表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/200

第79話 ラッシュバードの生態

 アマリス様たちが私たちのところに滞在しているのは、何も偶然でありません。

 実は私の家のウィルソン公爵領の中で、湖があるような場所は実は私が農園を営んでいるここにしかないのです。

 ルーチェたちの本音は私たちに会いに来たのでしょうけれど、涼しげで静かな場所で過ごしたいとなると、その条件に合致するのが私のところしかないのです。

 つまり、私に会いたいという条件を除いたとしても、避暑地として選ぶならどのみち私たちのところに来たでしょう。

 アマリス様とルーチェは、護衛を伴いながら、フォレとラニに乗って毎日のように湖に出かけています。精霊のアクエリアスがいますので、湖で何かが起きてもきっと大丈夫でしょう。湖は水の精霊のテリトリーですからね。


 ですが、さすがにカリナさんたち親子はびびっていましたね。

 王女であるアマリス様がいらしたのはもちろんですけれど、そのせいで私が公爵令嬢であることまでばれてしまいましたから。

 平民の商人と貴族とでは、接し方が格段と変わってくるというものです。商人であればその場で終わることが多いですが、貴族ですと大抵は周りに波及しますからね。

 私の正体を知った三人には、そこまで気負わなくていいとは申し上げておきましたが、明らかに態度が変わりましたからね……。はあ、困ったものです。


 さて、夏ともなれば畑の草処理がとても大変です。暖かい時期ともなれば成長が速いですからね。

 こういう時、ラッシュバードが多いというのは助かります。なにせ彼らの餌は草や土中の虫たちですからね

 あの食べづらそうなくちばしで器用に草をパクパクもぐもぐですからね。それでいて小麦やトマトやら作物には口をつけません。食べていいものと食べてはダメなものをしっかりと認識してくれています。

 これはまだ小さなヒナたちにも見られますので、ラッシュバードはもしかしたら思われているよりは頭がいいのかもしれませんね。

 それにしても、スピードやスターを中心として、みんなで揃って草をついばむ様子は癒されますね。


「ブフェーッ!」


 突然スターが大声で鳴きます。

 何事かと思って見てみますと、どうやら小さなヒナが作物の方に口をつけようとしていたのを叱ったようです。しっかりとお母さんをしていますね。

 注意をしたスターですけれど、それと同時に食べてもよい草を器用にくちばしでヒナの口に近付けています。実に素晴らしいですね。


「ああ、ここにいればラッシュバードのあれこれを見ていられるのですね。去年一目見た時から惚れ込んだかいがあるというものです……」


 キサラさんがスターの行動を見てうっとりとしています。よっぽどラッシュバードに魅せられたのですね、この人。

 近くにいたハーベイさんが引きつった顔で引いています。現在農園にいる男性陣は、ラッシュバードとあまり相性がよろしくないみたいですからね。

 とはいいましても、懐かないだけで嫌いというわけではなさそうなんですけれどね。互いに苦手意識を持っているようですから、改善しそうにない感じです。

 男性陣とラッシュバードの関係は、現状はじっくり見守るしかありませんね。


「ただいま戻りました、お姉様」


「お帰りなさい、アマリス様、ルーチェ」


 夕方が近付いてきて、湖に遊びに行っていたアマリス様とルーチェが戻ってきます。

 二人よりも先にフォレとラニが飛び込んできて、スピードとスターと首をこすり合わせています。ラッシュバードの挨拶のようなものらしいですね。

 一緒に生まれた仲ですから、こうやって挨拶を交わすみたいです。

 この様子を見たキサラさんが、また興奮した表情を見せていますね。また一生懸命にラッシュバードの生態をメモに取っています。

 本当にキサラさんってば、ラッシュバードに完全に魅せられてしまっていますね。

 でも、魔物の生態が分かるというのはいいことだと思います。今回のことでまったく意思疎通のできない相手というわけではないことが分かりましたからね。うまく付き合えば、いいパートナーになれそうです。


「離れていたというのに、仲がいいですよね」


「本当ですね。ラッシュバードって仲間意識が強いのでしょうかね」


「どうなのでしょうかね。あの四羽に関しては、私たちの眷属ですから、私たちに影響されている部分もあるでしょうから、正直分かりませんね」


 私ははっきりとした結論は言いません。私にだってまだ分からないことが多いのです。

 もしかしたら、私よりキサラさんの方がはっきりとした結論が出せるかもしれませんが、とりあえず今は聞かないでおきましょう。困らせるつもりはありませんから。

 私たちが話をしていると、フォレとラニがこちらに戻ってきます。


「ブェフェ」


「もう、くすぐったいですよ、フォレ、ラニ」


 戻ってきたかと思うと、アマリス様にじゃれついています。

 こんな大きな体をしていますが、まだ一歳ですからね。本来ならまだまだ子どもでしょうから、甘えたい盛りなのかもしれません。

 羨むような男性陣の視線が飛んできますけれど、こればっかりはラッシュバードたちに言って頂きませんとね。

 これから大きくなるヒナたちなら、もしかしたらがあるかもしれません。気長に待つことにしましょう。

 なんといっても、私たちの生活にはラッシュバードが欠かせませんからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ