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ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします  作者: 未羊


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第66話 ラッシュバード論争

 お久しぶりです、アマリス・ウィズタリアでございます。

 本日はお兄様からとても信じられないことを言い渡されてしまいました。

 私はあまりにもショックを受けたので、ふらふらとした様子で自室に戻ってきました。


「お帰りなさいませ、アマリス様」


「あっ、お帰りなさい、王女」


 部屋に戻るとハンナとアクエリアスが迎えてくれました。


「おやおや、ずいぶんと落ち込んでいるようだね。お姉さんが話を聞いてあげようかい?」


 あまり顔に出さないようにしていましたが、さすがは精霊ですね。あっさりと見抜いてしまいました。

 ばれてしまっては仕方ありませんね。私は素直に話すことにしました。


「はあ、それは王子が悪いわね」


 アクエリアスは大きなため息とともに、お兄様が悪いと言い切りました。


「ラッシュバードは根本的に頭が悪いけれど、眷属化すればそんなものは関係ないわ。フォレとラニを見ていれば分るでしょう?」


 言われてみればその通りです。

 フォレとラニは言った言葉を理解していますし、ダメといったことは絶対にしません。


「それに、本来魔物を手懐けようとするとかなり面倒なものなのよね。でも、鳥の習性を使えば、手懐けることはものすごく簡単なのよ」


「刷り込みでしたっけ。生まれた直後に見た動くものを親と思う習性と仰られておりましたよね」


「そう。刷り込みを使えばヒナの段階で懐かせることは可能なのよ。さらに眷属化もしやすくなるしね。走る速度は馬よりも速いわ」


 アクエリアスがいろいろとメリットを挙げていきます。

 ですが、熱くなりそうなところでハンナが口を挟みました。


「あの、それはアンドリュー殿下に仰られた方がよろしいのではないでしょうか」


「はっ、そうね。よし、王女様、王子のところに怒鳴り込みに行くわよ」


「えっ、ちょっとアクエリアス?!」


 足早に動き出したアクエリアスを止められず、私はお兄様の部屋と向かうことになってしまいました。


「たのもーっ!」


 お兄様の部屋に到着すると、アクエリアスは衛兵の制止を振り切って部屋に突撃してしまいます。

 扉を勢い良く、ノックもなく開けたものですから、さすがのお兄様もびっくりしていらっしゃいます。


「な、なんだ、アクエリアスか。驚かせないでくれ」


 さすがはお兄様。一瞬で落ち着きを取り戻していました。

 ですが、アクエリアスの形相はより険しくなっています。


「王子、見損なったわよ」


 お兄様の前にあるテーブルに、勢いよく両手を突きながらアクエリアスは言い放ちます。


「どういうことかな?」


 お兄様は落ち着いて反応をしています。


「ラッシュバードを認めないらしいわね。あんな素晴らしい鳥を繁殖させないのはよろしくないわ」


「いや、魔物を飼うことの方がよくないだろう」


 アクエリアスとお兄様の意見が真っ向から対立します。

 ところが、アクエリアスは怯むどころか、先程の理論をくどくどとお兄様に説き始めます。

 卵から育てるメリットだとかそれはもういろいろと、つらつらと話しています。

 話を聞いているお兄様の表情が、だんだんと青ざめていきますね。

 アクエリアスってば、なぜここまで熱く語るのでしょうか。私のためだとしても、ここまでする理由がどうも分かりません。私ですら引いてしまいまうくらいですよ。


「いや、数が増えていっては困るだろう。魔物なのだぞ?」


 お兄様の反撃です。

 ところが、この程度の反撃では、アクエリアスは止まりません。


「まあ、年間に五十個ほど卵は産みますが、平均して半分くらいは無精卵です。卵はおいしくいただけますし、ラッシュバードの肉も定期的に手に入ります。どうです、家畜化というのもいいと思いますよ。魔物の生態の研究にもなりますし」


「むむむむ……」


 定期的に肉や卵が手に入るという話になると、さすがにお兄様は唸り始めてしまいます。


「さあ、どうです。単独での移動は馬よりも速く、肉や卵もおいしいラッシュバードですよ。育ててみたくなりませんか?」


 ずずいっとお兄様にアクエリアスは迫っていきます。

 かなりの圧力に、お兄様はついに屈してしまいました。


「わ、分かった。父上たちに働きかけてどうにかしよう……」


 すごいですね、アクエリアス。お兄様を言いくるめてしまいました。

 これには素直に感動してしまいます。

 それでですが、お父様やお母様とも話し合いが行われ、ラッシュバードをお城と魔法学園で、しばらく研究のために増やしながら観察することになりました。

 この決定を聞いて、私はほっとしました。

 ですが、連れてきたも者として無責任に放置するわけには参りません。私は学園でも責任を持ってラッシュバードのお世話をすることを約束しました。

 私がこのように述べたことで、お父様たちは安心したような表情を浮かべていました。


 そんなわけでして、私が学園でなすべき目標が見つかりました。

 私は早速、お姉様宛に手紙を認めます。

 入学試験の詳細やラッシュバードの扱いについてなど、それは詳細な内容をです。

 多分、同じようなことはお姉様もなさっていらっしゃるでしょうから、時々こうやって情報共有をしませんとね。

 私はつい、顔がにやけてしまいます。

 フォレとラニの子どもが大きくなったら、ルーチェと一緒にお姉様の元を訪問したいですね。

 私はそんなことを想像しながら、書き終えた手紙をハンナに預けたのでした。

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