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ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします  作者: 未羊


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第85話 油は要りますよね?

 アブラナとオリーブですが、こちらでは同じ名前の植物はありませんでしたが、よく似たものは見つかりました。

 早速、忙しい中探して下さったミサエラさんに感謝しながら買い取りに行きます。

 今日はスピードとスターの子どものうちの一羽である、ステラに乗ってやってきました。ステラはスターからの連想ですね。


「ミサエラさん、こんにちは」


「これはレチェさん、ようこそ」


 ミサエラさんは目の下にかすかにクマを作っています。どうやら寝不足のようですね。

 それだけ、私のために奔走して下さっているのでしょう。


「探していたものでしたが、見つかりましたよ。ナーナとオイリブですね」


 私の目の前に出されたのは、二種類の種でした。なるほど、見たことがあるようなないような感じです。


「これらをどうするおつもりか知りませんが、この種を譲って下さった方は、ちょっとおまけの情報を教えて下さいましたよ」


「あら、それは何なのでしょうか」


 ミサエラさんの報告に、私は気になって仕方がありません。すぐさま確認してみます。

 すると、なんでもうっかり実や種を潰すとべたべたしたものがつくというものでした。種を譲って下さった方は、火種としてその液体を重宝しているようですね。よく燃えるそうです。

 明かり取りの魔法のある世界で、まさかそういう使い方をしていらっしゃる人がいるとは思いませんでした。まあ、魔法を使っている間は魔力を消耗しますからね。魔力の節約方法のひとつなのでしょうか。

 まあ、私はそんな使い方はしませんけれど。どちらも調理に必要なものなのです。

 菜種油は揚げ物や炒め物に使いますし、オリーブオイルはドレッシングとして使います。

 私は二種類の種を売って下さった方に感謝をしておきます。ちゃんと代金を支払い、二種類の種を無事にゲットできました。


 種の取引が終わると、私はミサエラさんに食堂の建設予定地について確認します。

 こちらに関しては、ミサエラさんは意外にもいい顔をしませんでした。どうも選定に時間がかかっているようですね。

 店舗の建設や内装の準備は、私の魔法でどうにでもできます。なので、ミサエラさんには無理をしないようにだけ言いまして、商業ギルドを後にしました。


 農園に戻った私は、早速ナーナとオイリブの種を植えて、ノームに育ててもらいます。


『いいよ~、任せて』


 ノームは二つ返事で了承してくれます。

 次の瞬間、ナーナとオイリブは一瞬で成長しきってしまいます。さすが精霊、チートにもほどがあります。

 ここで必要になるのは、ナーナの種とオイリブの実です。油を取るためですからね。

 ノームに頼んで、ナーナを実のなった状態にします。種の一部は次の株のために残します。


『オイリブの方は?』


「そちらも実をつけた状態にしてもらってもいいでしょうか」


『おまかせ!』


 ノームはオイリブもあっさりとたくさんの実がなった状態にしてしまいます。これ、さっきまで種だったんですけれど?

 私はノームに感謝をしながら、ナーナとオイリブの実を持って、厨房へと移動していきます。

 どちらも油を取るのには時間がかかります。

 まずはナーナの方からいきましょうか。

 実の中から種を取り出し、コンロの上で炒っていきます。水分が飛んでカラカラになれば、クリームを作る時の要領で、種を風魔法で粉砕します。

 しばらく放置すると、べたべたとした液体が出てきました。これが油ですね。余計な種を取り除くために、布巾をかぶせた土魔法で作った容器でこします。


「ふぅ、これでナーナオイルの完成でしょうかね。これだけの量の種からこれだけしか取れませんから、揚げ物用ともなれば相当な量が必要ですね」


 さすがに通常のフライパンひとつを満たす程度では、たいした量の油にはなりませんでしたね。でも、これくらいでしたら、炒め物くらいにはすぐに使えそうです。

 それが終われば、オイリブの実の方でも油を取るとしましょう。

 こっちもナーナの種と同じように容器の中に入れて、実同士がぶつかって潰れるように風魔法で撹拌します。

 本当に魔法って便利でいいですよね。

 しばらくしてふたを開けると、容器の中は潰れたオイリブの実から油がにじみ出ていました。

 これも先程と同様に布巾をかぶせた容器でこしていきます。


「オイリブオイルも、これで完成ですかね。こちらはすぐにでもドレッシングにしてみましょうかね」


 ひとまず変わった料理を出すためのひと手間が終わりました。いや、これだけでも大変でしたね。


「レチェ様、何を作ってらっしゃったんですか?」


「イリス、これは油というものです。これを使って、料理に幅を出そうと思いましてね。おそらく見たことのない料理ですから、みなさん、驚かれますよ?」


「は、はあ……」


 私が悪だくみをしているような顔で笑うものですから、イリスは理解できないようですね。

 とりあえず、前世で私の好きだった料理を作る下準備は整い始めました。ですが、常に提供するにはまだまだ量が少なすぎます。

 あと、劣化させずに貯蔵する方法も確立しませんとね。魔法も万能じゃありませんし、なにより使うと疲れますからね。とても忙しくなってしまったら、魔法を使う余裕すらないでしょうしね。


「とりあえず今日はこのくらいにして、また明日にしましょう」


 容器にふたをして、風魔法で中の空気の量を減らしておきます。完全に抜いてしまうと真空になってしまって、どうなるか想像もつきませんからね。

 ひとまず、油を少量ながら確保して、食堂の目玉を作る第一歩が完成したのでした。

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― 新着の感想 ―
この世界の文化形態はいくらなんでも雑魚すぎんか? 海塩も無ければ畜産も未発展、ワインはあるのにチーズは無い。しかも植物油も未発見。それなのに城やドレスはキッチリあると。 ちぐはぐだと思う。
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