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ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします  作者: 未羊


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第71話 やらかしの天才

 翌日、先触れの男性が伝えてきたとおり、私たちの農園をミサエラさんが訪れました。

 よく見ると、昨日来た男性も混ざっています。昨日のやり取りが気になったのでしょうかね。なんにしても興味を持っていただけることはいいことです。


「こんにちは、レチェさん。予告した通りにやって参りました。早速視察を始めさせて頂いてもよろしいでしょうか」


「はい、どうぞ。私たちは普段通りですので、隅々までご覧になっていって下さい」


 私は気前よくミサエラさんたちを迎え入れます。

 ただ、キサラさんたち商業ギルドの商会で雇い入れた従業員たちは緊張しています。なにせ働き具合をチェックされるのですからね。私としては問題ないとは思うのですが、ミサエラさんたちの評価は違うかもしれませんものね。

 緊張する中、ミサエラさんたちの視察は続いていきます。

 最初に畑を見て回っています。

 先日購入した種は植えてから間がありませんから、あまり成長していませんので、その部分は見た感じでは空っぽに見えてしまいます。なので、そこについては聞かれましたね。

 そんな感じで淡々と受け答えをしていきます。

 畑の視察が終わると、今度は鳥小屋です。そこにはラッシュバードがいます。


「あら、数が増えましたね」


 さすがに気付かれてしまいますね。

 元々はスピードとスターの二羽しかいませんでしたからね。

 今は増えて九羽になっています。最初の卵からは四羽、次の卵からは三羽です。ぎりぎり二けたにはなりませんでしたが、それでも大賑わいですよ。


「ラッシュバードのヒナってこんなに大きくなるのですかね?」


 ミサエラさんからちゃっかり指摘が入りました。


「いえ、ならないと思います。生まれた直後は確かに小さかったですから」


 嘘をつくメリットはありませんので、私は正直に全部を話します。

 生まれてから名付けをすると、このように大きくなってしまったことを話すと、それはミサエラさんたちはとても驚いていました。

 眷属から生まれた子どもに名づけを行うと、眷属化の影響を受けて大きくなってしまうようなのです。この推測をお伝えすると、ミサエラさんたちは唸り始めてしまいました。


「……これは冒険者ギルドにも共有すべきお話ですね」


 悩んだ末、ミサエラさんはそのように結論を出していました。

 表情を窺っておりますと今までになかったことのようですね。

 あとで確認してみましたが、魔物を眷属化するような人は今までいなかったようでして、このようなこと自体、知られていなかったようですね。

 なんてことでしょう、新発見です。

 眷属化で成長させてしまうことは、昨年発覚したことです。ですが、眷属化した魔物の子どもにも、同じような現象が現れるというのは思ってもみませんでしたね。


「次の卵が生まれた時は、お譲りしましょうか?」


「いえ、ここでまずは様子を見て下さい。私たちには育てるノウハウがありませんから」


「分かりました。では、私たちでまずは育ててみます。アマリス様からのお話ですと、まだ三~四十個は卵を産んで、その半分くらいはかえるそうですから」


「アマリス様って、王女殿下ですか?」


 ミサエラさんの反応にしまったと思いながら、私はこくりと頷いていた。


「妹のように懇意にさせて頂いております」


「はあ……。あなたの本来の肩書からすれば、おかしくないことですものね」


 私とミサエラさんは苦笑いをしていたのでした。


 さて、最後は問題の小麦ですね。

 冬小麦はこの世界では知られていないようですけれど、私が育てたのは普通の小麦なんですよね。

 ノームの力を使ったとは言いましても、昨年育てていた春小麦と同じ種を使いましたから、どことなく不安です。

 判定結果は並品質でしたね。とはいえ、季節外れの作物を育てたのですから、実質は良品質くらいかもしれません。


「保存は少し利かないかもしれませんが、それでも食べるには問題のなさそうな感じです。基本的には挽いて粉にしてパンなどに加工するといったところでしょうかね」


 ミサエラさんからの評価はこの通りで、少し安い価格で買い上げとなりました。

 それでも、万一の時には役に立つとのことで、感謝はされていましたね。


 これで視察も終わり。……そう思った瞬間がありました。


「ところで、レチェさん」


「はい、何でしょうか」


「なんですか、これは」


「何って、メモ帳ですけれど?」


 ミサエラさんが最後に、昨日職員に託した紙の束を取り出して私を問い詰めてきます。


「材質は何かと聞いているのですよ。普通は冒険者ギルドで魔物を解体した時に出てくる皮膜を使って紙にするのですけれど」


 ああ、そうですか。

 そういえば羊皮紙の世界でしたね。羊の皮でなくても羊皮紙とはこれいかにですけれど。

 冒険者たちが持ち込む魔物の中には毛皮に適さないものも多くて、それを有効活用しようとしたのが始まりだそうですね。

 そのような世界ですから、私の作った植物紙は物珍しいというわけです。

 ああ、またなんかやっちゃいましたですよ、これは……。


 最終的に後日作り方をお見せするということで、今日のところは帰って頂くことにしました。もう戻らないと日が暮れてしまいますからね。

 商業ギルドによる視察が終わった後の私は、どっと疲れてしまって、しばらく動けないでいましたよ。

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― 新着の感想 ―
なぜ個人経営の農園に商業ギルドの視察が何度も入るのだろうか? 持ち込んだ作物の販売を委託してるだけなのに何で農園や家畜などを見せなければならないのか仕事の範囲と仕組みが分からないなぁ 手数料20%も取…
>そういえば羊皮紙の世界でしたね 54話では植物紙のある世界と言っていたのですがどっちでしょう?存在するならミサエラさんの立場なら知らないという事は無さそうですが…
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