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とある新人兵士の手記 ~朝~

 お父さん、お母さん、ついにやったよ。今日憧れの王国兵士の着任式を済ませたんだ!面接や実践訓練を経て、晴れて俺も立派な兵士になったんだ。採用の連絡をもらったときはイマイチ信じられなかったけど、こうして制服もらって職場の説明されると実感するよなぁ。周りの人もみんな喜び、キラキラした目をしていた。王国兵士なんてこの国の小さい子どもたちのなりたい職業No.1になるほど華の職種だ、特に田舎出身の俺なんて里帰りしたときに堂々と周りに自慢できるってわけさ!


 ただ王国の兵士といっても王様の護衛や王女様の付き添いといった、いわゆる華のあるポジションに新人がいきなり就けるわけじゃない。まずは交代制の見張り番や街のパトロール、武器や鎧の手入れといった仕事からスタートするらしい。我が国の王宮は広い城の掃除も兵士がやる、不審者が侵入した時に丸腰のメイドや執事ではすぐ殺されてしまうからだ。その点掃除なら新人でもできるし、不審者を見つけたときそのまま退治できるって寸法さ。

 そりゃそうだよな、どんな仕事だって最初は誰にでもできるような仕事からスタートするものだ。焦らずしっかり下積みを重ねてきっと出世してやるんだ。俺はこの志を忘れないようにしっかり記しておくことにする。


 そして俺が働くことになったのは、罪人監視のポジションだ。文字通り、悪いことをして捕まった罪人たちが逃げたり暴走をおこしたりしなように見張るのだ。それだけ聞くと簡単なように聞こえるが、実際は離職率の高い闇の部署と言われている。

 なぜなら、囚人たちは基本的に自分たちを捉えた兵士というものをおもしろく思っていない。だから特に新人兵士に対しては、周りにバレないよう嫌がらせをしたり聞こえるように悪口を言ったりするらしいのだ。それでメンタルを病んでやめてしまう兵士が多く、だからこそ新人が入ってくると真っ先に補充されるポジションなのだ。

 俺はその話を聞いた時、無性に腹が立った。元はと言えば人殺しや窃盗など、捕まるようなことをした自分たちが悪い癖に、逆ギレして兵士をイジメるなどとは何事か!俺が出世してもっと偉くなったら、罪人の私語禁止や兵士への嫌がらせ厳罰化などで厳しく取り締まってやるのに。


 やはり俺みたいな仲間思いでやる気のあるやつは、しっかり仕事して出世しなくてはならない。俺が頑張ってこの国の兵士たちの労働環境を良くしてやるんだ!せっかく兵士になれた初日に俺は大きな目標を立てることに成功した。今日はなんだかよく眠れそうだ!


 いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。

 ※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。


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