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ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします  作者: 未羊


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第84話 メニューの再整備

 アマリス様たちが王都に戻られますと、それから十日ほどして手紙が届きました。


「もう、アマリス様もルーチェも律儀なんですから」


 届いた内容を確認して、私は笑ってしまいます。


「レチェ様、どうなさったのですか。そんなにおかしそうに笑われて」


 小屋の中の掃除をしていたイリスが声をかけてきます。どうやら、私の様子が変に見えたようですね。


「いえ。アマリス様とルーチェから一緒に手紙が届いただけですよ。まったく、戻ったら律儀に手紙を寄こすものですから、真面目だなってつい笑ってしまっただけです」


「なるほどです。それだけお二人がレチェ様を慕ってらっしゃるということでございますね」


 私が困ったような顔をすると、今度はイリスが笑っています。なんなのでしょうかね。

 とりあえず、お二人が無事に戻られたということは、今日にはもう学園に通われているでしょうね。ギリギリになるまでこちらにいらっしゃいましたからね。

 本当に私のことを気にかけるのはいいのですが、自分たちのことももうちょっと考えて頂きたいものですよ、ええ。

 というわけですので、お二人の無事を確認したところで、私も自分のことを考えることとしましょう。


 実は、あれからというもの食堂に関しても少し動いています。

 商業ギルドのミサエラさんに立地の相談をしたのです。それはとても親身になって相談に乗って下さりましたよ。

 ミサエラさんが仰るには「妹のようですから、つい応援したくなります」とのことです。そういえばミサエラさんってば一体いくつでいらっしゃるのでしょうかね。商業ギルドの副マスターでいらっしゃいますから、そこそこのいいお年でいらっしゃるでしょう。とはいえ、相手は女性ですし詮索はやめておきましょう。

 それで、場所について相談を持ち掛けた際には、条件をいくつか聞かれましたね。立地、客層、取り扱う商品は事細かく聞かれました。食堂といってなければ、業種も聞かれたのでしょうね、きっと。

 私が目指すところは大衆食堂のようなものですけれど、ゆったりしてももらいたいと考えています。ですので、立地は大通りから少し外そうと思っているのですよね。知る人ぞ知るといった感じでしょうか。

 ですが、防犯の観点からすると、そこまで奥まった場所というのもよくありません。私ではいい場所を知りませんから、ミサエラさんに任せることにしました。

 でも、街に構えるとなると、従業員の方々には街に住んでいただくしかありませんね。こればかりは効率上仕方ありません。料理の仕込みは時間がかかりますからね。

 それと、私のお店だと分かるように目印もつけましょうかというようなことを言われましたね。なんでしょうかね、目印って。何か目立つようなものでもありましたかね。

 よく分からなくて、私はこれには首を傾げながらも了承しました。

 とりあえず、これで食堂のことに関して、心配ごとと私たちのやることは大幅に減ったと思います。その分、ミサエラさんたちにずいぶんと仕事を押し付けてしまいましたが。とはいえ、商業ギルドにとっては仕事ですからね。これでいいんですよ、きっと。


 食堂の立地などについてはミサエラさんにお任せしましたので、私たちは畑仕事とラッシュバードの世話と、あとは料理の準備ですね。

 私の前世の記憶から作ろうとしても、今あるもので作るのは厳しいものが多いですからね。卵以外にも必要な調味料の作り方が分かりません。

 元日本人ならほとんどがなじみのある味噌や醤油はもちろんですが、ケチャップやソースも作り方が分からないんですよね。こうなると、調味料らしい調味料がないんですよね。塩とワインビネガーくらいです。


「はあ、調味料ってないのでしょうかね」


「調味料ですか、レチェ様」


「ええ、味付けを変えれば料理に幅が出ると思うのですよね。素材そのものを味わう人はいますでしょうが、そのままでは苦手な人もいらっしゃいます。そういった人のために、味を変えてみるというのもありだと思うのですよね」


「なるほど。そういうのもありなのですね」


 私の話を聞いて、イリスは初めて知ったというような表情で頷いていました。


 そこで、私は日を改めて調味料の威力を試してみることにします。

 試すのはドレッシングですね。

 塩と油とお酢を使ったものをベースとして、それに柑橘の搾り汁を加えたものも作ってみることにします。

 ここでネックになるのが油ですね。そこで、私は油の採れる植物からアブラナとオリーブのふたつについてミサエラさんに探してもらうことにしました。種さえあればノームの力であっという間に増やせますからね。


「あら、レチェさん。どうかなさいましたか?」


「ミサエラさんに探してほしいものがありましてね。先日頼んだことで忙しいのは分かっていますが、食堂の成功のためにはいろいろと用意しておきたいのです」


「分かりました。レチェさんの頼みですから、できる限り尽力してみましょう」


 ミサエラさんは、快く了承して下さいました。

 そこで、私が描いた欲しいもののイラストを見せます。口の説明だけでは分かりにくいでしょうからね。

 さて、食堂の開業に向けてのメニューの開発です。

 絞って少なくなってしまったメニューのバリエーション、頑張って増やしますよ。

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持ち込んだ植物図鑑はどこに消えてしまったの…
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