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ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします  作者: 未羊


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第30話 さあ、名付けましょう

 ラッシュバードのヒナたちは、とりあえずノームに面倒を見てもらうことになりました。私たちではいつも一緒にはいられませんからね。

 ヒナたちはノームのことを認識できているようですし、ふかふかとした体が気に入っているようです。


「さすがに私たちでは押し潰しかねませんからね。大人になったら大きくなるとはいえ、まだ生まれたばかりです。悲惨な光景を見ずに済むのはよかったです」


「私もそう思います」


 ノームと戯れるラッシュバードの姿を見ながら、私とアマリス様は休憩をしています。

 ですけれど、やはり私たちが姿を見せると、ラッシュバードたちは私たちによちよちと駆け寄ってきます。なんとも可愛らしい姿ですね。

 普通であれば鳥は空を飛ぶので、ノームの管轄ではないそうです。風を司るウィンディアやシルフといった精霊と関わるようになるのだそうです。

 ところが、ラッシュバードは空が飛べず、地面を走り回るだけの鳥の魔物です。そのためか、ノームとの相性はかなり良いようなのですよ。


『この子たちの面倒は僕たちに任せる~』


『大きくなったら親離れするので、それまでの我慢だー』


 ノームもこんな調子です。

 そんなとき、突然ノームが妙なことを言い始めます。


『そうだ。名前を付けてあげるといいよ』


『うんうん。ちなみにラッシュバードの卵は、今回みたいに確実にヒナが生まれるとは限らないよ。卵がかえる卵かどうかは僕やアクエリアスでも判断ができるから、かえらないなら食べてしまっても問題はないよ』


「まあ、そうなのですね」


 ノームの言い分に、私は驚いてしまいました。

 アクエリアスに確認しても同じことを仰るので、本当にできるみたいですね。


『魔物の場合、名前を付けると眷属化できるので、刷り込み同様に自分たちに懐かせることができるんだ』


『ラッシュバードはあまり頭がよくないけれど、眷属化させればいうことを聞かせることができるようになるよ』


「メリットがありますのね」


 これは名づけるしかなさそうです。

 私は早速アマリス様と顔を見合わせますと、ノームと戯れているラッシュバードのヒナを呼びます。

 全部で四羽いるラッシュバードたちは、二羽ずつに分かれて私たちに駆け寄ってきます。刷り込みによって親と認識したものに駆け寄っていきますので、これで無事に私たちは名前を付ける相手を分けることができました。

 なにぶん、見た目だけでは区別がつきませんからね……。

 これは、もう少し大きくなったら首に何か分かるものを着けなければいけませんね。

 さて、名づけに戻りますが、名前は大事なものです。一大イベントであるので、私はとても頭を悩ませます。

 結果、オスには『スピード』、メスには『スター』と名付けました。スピードスター……、なんともそのままですね。ええ、情けないネーミングセンスを笑って下さいよ。

 アマリス様の方はどうでしょうかね。

 私が安直に決めた横で、まだ唸ってらっしゃいます。名前を付けるなんてことは、子どもでも生まれないことにはそうそうある話ではないですからね。悩むのも分かりますよ。

 しばらく悩んでいたアマリス様ですけれど、ようやく名前を決められたようです。ハンナに相談するかと思いましたが、自分だけで決められたようですね。


「決めました。男の子の方は『フォレ』、女の子の方は『ラニ』です」


 なんとも私よりはセンスのある名前を付けたようですね。


「由来をお聞きしてもよろしいでしょうか」


「今がしている魔法学園の入学試験の勉強の中で出てきた名前です。昔の偉人からつけさせて頂きました。長い付き合いになるかもしれませんので、あやかったのです」


「なるほど、その手がありましたか……」


 フォレもラニも、確かに大昔の偉人の名前です。ですが、魔物の名前に付けられるとは思ってもみませんでしたでしょうね。

 でも、目の前のラッシュバードのヒナたちが喜んでいますので、ひとまずはこれでよかったのでしょうかね。


 私たちが名づけを終えてほっとしていると、ノームたちがラッシュバードたちに近付いてきます。

 そして、ポンポンと二度ほど体を叩いたかと思うと、不思議な光がラッシュバードたちを包みました。


「な、なにが起きてますの?!」


「お姉様、まぶしいです」


 あまりのまぶしさに、私たちはラッシュバードたちを直視できません。なんとも不思議な現象です。

 しばらくしてぱあっと光が弾けますと、そこには一回り成長したラッシュバードたちがいました。……嘘でしょ?


『うん、これで契約成立だね。僕たちの祝福を与えたことで、この子たちは成長したよ。これで二人の手伝いもできるようになるよ』


 ノームたちはこんなことを言っていますが、急に体が大きくなったので、私たちはもちろん、ラッシュバードたちも困惑した様子です。

 でも、私たちを見るとゆっくりと近付いてきてその頭を押し付けてきます。その姿はなんとも可愛らしいものでした。


 生まれたばかりのラッシュバードですが、予想外に大きくなってしまいました。

 この世界に転生してきて十三年。まだまだ知らないことが多いですね。

 この分ですとこれから先も退屈せずに済みそうですが、ひとまずはアマリス様の入学試験に向けて頑張りませんとね。

 ですが、この日ばかりは少し大きくなったラッシュバードたちと戯れながら畑の作業をこなしたのでした。

 ええ、明日からまた頑張りますとも。

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