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プロローグ

「いやな雲だな・・・・・」遊牧民族の一つである、パラガ族の長

ルデンははるかかなたに見える、雲を見てつぶやいた。

雲は真っすぐ、垂直に伸び、まるで空にとどまっているかのように、移動しない

「こういう雲を見ると、良くも悪くも人生が変わるか・・・全くついてねえや。」

彼の一族をはじめとする大陸に存在する遊牧民族は一族に伝わる言い伝えや伝承を

重視し、生活の中にもその教えが浸透している。

『垂直に空に伸びる雲を見た者の、運命を神は変えられる』というのもその一つである。

「長!早く移動しましょう。後方で竜巻が発生しています!」部下が指差す先には

確かに砂あらしが発生している。距離的にはまだ遠いが、竜巻のスピードは速い。

おそらく数分でここも竜巻に巻き込まれる。

「バードタイガーに乗れ!全員ここから離脱するぞ!」「おお!」部下たちは次々と

自らの首に下げた笛を吹き鳴らす。乾いた草原に笛から流れ出る高い音色が流れていく。

『キアアアアッ!』はるか上空から響く咆哮に皆が空を見上げる。

雲ひとつない青空の一角が黒くなっている。いや黒くなっているように見えたのは

彼らが呼んだものたちが集まって飛んでいるからだ。

「きました、バードタイガーです!」部下の1人が叫ぶと同時に上空を飛ぶ

バードタイガーの集団が急降下を始める。

『キアアアアッ!』バードタイガーたちは次々と男たちがいる草原に着地する。

「よしよし、ケプティー頼むぞ!」ルデンの声にまるで頷くかのように

バードタイガー『ケプティー』は首を縦に振った。

「よーし、離脱開始!」ルデンを乗せたバードタイガーがその巨大な翼を広げ

勢いよく走り始めた。他の部下を乗せたバードタイガーたちも、一斉に走り始める。

「さあ、飛べよ・・・いけ!」ルデンの声を合図にバードタイガーたちは

その背中にある巨大な純白の羽を広げ大きく一振りした。

次の瞬間、ルデンを乗せたバードタイガーを大空に向かって、舞い上がった。

「他の奴らもみんなついてきているな。」後方を向き、全員が無事についてきていることを確認したルデンは、ふと自分の手元に目を移し愕然とした。「手綱がない・・・」

空中を飛ぶバードタイガーを操るには手綱は必要不可欠な存在だ。なにしろ

手綱で方向を指示するのだから。手綱がないと村に戻れない。

「まじで、うっかりしすぎだぜ俺・・・・」大慌てで型の袋を探り、やっと探し当てた

手綱をケプティに取り付けて、ルデンはため息をついた。

「やっぱり、あんな雲見るんじゃなかったっな・・・」ルデンの頭には先ほど見た

あの雲のことがこびりついて離れなかった。竜巻のことといい、手綱紛失未遂のことといい、さっきからついてない。

「長、前方の大木の枝に人が引っ掛かっています!」後方にいる部下の一人が

前方にそびえる一本の大木を指差した。「あれは、ガルムの木・・・」

彼らが暮らす草原に木はわずかしか生えていない。遊牧民族である、彼らは

その希少な木に一つ一つ名前を付けていた。

『ガルムの木』というのもその一つで、遊牧民族の伝承に出てくる怪物『ガルム』

が封じられたとされる場所に生えている木である。

「少年のようだが・・・」枝にぶら下がっているのはまだ、10歳ほどの少年だった。

帝国の一般的な市民服の上にマントをはおっている。そして腰には剣。

帝国の服を着ているということは少なくとも遊牧の民ではない。

しかし、帝国の市民なら、剣を持てるはずがない。帝国では民間人が武器を持つことは禁じられている。もし武器の所有がばれた場合、当人だけではなくその家族、親戚などすべてが刑に処せられる。

よって、武器を自ら所有しようと考えるものは、帝国に存在する武器商ぐらいとなる。

だが、この少年が武器屋の下働きだとしても、どうやって帝国の監視の目をくぐりぬけて

この地にやってきたのかがよくわからない。

なにしろ、昔ほどではないが今も帝国と遊牧の民は対立している。帝国からこちらに向かうことは禁止されているはずなのだ。

「とりあえず、この子を運ぼう。村に戻って事情を聴かにゃならん。しかし、どうして木の枝に?」「おそらく、あの竜巻に吹き飛ばされたのでしょう。」聞かれたわけでもないの隊長が話し出した。「竜巻に巻き込まれたものは、一説によれば何キロも吹き飛ばされるそうです。私たちがいた場所より後方で巻き込まれたその子が落ちた場所が偶然

ガルムの木だった・・・・て感じじゃないでしょうか。」すこし、苦しいがまあ筋は通っているとルデンは頷いた「確かにそうかもな。よし、この子は俺が運ぶ。お前は先に行って

村の女どもに看護の準備をするよう伝えろ。」「了解!」隊長は2.3人の部下を率いて

大空に向けて飛び上がっていった。

「さあて、これも運命かな。まさか、この子が俺の運命を変えるってわけじゃないだろうな?」ルデンは自嘲気味につぶやくと、他の部下たちを率いて飛び上がっていった。



はじめまして、将軍といいます。

この作品は私にとって初めて書く小説となります。

大変未熟な文章で申し訳ありませんが、お付き合いお願いします。

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