないの、人間基準だったら犯罪者がどうのこうのって話するの」
「…………」
「なっ?」
「はい!! 止めます止めます止めます止めます止めます!!(頷き捲くる)」
「……あっ! そうだ、止めるで思い立った」
「ん?」
「私、巫女のバイトも辞める」
「え、そうなの? せっかく巫女服めっちゃ似合うのにもったいない」
「ありがとう……でもこれは……これだけは宇宙の神様方に聞かれてても構わないからハッキリ言うわ」
「この神社に居続けることは私には出来ない。それは怖い思いをしたからってだけじゃない。ここの神社に今居る神様に私は実際に会ったから」
「今居る神様? あ、あの水素神様にお酒持ってきた神様か」
「これまでは目に見えてないからそれで良かったけど、今はもう私は『何事のおわします』かを知ってしまった。祭神達と実際の神様が違っただけじゃなくて、その実態もかけ離れていた……。あの神社の神様に誠心誠意仕えることが、私には出来なくなったの。だからもう私はここの巫女でいる資格がない」
「……そっか」
「宮司にはお世話になってるけど、挨拶したら私、東京に出るわ」
「……そうなんだ。寂しくなるね……ってこっちの時間じゃ会ってからまだ3日しか経ってないんだけど」
「えぇ。未来ちゃんには私、勇気をもらえた。だから私から……あれっ」
「ん?」
「種が消えてる……」
「種?」
「向こうの食事で出された果物とかの種よ」
「え、巫女服ってポケットあるん?」
「ないわ。袋に入れて、箒の持ち手側先端に括り付けてたんだけど」
「あぁ。ずっと何か付いてるなーと思ったら。中身種かいな(汗)」
「袋ごとなくなってる」
「袋自体向こうのもの?」
「そうよ。巫女の罪人が地下牢で人生を終える場合、身の回りを出来る限り綺麗にして葬られたいなら、これにゴミを入れとけって話だった」
「さすがやたら清潔を気にするローマ京都ーの人達。配慮するとこが違うわ」
「あの亜空間で榊の代用で箒で祓った時にはまだ有ったような……?」
「そもそも御祓いを箒で代用するとか許されるの? 作法的にいいのそれ」
「……良くないけどしょーがないじゃない、他に何もなかったんだからっ!!! どーしよーもないでしょって!!!!(興奮)(涙目)」
「分かった分かった(汗)。落ち着いてよ。種だけどさ、亜空間まで持って来れてたってことは、没収されたね。持ち込み禁止って判断されたんや」
「あららら。そっか。残念……(沈)」
「そんな生物的なものを黙って地球に持ってこようとしたらあかんと思うで?」
「そ……。はい。仰る通りです(謝)」
「大体うちだってカッさんの横顔のコイン、1枚くらい思い出に欲しいってカッ素神様に頼んだんやけど却下されてるんや。鉱物ならえぇんちゃうかなって思ったんやけど駄目やって。撮影も出来ないし仕方なく世界史のノートの余白にカッさんをデッサンしまくって妥協してるんや。つってもノートごと持ってかれたけどな」
「え、それちょっと見たかったかもね」
「思い出してまた描いてもえぇけど裸いっぱい描いとったで」
「ごめん。やっぱいい」
「ま、だからうちらは思い出だけ持ち帰ることを許されたってことやな……」
「そういうこと……ね?(両腕の腕輪に気付く)」
「あぁーっ!(両腕の腕輪に気付く)」
「あ……あんまりにも違和感なくなじみ過ぎてもう身体の一部みたいになっとったから、忘れてたんや腕輪返すのすっかり……(焦)」
「分かったあああぁっ!!!!(閃)」
「うわっ!(驚) なになになに? どしたん?」
「カッ素神様がこれプレゼントしてくれたんだよ!!(嬉)」
「え」
「私達にひどいことしたからって思って!!(嬉)」
「ちょっ……大丈夫それ???」
「大丈夫って何が!?(嬉)」
「何か千早ちゃん、思い込みで勝手な解釈してんとちゃうの?(笑)」
「巫女が言うんだから間違いない!! これは私達へのせめてものお詫びのプレゼント!!」
「そうかなぁ」
「だって未来ちゃんが言ってるんじゃない、ここにまだカッ素神様いるよって! さっき回収するの忘れてたんなら別に今、取り戻せばいいだけの話でしょ? でもほら。私達が今、この話題を出してるのにこれ、現にこのままなんだよ。消えてない、取り上げられてない!!」
「う~ん……(汗)」
「やっぱり私も……未来ちゃん! 私もっ!!」
「私も?」
「私も赦す!! 宇宙の神様方、赦すことにするわ!!」
「おぉ、良かった! それは良かったけど、巫女さんから聞きたくなかったかも。神様を赦すって言葉(汗)」
「これは神器なんだよ、宇宙レベルの本物の神器!! 人類が作って自分達で崇めてる地球レベルの神器じゃない、世界で私達2人だけが持ってる宇宙の神より与えられし、正真正銘の神器!!(輝)」
「案外、うちより現金な性格しとるな千早ちゃんって(笑)」
◎ 第47話 ガッコ編 ◎
○ 夏休み明けの新学期の始業式 ○
□ 大阪のどこかの都会の高校の教室 □
△ 大昨夏未来 △
「はぁ~あ。相も変わらず、ほんまに密。……暑っ苦しい。ウンザリや」
「はい全員席に着いたな~。はーいちょっとこっち注目ーちょっと静かにしろー。今日は新学期早々、先生からみんなにサプライズがあるんや!! おーい! もう入って来てえーでー!!」
「失礼します」
「!?(驚愕)」
「じゃじゃーん!! 今学期からここで一緒に勉強する転入生や! どーや驚いたやろぉ!! はい、黒板に名前書いて、みんなに挨拶と自己紹介してくれな!」
「はい先生。…………。本日よりこのクラスに来ました、冬楠木千早といいます。分からないことだらけですが、色々教えて頂けると幸いです。皆さんどうぞよろしくお願いしますね(微笑)」
「…………(唖然)」
□ 大阪のどこかの都会の高校の屋上 □
「東京行くんやなかったん!? 自分」
「親に難色を示され捲くってもう参っちゃった。家族会議が行き詰ってから、第2案で『一人暮らししながら同い年で仲良くなった友達がいる高校に通えるなら』って、ボソッて言ったら、めちゃくちゃ食いつかれて。未来ちゃんのこと話したら食い気味にOKされて、東京行きの話に戻れなくなった。それで結局話の流れでこうなっちゃった(笑)」
「何でうちの高校ここやって分かってん? 興信所にでも頼んだ?」
「?? 交信所ってなに? あ、私が巫女だから神様に聞いたかってこと?」
「その交信とちゃうわ! あれやがな、なんつーの? まぁ探偵みたいな調査する会社や大雑把に言うたらな」
「あぁ~、はいはい。未来ちゃんがここに通ってるって言ってたんじゃない」
「あれ? 言うてたっけか? まぁえぇねんなそんなこと……あのっさぁ……千早ちゃんさぁ……」
「なーに?」
「また会えたのは嬉しいけどっさぁ(ワナワナ)」
「私も! 嬉しい♪」
「どないなっとんねんゴレェエイ!!(凄む)」
「えぇ!? 何で???」
「何で? じゃなああああああい! なーにをすっとぼけとんねん!! こーなるならぁ、ってゆーかこっちにいるならさあああああああぁ!! 夏休みもっと遊べたじゃん!!(怒)」
「いや……(汗)」
「何なのよあんたあん時、連絡先交換拒否ってさっ! まだ心配だから住んでる部屋まで付き添いで行くよって言っても拒否してさ、『すぐに上京するから残念だけど二度と会えない可能性が高いわ』とか突き放されてさ、私あれ結構ショック受けてたんだよ千早ちゃんの精神状態のこと考えて言わなかったけど!! それでなにこれは????? あの展開の挙句、オチがこれなわけ!? フッツーに会えとるやんけワレどぉなっとんじゃボケナス!!!!!(激怒)」
「いやだって! だって! 携帯手元になかったし、未来ちゃんのは電源落ちてるしで、あん時はどうしようもなかったから(汗)」
「だーから電話番号書いたメモ帳の紙渡したでしょ、ねぇ!! 連絡くれなかったよね!! あと千早ちゃん、自分の番号は教えるの拒否ったよね、覚えてる!? ねえ!!(怒)」
「拒否ってないって(汗) 自分の番号なんていちいち見ないから記憶してないって言ってるじゃない」
「何で連絡くれなかったの? 何で何で何で何で何で?(迫)」
「違うの!」
「何がや!」
「まだ話がどう転ぶか分かんなかったの! 学校側に却下される可能性もあったし駄目だったらガッカリして何か空気が不味くなっても嫌だから! だからハッキリと確定するまでは連絡したくなかった!!」
「…………」
「それに転校手続きも大変だったし、少し前から連絡してたとして、そんなに遊ぶ時間とかはとれてなかったよ」
「そんでも話したり会ったりアドバイスしたりとか出来たはずじゃん! なに? 千早ちゃん。この私にはそんーなに時間割くのが惜しいってわけ?(詰)」
「んもーごめんって! ごめんなさいって!!(汗)」
「はぁ~(溜息)。まぁえぇわ! 事情があったんやな。ちょっとうちも感情的になってもうた……。ちょい反省やな」
「でもそっか……。東京行きはご両親に許可されなかったんやね」
「認められなくても行こうと思えば行けたけど、支援無しだと多少キツいからね。それでも迷ったけど」
「いやキツいちゅーか、保護者が駄目なら今すぐは不可やろ? まだ未成年やん、住む部屋借りる契約だって」
「別に? 多少しんどいけど、やろうと思えば何とでもなるわ。ただどうせ新生活を始めるんだったら、経済的に大変なところからスタートしたくないってだけ」
「いや経済的な問題の前に法律的な問題があるやろ現代日本じゃ」
「そんなものは建前。東京に行けばどうとでもなるわこの世の中、実態はね」
「どうとでもはならんて。法律上、部屋の契約が子供一人じゃ無理やろ」
「無理じゃないわ。いくらでも抜け道があるのよ。但しもちろん、あくまで経済面の条件がクリア出来てさえいればっていう前提でよ?」
「いーや。違う。法律上の問題がクリアの方が難しい。未成年の被保護者による保護者の同意なしの自立は簡単やない、住所移転にせよ就職にせよ何にせよやで? 合法性に疑問符がつく宙ぶらりんの状態なってまうで、18んなるまでのあいだ」
「未来ちゃんって結構アレだよね、都会人の割に意外とウブというか堅物っていうか。すごい真面目だよねそういうとこ実は」
「都会人とか田舎人とかの問題とちゃうがな」
「ほんと未来ちゃんって、私の周りに全然いなかったタイプ。向こうの世界でなくても、やっぱり新しく感じる。あなたのこと」
「えっ……何や、それって褒められてるって思ってえぇの?(照)」
「もちろん! 東京行き一旦やめといて転校生になって良かったって今、実感してるのよ」
「そりゃ良かったけども」
「ちゅーかさ、もしかして千早ちゃん、何かお父さんの財力使うた?」
「? お父さんの財力? もちろん学費出してもらってるよ、払えないもの私」
「当たり前やがな、そこやないわ! お父さんに何か頼んだって考えないと、合点がいかないツッコミポイントがあるやん。やたら密のマンモス高校で同学年でも何クラスある思てんねん。しかも既に定員ギリギリオーバーのクラスだらけの中で、何でうちがいるクラスにピンポイントで都合良く入れてるねん」
「あぁ何だ。そんなこと。それはもちろん聖女パワー。神々と星々の御導きによる巡り逢わせよ」
「元巫女さんが何か言うとりますわ」
「まっ、私は元々の本職が聖女みたいもんだからね、未来ちゃんと違って。元から神職だから聖女っぽさが無意識に滲み出て導かれるのかもね」
「おーい。元バイトの巫女さん。よう言うてくれるでほんま」
「それであのね、父のこと力があるって言ってくれるの、一応娘として少しは嬉しい気がするけど、それただの買い被り過ぎだから」
「そうなん?」
「私企業なのにそういう影響力を行使出来るのは多分、誰もが聞いたことのある大企業経営者とか大銀行の経営幹部とか、IT企業の社長とかそういう世界の人達でしょ? うちのはまぁまぁそこそこ上手くいってるって言ったって、所詮は地方レベルの中堅企業よ。娘の転校先の事情に干渉出来るとかそういうんじゃないから」
「あんたなぁ、なんなんその言い草!! 人様の家庭の事情に口出したないけど、ご両親に感謝せなあかんのやで自分の立場は。分かっとる!?」
「分かってるって。これでも少しは感謝してるの!」
「少して(呆)」
「色々あるの! 色んな経緯があるのっ! こっちにも!!」
「ふーん、あっそ。まだあるでツッコミ。そもそも千早ちゃん、あんた『転校生』じゃないやろがいってゆーね。だって前の高校自主退がブ!?(口塞がれる)」
「……みーらーいーちゃん♪ 細かいことは気にしちゃだーめ★」
「せっかく夏中独学で苦手な勉強を一生懸命して編入の学力検査を頑張った私に、先生方が気を使って配慮して下さってるんだから。ね♪」
「はひ……そういうことね。そんなら私も今後は配慮するわ……(汗)」
「ありがとう! それで編入の話進めてもらってたけど、いい感じの担任の先生で良かったわ。熱心に相談にも乗ってもらって」
「いやぁ~熱血教師なのはえぇんやけど、ちょっと暑っ苦しいのがうちは苦手やねんな。クラス自体密やから余計に室内が温暖化して暑いんや」
「へー、そうなの」
「強引過ぎるし感性が昭和やねん。まぁ言うて昭和知らないんやけど、体験したことないから。でも千早ちゃん的には担任、好印象なんや?」
「意外と悪くない。熱血系の先生って私的には結構助かる感じ」
「マジか……よぉ分からんな千早ちゃんの感覚って」
「もちろんあくまで教師と生徒の関係性に限っての話よ」
「分かってるって」
「ほら私ってちょっと冷笑系なところあるじゃない?」
「いや知らんがな(笑)」
「これで先生も冷笑系だと話してるうちに空気が詰まってきてツラいのよね」
「なるほど?」
「それにしても。何の因果かしらね……」
「因果?」
「未来ちゃんは小二で、私は高二で転校経験者の2人がここに揃ったってわけね」「いやほんまに何の因果やねん。因果取り出しておいてそこ?(笑) 大体うちは普通に親の転勤の都合上で引越しやからな。一緒にせんといてな!」
「一緒一緒! 同じ同じ!(笑)」
「そうそう、千早ちゃんに見てもらいたいものがあったんや」
「なにかしら」
「ほらうちカッさんのデッサンしてたけどカッ素神様にノートごと提出しちゃったから見せられてないやん」
「うん。まさかあのノートの他のページにカッサンドロップスさんの裸が描いてあるとは知らなかった。うっかり他のページ開かなくて良かった、気まずいわ」
「そんでさ、こっち帰って来てからカッさんのこと思い出しながら色々描いてみたんや」
「始業式にそれ持ってきてるわけ?」
「うん。基本描きたい気分なった時に描くから」
「あの、見せなくてもいいから別に」
「裸やないから大丈夫!」
「そう……?」
「はい!」
「!?」
「これがほんまのファーストキス、つまり初恋の人は外国人だった場合のチュートリアル……いいや!! 中東リアルやで!!(照)」
「……中東???」
「どう? 上手く描けてるやろか?」
「上手い」
「やった♪」
「確かに上手い。けどこれっておかしくない?」
「へ? 何が? 構図おかしい?」
「じゃなくて。だってそれあなたとカッサンドロップスさんがキスしてるとこなわけでしょ? 自分じゃその姿を直接見れてないはずじゃない、自撮りしてるわけでもなし。第三者視点で見たのは私と神様方だけよ」
「……いいの! イメージで補うからいいの、そういうのは気にしなくても!」
「ふーん。でもほんとによく描けてるわ、カッサンドロップスさん。私が覚えてるあの人そのものよ」
「せやろ? うちはあんまり似てへんかな? 自画像って苦手やねん」
「いいえ。上手いわ」
「そう? 良かった」
「何で自分のこと美人に描いてんの?」
「ぅうおぉーい!? コラァーッ!!」
◎ 第48話 ガッコ編2 ◎
○ 夏休み明けの新学期の始業式終了後 ○
□ 大阪のどこかの都会の高校からの帰り道 □
△ 冬楠木千早 △
「どう? これで分かってくれた? 私が親の教育方針に抵抗してても、不当じゃないってことが」
「んー……まぁね……分からんでもないけども」
「これが私の太平記、いや……大変期だったのよね」
「??? 何やそれ? 何か元ネタあんの?」
「あるよ」
「分からんわ。自分で言うなってこと以外何も分からん」
「それくらい大変な時期だったってこと。私の思春期的にはね」
「大変だったのは分かるんやけど。ちょっと何か、ハズいで自分。千早ちゃん」
「はぁあ? 何が???」
「だって『今、反抗期だから』って親に言いながら反抗しとる感じやもん(笑)。ガキやでガキ」
「ちょっと! 未来ちゃんだってかなりの反抗期なんでしょ! なに? 私だけガキ呼ばわりするわけ?」
「ごめんごめん! まぁお互い様やな」
「もぉっ」
「あっ! 思いついたで!」
「? 何?」
「屋上で自分、高校生活で人間関係のアドバイス何か欲しい言うとったやん」
「うん。だって半年ブランクあるし、前も正直上手くいってなかったし……」
「1つアドバイスしたるわ」
「……何かこの話の流れで思いつかれるのも嫌な予感するけど、どうぞ?」
「今日、クラスで自己紹介したやんか転校初日で」
「そうね」
「あれがまず良くない」
「は?」
「初手で間違えとるわ千早ちゃん」
「何が? え、挨拶しなきゃ良かったわけ? 担任の先生に自己紹介と挨拶しろって言われてるのに、あの場で黙ってれば良かったの???」
「ちゃうちゃう。そうやなくて、千早ちゃん澄ました顔で意味有り気に微笑しとったやん」
「はぁ」
「あの感じ、もうやめたほうがえぇな。だってキャラ作りにかかってるもん。もうあの時点で今後の高校生活、自然体でいくのに差し支え出とるやん」
「!!」
「住む世界が違うんだって空気出し捲くって、心のバリア張り巡らして、気軽に話しかけるなよ的オーラ発散してるもん。そっからみんなと順調に仲良くやっていこうってのは難儀や。スタート地点からもう躓いとるで、見えないところでな」
「…………」
「よっぽど元から自然体でそういうキャラならともかく、作ってるから無理が出るんや。メッキが剥がれてきたのを隠そうと上塗りして段々どうしようもなくなってそのうちまた不登校んなってまうで自分?」
「…………」
「それにさ、十代後半でうちら何か大した中身もあるわけないのに、雰囲気だけは何か裏があるミステリアスっぽい感じ出すのも思春期特有のアレやんか(笑)」
「何ですってえええええ!?」
「中二ならともかく高二やし、そろそろ落ち着いた方がえぇと思うで(笑)」
「みーらーいいいぃぃぃ!! 言ったな! 言ってくれたなあああああ!!」
「いやいやっ! これ千早ちゃんのこと思ってやから!! 誠実なアドバイスやでほんまにな!!(汗)」
「大体、私達はもう大した背景あるんだから、いいじゃないちょっとくらい!! 裏に凄いことが控えてるような、すっごい特別な体験してるんだから! もう普通じゃないんだからね、私達!! 特別なことがあったんだから!!」
「そうやけど、別にうちらの力で何かが出来たわけやないやん(笑)」
「千早ちゃんも行けてないんだ、あれから残夢に」
「えぇこっちに戻ってきて以来、一度も」
「腕輪して寝る時ある?」
「試してみたけど亜空間に入る気配もない」
「そっか。フードさんと夢千さん、元気なんかなぁ」
「まぁ元気でしょあの2人は。あの世界の常連みたいだし」
「もしかして向こうにいたから行けたってだけだったのかな?」
「そうかもね、あるいは……」
「あるいは?」
「同じ場所で2人一緒に寝ないと亜空間に入れないのかも」
「それはあるかもね。1人で入れたことないもんね」
◎ 第49話 ガッコ編3 ◎
○ 夏休み明けの新学期の始業式終了後の午後 ○
□ 新しい千早の部屋 □
△ 冬楠木千早 △
「すっご!! すごすごすご!! なにこのマンション!! なんなのよこの部屋は!!(驚)」
「前のとこは神社の近くで借りれるとこといったらアパートしかなかったけど、さすがに都会は違うわね」
「ただの高校生がこんなとこで1人暮らしって……(呆)」
「まぁこれでずっと1人だったらいいんだけどね。学校との取り決めもあって定期的に親が見回りに来るわけよ」
「有り得へんわ!! 考えられへん!! 千早ちゃん、やっぱうちん家に遊びに来るのは無しや!!」
「何でぇ!?」
「うちが一方的にここ来たるわ! 遊ぶならここで遊ぼ!!」
「いやいや! そこはお互い様でしょ! 友達っていうのはお互いんとこ行ってこそでしょ!!」
「だって困るもん。もてなせないもん、こんなとこ平気で住んでる人!!」
「関係ないってーのそんなこと!!(笑)」
「千早ちゃん転校ショックで忘れとった」
「ん?」
「薄々そうやないかって思ってたんやけど、今日学校行ってみて、久々に男子達に会って完全に分かったことがあるんや」
「何?」
「うちはもう……アカンのや……カッさんみたいな人やないと、もう……」
「あははははっ! それってもう全員無理ってことじゃない、日本人の男は。ほぼ全滅でしょ(笑)」
「笑い事やないってちょっと」
「それにしてもカッサンドロップスさんのことで思ったけど、妹みたいなものってずっと言ってて、ほんとに妹みたいなもので終わることって実際あるのね」
「まぁね。でもカッさんはほんまにただただ妹扱いしとったからうちのこと」
「いやいや、それは違うでしょ」
「違う?」
「あの人が偶然本物の紳士だったからあなたに手を出さなかっただけ。あの感じは本当は両思いで結ばれたかったに違いないもの。そうやってずーっと恋愛対象としての気持ちを自制心の塊で押し止めてたのが、ついに別れ際のあの告白となって溢れ出たんだよ」
「そんなことないない。あれは告白やなくて、兄妹としてずっと一緒に暮らせればいいなっていう意味だよ。女性としては一貫して相手にされてなかった」
「四六時中あのガチ恋距離見せつけといて何言ってんの?」
「いや遠慮しとったやん、千早ちゃんいるから帰りの道中はさ」
「あれで遠慮してたって、ウソでしょ!? 私が見てないところで一体どんだけ愛し合ってたのよあんた達はっ!!(赤)」
「ちょっと! 言い方あかんでそれ! 誤解招く表現それ!(恥)」
「誤解なんかじゃないよ。だって未来ちゃんは奥さんがいる既婚者の男性とキスしてるんだからね。それも頬にとかじゃない! 私はこの目でその光景を見てるんだからね! 目の前でハッキリと!!」
「いやいやいやいやっ! 分かるでしょーが見てたら、流れ知ってるやんか!! あれはあくまで特別な兄と妹の関係として、二度と会えなくなるっていう前提で」
「未来ちゃんは結婚しててお子さんもいらっしゃる男の人と特別なチューしてたってことだよねーっ! メモメモッ!!(笑)」
「ゴルァーッ!! 千早ちゃんなぁそろそろ偏向報道大概にせぇよ!!(笑)」
「はぁ……でもさ、それで言えば私も男子のことで悩みがあるの」
「へ? 男子って、うちの男子?」
「もちろん」
「いや転校してきたばかりやん。もしかしてうちが知らんとこで何かあったの?」「いや、今日はさすがにないけど、これからよね問題はって話」
「これから?」
「前の高校でも何かと付き合いたいって言い寄って来る粗末で貧相な男子どもを、これでもかってくらいに巫女服ならぬ制服の袖で、振って振って振り倒してたんだけど」
「う……何か……お高く止まった自慢話を聞かされるターンが来る予感」
「ちょっと未来ちゃん! かなり真剣な悩みだからこれ!!(怒)」
「はいはい、ごめんごめん。続きどーぞ」
「告白されて振った際に、下手に配慮して変に望みとか持たれ続けても困るから、スッパリスパスパと切り捨て捲くってたの。そう! それこそ正しく未来ちゃんがカッサンドロップスさんをキッパリと振りっ切ったあの光景のように、傍から見ててもいっそ清々しいようにね!!」
「はあぁ……」
「でも……あまりにも邪険に扱い過ぎたのか、無下に断り過ぎたせいなのか……別にそんなつもりはなかったんだけど、私、そうするもんだと思ってたから。でも……前いたとこの小中高って田舎だからほぼ人が入れ替わらないし、人間社会狭いのよ……いつの間にか男子とだけじゃなくて……女子を含めた私の人間関係の繋がりと居場所が、全部まとめて……」
「……(汗)」
「…………」
「全部がそうなる前の時点で気付くべきなんちゃうか? ……っていうツッコミはきっと無しなんやろな(汗)」
「全然無しじゃないわ。私、人と人の繋がりに鈍感だったし甘く見てた。別に人間関係なんて大したことじゃないって高を括ってたけど、大したことあったわ」
「…………」
「……正直元々頭の出来も良くはないし、親の言いつけ通り不純異性交遊だけはしないで、せめて真面目に振舞ってるつもりだったんだけど」
「…………」
「何故か逆に、いつの間にかどうしようもないあの不良4人組しか私と話をしてくれなくなってたの」
「あ! それがもしかしてあいつら……」
「そう。ごく最初のあいだだけ、喋る相手が出来て少しは助かったって思ったりもしたけど、正直不良なんて言葉じゃ収まらないくらい度を越してる真性の犯罪者達だったからすぐに離れたわ。その後何もかもが嫌になって引き篭もった後に退学しちゃったけど」
「そっからバイトの巫女さんになったわけね」
「うん。ほんとは即刻東京行きたかったけど。親に妥協案として提示されたけど、元から巫女って憧れだったし興味あったのよね。しかも1人で静かに出来る環境だから、巫女服を着た時は最高の気分だったわ♪」
「千早ちゃんは静かで1人でいるのが好きなの? それで東京行きたいわけ?」
「1人でいたい時は多いけどそういうことじゃないの。静謐な環境下でただ1人でいるのはいいの。人間関係の希薄な大都会で大量の個人の中に紛れて1人でいるのもいいの。中途半端に固定された人間社会の見知った顔ばかりの中で1人でいるのが嫌なの」
「なるほど?」
「だからあの神社は私、あんなことがあったけどあの静かで厳かな空間と雰囲気だけは今でも好きよ。巫女の作法も全部本と動画で独学したら後は我流で通したし」
「ほんまに全部独学の、なんちゃって巫女さんやったんやね……(汗)」
「仕方ないじゃない、教えてくれる先輩巫女もいないんだもん!」
「でも一応あの時から一人暮らし始めたけど、田舎の密度じゃ近所の範囲内と言ってもいい距離だし、私があの神社で巫女のバイトし出したことも嗅ぎ付けてきたのよねあいつらは」
「あの連中って、千早ちゃんに嫌がらせ目的で暴れてたんか」
「そ。すごい迷惑かけちゃったけど宮司は事情分かってくれた。ま、一応父のことも少しはあるでしょうけど、理想の上司よね。社務所にすらスマホ持ち込み禁止するのはどうかと思うけど」
「せやなぁ」
「はぁー(溜息)。どうしたらいいのかなぁ今度って。告白男子への対処方法」
「うーん。せやなぁ……。うちは人生で一度も同級生に告られたことなんてないから、正直そっち方面のアドバイスはムズいんやけど」
「でも……」
「? でも?」
「でも? あのカッサンドロップスさんに愛された未来ちゃんなら何か有益なアドバイスが……?」
「うおーい! それとこれとは全然話が別や! 根本的な美的感性が違うんやカッさんは!!」
「ふぅ~ん?(笑)」
「もう! それよりなに、男子振る時スッパリ切るって言うけど、どんな感じなん実際」
「そりゃもう冷たく侮蔑的な嘲笑と罵倒を浴びせかけるわ徹底的にね」
「あんさ、千早ちゃん。ちょっと言わしてもろてよろしいか?」
「はい」
「冷たいのはまぁまだえぇとして、何も侮蔑的な嘲笑と罵倒を浴びせかける必要はないんちゃうの? もちろん本気度は告白した人それぞれだと思うけどさ、そもそも好きだって言ってきてる人なわけでしょ」
「だって……」
「だってなに」
「だって親にそう対応しろって!! 言い寄ってくるのは全部悪い虫だから相手にしないだけじゃ足りない、性懲りもなくまた来るから二度と近寄らないように貶しなさいって!!! 小さい頃からずっとそう言われてきたんだもん!!!(半泣き)」
「うーん……ちょっとご両親、家庭の教育方針に問題があったってのは間違いなさそうやな(汗)」
「とにかくさ、うちも人間関係苦手やねん、気の利いたアドバイスなんて出来る立場やないねん。でもさ、少しは円滑な人間関係構築したいんやろ?」
「うん……」
「受ける気ないんやったら告白キッパリ断るってのは正しいしそうすべきや。でも侮蔑と嘲笑と罵倒はもうやめときーや」
「…………」
「そういう人だってすぐ噂んなるし、学校だけの話じゃない。ほんまに心のある人とは良好な人間関係、築けへんで。好意持ってる人にそんな対応する人って分かったら最初はよくてもそのうち離れてくよみんな。残るとしたら互いに都合よく利用し合う人だけが残るで」
「…………」
「まぁ、そんでも高校卒業して上っ面だけが大事な上流階級の社交界みたいなところに行くんやったら、むしろその方がえぇのかもな? それはうち全然知らん世界やし助言なんて出来んし何も分からん。好きにしたらえぇわとしか言えへん」
「そんなことないよ……社交界なんて関係ない……でも親がさ……」
「親が親がって何やねんそんなとこばっかり!!」
「っ!」
「千早ちゃんはさ、相手も生きてて血が通ってる人間で感情があるってこと、考えられへんの? そのままじゃそのうち人でなしの大人んなってまうで自分」
「!!」
「今のはな、千早ちゃん。ほんまにめっちゃ特別な縁がある友達からの忠告や! 特別じゃなかったら嫌われる可能性あるのにこんなことあえて言わへんで??? そんなうっすい関係だったらさ、無難に建前だけ言ってやり過ごして、こんな話題さっさと済ませるわ! でも一般論だけじゃ目ぇ覚ましそうにないやんか。だから今結構キツめのこと言わしてもろたんや、ショック受けたかもやけど堪忍やで」
「そんなこと……」
「それで告白やけど、具体的にはそうやなぁ。キッパリ断りつつ『今後も良い友人でいましょう』くらいの反応でえぇやろ。それぐらいなら別に希望を繋がせるような下手な配慮じゃないやん。なぁ分かるやろ? 好意を持ってる人に対して普通の配慮くらいはしーや自分、そんなこと誰に言われんでもさ。もちろん配慮し過ぎ、気ぃ使い過ぎまでは要らんで。普通でえぇねん。普通で。分かったぁ?」
「はい……(沈)」
「はぁっ(溜息)。何で男子にただの一回も告られたこもないうちがさ、モテ過ぎて困るあんたに助言なんてしなきゃならんわけ??? ねぇ!(怒)」
「ごめん……(汗)」
「まぁえぇわ。とにかく普通の告白はそれでえぇけど、明らかに下心丸出しの身体目当てで強引に迫ってくる輩とか、悪質なストーカー行為までやり出すようになったりした場合は別やな。そんなんには配慮なんて不要やし、酷いようやったら教師や警察に相談したり公に対処するしかないやろな」
「うーん……それなんだけど、帰り道のストーカーとかまでは発展しないけど、学校でしつこくされるぐらいの中途半端なグラデーションのもあるのよね(困)」
「そぉねぇ……。じゃあ前もって対処の準備しとくとかはどうかな」
「準備? しつこく付きまとってきた時にどういうこっ酷い応対をしてやるかの心の準備ってことね?」
「ちゃうで。学校だとちょい難易度高めなんやけど、物の準備をして行くんや」
「物の準備……?」
「お昼時間までは既成概念ぶぶ漬けお勧めアタック&放課後以降は箒逆さま立て掛け攻撃で撃退しはりなされ! 告白男子にステレオタイプ全開攻撃かましたるんどすえ!!」
「……京都人じゃないっつってんのだから(笑)」
「未来ちゃん」
「ん?」
「ちょっとあらたまった話があるんだけど、いい?」
「あらたまった話?」
「ほんとは最初にすべきなんだけど、学校とか帰り道とかだと途中で雑音が入るのが嫌だった。ここに帰って来てから言いたかったの」
「はいはい? どうぞ」
「……私、あなたに謝らないといけない」
「ほえ? 謝る?」
「私、逃げちゃったの」
「? 逃げちゃった?」
「あなたから。私、あなたに命を助けられた」
「!」
「しかも状況が普通じゃない。自身が危険なのにあなたは他人の私を助けに来た。その恩があまりにも大き過ぎて、とてもじゃないけどどうやって返したらいいか、何を返したら釣り合うのか、見当もつかない」
「…………」
「だからこっちに戻れた時に私、東京に行くからもう会えないかもって言い訳して逃げたのよ。思考停止してあの場から逃げ出したの、一緒にいるとつらいから」
「…………」
「お礼もほとんど言わなかったと思うんだけど私。言いにくかったの。口に出すと何も具体的な恩返しが出来ないって現実がすぐ返ってくる。耐えられなくて言いたくなくて、逃げたの」
「…………」
「でも恥ずべきことだった。愚かだった。愚か者で、しかも……臆病者」
「…………」
「ほんとにごめんなさい。それから」
「…………」
「私を助けに来てくれて、本当にありがとうございました(御辞儀)」
「どういたしまして! 嬉しい!! えぇんやで千早ちゃん! そのことやったらうちも思ってたんや!」
「思ってた?」
「うちカッ素神様と話してからさ、千早ちゃんと向こうで会って疑問に思われて、帰りにカッさんと別れるまでで、何やモヤモヤして言葉にしにくいけど漠然と思ってたことがあるんや」
「うん」
「でもこうしてお礼言われて、今、言葉に出来そうや。千早ちゃんを助けに行ったことについて」
「うん……」
「カッ素神様に頼んで共同神命ってことにしてもらったけど、あれはうちが勝手にやったことや!」
「…………」
「カッさんもうちに対して似たようなこと言っとったけど、あれはうちの為にそう言ってくれただけ。うちが頼み込んだから、カッさんは動いてくれたんやからな。でもこっちは事情が違う。うちはほんまに誰に頼まれたわけでもない、むしろ止められたのに強引に行動したんや。余計なことしたって言われても反論出来ひん」
「余計だなんて、そんなこと」
「まぁまぁ続きあるの聞いて! 千早ちゃんはあの不良達から一緒に逃げてうちを助けてくれた。匿ってくれた。だからうちの方が恩を返したんや、それでチャラやで」
「そんなのチャラになってない、釣り合いが取れてない。あれはただの成り行きだもの。それにそもそも私のあの行動が原因で未来ちゃんは巻き添えに……」
「それはもう言わないって約束したやろ」
「でも巻き込んだのに」
「口答え!!! すなぁああああっ!!!!(怒)」
「えっ(汗)」
「えぇどすか!? もううちがチャラって認めてるんやから、それでチャラんなりはりますの!!(圧)」
「なに『どす』って(汗)(笑)」
「もし仮に今後、うちが何や分からんけど同じ状況か似たような状況に陥ったとしてな、助けに来る必要なんてないで! その方がよっぽど気が楽なんや! だからもう互いに貸し借りなし! 対等な友達になるんや! 分かったぁ?(圧)」
「未来ちゃん……あなた、かっこよ過ぎる……」
「えっ! まぁな? せやろがい、イケメン過ぎて惚れるんやないでー?(笑)」
「あまりにもかっこよ過ぎてなんかこう……かっこつけ過ぎてる感がすごい!!」
「何でやねん!! 何でここまできて悪い方に受け取るねん!!! そこは惚れてまうところやろ!!(汗)」
「全然惚れてまわないわ、かえってここまで来るとね。通り過ぎちゃう」
「おぉーいぃっ! おかしいやろって」
「でも……こんな人、私の周りにマジでいなかった……ぜったい逃がさない!」
「え」
「もうチャラでここからは貸し借り無しってゆーなら、私の純然たるエゴで友達でい続ける決心を新たにしたわ!! お互いに一番の友達だから!! ねっ!」
「どっから結論出とるん自分おかしいで(汗)」
「未来ちゃん、いいね! 一番だからね! ぜったい一番!!(迫)」
「分かった分かった、分かったて! えぇよそれでもう(汗)(照)」
「私と未来ちゃんが組めば卒業後もやれるわ!!」
「やれるわって何が?(汗)」
「行けるよこれ! 多分何かをやれる、何かに繋げられるきっと!」
「何かって何なんや」
「分かんないけど何かだよ! 2人でやる何か!」
「千早ちゃんちょっとも~なんか、話が漠然とし過ぎぃ!(汗)」
「高校生なんてそんなもんでしょ! 漠然でいいのよ漠然で!」
「それにしてもフワッフワしとるで全部が全部さっきっから(笑)」
「そーだ!! アレ2つ持ってきてる??」
「アレ?」
「宇宙の神器」
「あぁ、鞄に入っとるよ」
「学校に持ってきてるの?」
「うん、外に出る時は持ち歩いてる。お守りやで。めっちゃ軽いし」
「私達2人で『御加護漠然腕輪同盟』を結成しましょう!!(久々に腕輪をつける千早)」
「な、なに? なんやってぇ?(久々に腕輪をつける未来)」
「互いの欠点を補って向かうところ敵なしの女子2人が組めばもはや最強!! 世の2人組系歴代魔法少女達だってそう言ってるし歌ってるから間違いない!!」
「中二どころか小二ぐらいまで時が戻らんとその気持ち思い出せへんて!!(汗)(恥)」
「宇宙の神様方の御加護がある2人が組めば、もうそれだけで東京出てからも確定でいける!!(確信)」
「だからそのいけるって何なんや(笑)」
◎ 第50話 過っ疎編11 ◎
○ 秋の旅行中 ○
□ 水配捲神社の社務所の前 □
△ 大昨夏未来 △
「未来ちゃんお待たせ」
「んっ……んぶっ!?(噴)(驚)」
「どう? 久々の巫女服。似合う?」
「ケホケホッ……何で巫女服? 勝手に着てきちゃ駄目でしょ!? 忘れ物取りに来たんじゃないの!?」
「そうだよ。これがその元職場に置いてっちゃってた忘れ物ってわけ」
「へ?」
「これ私服だもん。神社が用意したものでも何でもないもん。巫女になるにあたって私が特注したの」
「ってことはもうほんまに頭の天辺から爪先まで全身コスプレ巫女さんやったんや千早ちゃんって(汗)」
「失礼しちゃう! ほんのちょっと独学の我流なだけよ」
「あれ? でもそれってすごい綺麗やけど」
「そ。これは予備で社務所に置きっぱだったの。向こうに着てった方は思い出深いけど残念ながら汚れてボロボロ、洗濯してみたけどどうしようもなかった」
「そっか」
「私が向こうに持ってった神社の備品といったら……この竹箒だけね」
「よぉ戻ってこれたで箒もな」
□ 水配捲神社の境内 □
「……しまった!!」
「?」
「千早ちゃん、1円玉4枚持っとったら貸してくれん?」
「1円? ……ちょっと1円はない。というか4円借りてどうするつもり?」
「もちろんお賽銭やで」
「そ……(汗)」
「しゃーない。1円ないからこのままお願いするわ」
「! やめなさい!」
「え?」
「あなた無料より高いものはないって言葉知らないの」
「そりゃもちろん聞いたことあるけど」
「無料で神様に願い事するってことはね、願いが成就した暁には後日必ず御礼に参りますって意味なのよ。つまり俗世で言うところの後払いってわけ」
「そうなん? でもまぁまた今度来てもえぇけどなうちは。ここ嫌いやないし」
「それだけじゃないわ。叶った願いの規模に見合う金額を納めないと」
「えぇーっ? 神様ってそういうこと要求してくるもんだっけ? それにカッ素神様は人間のお金なんて意味無いって言ってたし」
「そりゃカッ素神様はそうでしょう、別宇宙の神様なんだから。でも地球の神社に取り次いで頂くんだからそうは問屋が卸さないの。例え要求されなくても人間の側が自発的に納めなきゃいけないのよ」
「自発的やないやん神社で元巫女さんにそんなこと言われてさ、怖いよ(汗)」
「その対象が人間4人ともなればそれはもう、さぞかし莫大な額でしょーねぇ? 果たして女子高生1人に払えるのかな。もし足りないと見做されたら……(脅)」
「ちょっとぉ怖いってぇ! 大体さ、これは『願い』っちゅーよりも『祈り』なんや! 別にうちに何の得もないんやからな!」
「ふ~ん?(笑) まぁいいわ。とにかく後払いが嫌ならここは無難に前払いにしておくことね。それなら額が少な過ぎて願いが聞き届けられなくても、ただ単に叶わなかったで話が済むから。何の代償も無い」
「なーんかさぁ……。日本の八百万の神様ってさ、金額でどうこういう存在やないと思うんやけどなぁ(汗)」
「神様がどうこうじゃない。人間側の誠心誠意の問題よ」
「誠意あるって、どう考えてもさぁ。あの不良達の為にここまでしてるんやで? ……んじゃ、御縁が有るよの5円玉4枚で20円」
「待ちなさい! 神社はお寺じゃないのよ。5円は良くない、何故なら」
「んもぉーちょっとお、ねーえー!! 神社ってさぁそんな、もっと大らかなもんでしょ!? 細っかいってぇさっきからぁ(汗)」
「いいからはい! ここは大人しく巫女の言うことを聞いて、ピカピカの100円硬貨4枚にしときなさい、ほら。貸したげるから」
「えぇ~? でも千早ちゃんの分の100円って大丈夫?」
「私には必要ない。何故ならあいつらごときに捧げる願いや祈りなんて微塵も無いから。この世界に戻ってきてほしいなんて私は思ってない。心の底からね」
「ハァ……(溜息)」
「でもだからといって未来ちゃんの祈りを邪魔するつもりは毛頭ないわ。どうぞ」
「(100円玉4枚チャリンチャリーン)カッ素神様いらっしゃいますか。もしいらっしゃらなければ神社の神様、水素神様。どうかカッ素神様にお伝え頂けないでしょうか。あの不良4人組、どうしようもないカスカスカスカス野郎どもだとは思いますけれども、ご家族もいることですしそろそろ虫から解放してあげて頂けないでしょうか。お願い、じゃない。深くお祈り申し上げます(二礼二拍手一礼)」
「あ! ちあきのおっちゃーん!! 社務所の予備鍵返しに来たよーっ!!」
「ちあきの……おっちゃん……?(怪訝)(小声)」
「おぉ千早ちゃん! 久しぶりやね! 元気しとったかい!」
「元気いっぱいです、こうして一緒に旅行する新しい友達も出来たの! こちらがその噂の新しい高校のクラスメイト、大昨夏未来ちゃん」
「噂の……?(小声)」
「おぉ夏に会うた話上手のお嬢はんやないかい!」
「お久しぶりです神主さん。私のこと覚えてらしたんですね」
「覚えとる覚えとる! その派手~な装いは一目見たら忘れられへん」
「そういえば会ったことあるんでしたね。でもこの際だからご紹介させて頂くわ。私の元上司で宮司の宮河内秋房さん。私は幼い頃から大変お世話になってて、ずっと『ちあきのおっちゃん』って呼んでるの。私が千早だからお揃いでね」
「はっはっは」
「そんな神主さんを元刑事の探偵みたいな呼び方してえぇもんやろか?(汗)」
「親しみがこもってるでしょ」
「しかし一緒に旅行言うてもお嬢はんはともかくとして、千早ちゃんは里帰りみたいなもんやろ?」
「いえ、ここは立ち寄っただけ。どうしても未来ちゃんが来たがったのと、それなら私も忘れてた用事を済ませようと思ったんです。これから戻って京都に行こうと思ってます」
「あれま、もしや! ……親御さん抜きなんじゃ……?」
「その通り! 女子旅だから!」
「女子高生だけで京都まで旅行かい……? う~ん、ちょっとおっちゃん、保護者なしでそこまでの遠出には感心せんなぁ。さすがに心配なってくるで」
「心配しなくても許可取ってますよ! 宿泊の親権者同意書とかもそれぞれ貰ってますから安心してね!」
「そうかいそうかい? 親御さんの同意があるならこれ以上口を挟めんが。こんな世の中やさかい、くれぐれも道中用心するんやで。特に人目のつかん暗い場所には一切行かんことや」
「はい」
「は~い!」
「いや~しかしあの千早ちゃんがこんなに明るく行動的になったのも、お嬢はんのお陰やな!」
「ほんとにそうなんだよね」
「いやー、照れるでなんか」
「ってアレ?」
「?」
「ハテ? 確かお嬢はんと私が初めて会うた時はまだ千早ちゃん、街場の高校行く前だったような……?」
「……(汗)」
「!」
(そんなとこだけ鋭いんかいっ)
「今の高校行く前から既に知り合ってたの私達は! それで誘ってもらったんだよ未来ちゃんに!! ね~、そうだよね~っ♪」
「あっはい。それで」
「そうかそうか! 嬉しいねぇ、ということはみんなお嬢はんのおかげやな!」
「たははは……それほどでも」
「東京行きはともかく、街場の高校に行ったのが精神衛生的に良かったんやろな」「まぁそれはほんとにそうみたいですね」
「いやぁ~やはり今時の子やさかい、都会に出てって活躍した方がえぇんやな元気んなって! こんな何も無い田舎にずっといるよりえぇんやろなぁ(しみじみ)」
「そうやと思いますぅあんまり過っ疎いと、ッ!!」
「?」
「未来ちゃん? あなたまた失言したね??? 人様の故郷のことを(怒)」
「い……いやいやいやいや! 今のは踏みとどまったから!(滝汗)」
「全然踏みとどまれてない全部言ってるもん(迫)」
「言ってない言ってない言ってない言ってない。空耳空耳空耳空耳」
「懲りてないよね? この都会人反省してないわコレ。とんだ失言王女よ!!」
「ぉおーいっ! 大概やろがい、結構な失言巫女やんか自分もぉ!!(笑)」
「え? お嬢はんって、王女はんなの???(困惑)」
「私と未来ちゃんだけで通じる未来ちゃんのあだ名なの。王女(笑)」
「こらぁーっ!! 今の言い方なにー? ちょっとからかってる感じやろ! このコスプレ巫女!!(笑)」
「私は本当の巫女だったもん! 元巫女だけど本物の元巫女だもん!!」
「似たようなもんやろがい!」
「『失言しました。ごめんなさい』は?」
「謝る代わりに言い直したるわ!」
「いや謝りなさいよ素直に(汗)」
「『空間が密やなくてとってもえぇとこやと思います、ソーシャルディスタンスが意識せずとも自然体でとれます、観光には最適の環境です』。コレや!!」
「何が『コレや』じゃ、皮肉にしか聞こえないわっ!! 素直に謝れこのバカたれ面食い失言王女!!(笑)」
「ごめんなさいっ! でもバカはあかんでぇ!? この全身コスプレ独学、我流のなんちゃって巫女!!(笑)」
「何や分からんけど良かった良かった。神様も微笑ましく見守っとることやろな」
『…………』
「…………」
◎ カッ素い宇宙転生 完
作者情報:地理は好きですが浅いです。言語学は好きではなく不得手です。量子力学は嫌いで苦手です。近畿地方には修学旅行で1度行ったのみで、関西方言全般に疎い枯木田万流です。短編なのに分割してしまい申し訳御座いません。何とか完結まで漕ぎ着けることが出来ました。読者の皆様のお陰です。ここまでお読み頂きまして本当にありがとうございました。 注意事項:地名は地方公共団体までは実在地名が出てきます。詳細地名や建物等は一部実在の場所を参考としている場合が有りますが、あくまで架空です。登場人物は一部歴史上の人物をモデルにしている場合が有りますが、全員架空の人物です。




