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ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします  作者: 未羊


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第26話 心機一転

 当然ですが、婚約者変更の件は私にも伝えられました。アマリス様から直接です。


「そんなわけで、ごねるお兄様を黙らせて認めさせてきましたわ。お姉様をあまり困らせるんじゃないときつく叱っておきましたから、いずれ諦めて下さると思いますわ」


 アマリス様はそんなことを仰っています。

 気が付けば、外の長雨はすっかり上がっており、空はきれいに晴れ渡っています。

 ちょうど婚約者変更が決まった日からのようですが、私は思わずアクエリアスを見ます。


『私じゃないわよ。そんな力はないわ。雨をやませられるとしたら、同じ水の精霊でもレイニーの連中よ』


「あら、水の精霊にも種類がいますのね」


『そうだよ。僕ら土の精霊にも種類はいるよ。同じ土属性でも岩ならブロックとかね』


「そうなのですね」


 意外な話を聞けましたね。

 精霊に種類がいることにも驚きましたが、無事に婚約者変更が成されたことにはもっと驚きました。さすがアマリス様、殿下に対して特効ですね。


「精霊の話はとりあえず置いておきまして、ルーチェには悪いことをしましたね。私が無事に学園に入れていれば、ここまでややこしいことにはなりませんでしたのに」


 改めて私は、自分のやらかしを悔いている。

 ところが、アマリス様が私の手を握りしめると、持ち上げて私の目をじっと見つめてきます。


「そんなことはありませんわ。自分のやりたいことを犠牲にしてまで、お兄様のお相手をする必要などございませんわ」


 必死に訴えてくるアマリス様の姿に、私は思わず何度も瞬きをしてしまいます。

 まさかここまで必死に訴えられてくるなんて思ってみませんでした。


「お姉様の作られる料理はおいしいですし……。そうですよ、お姉様が農園で育てたものを使って、おいしい料理を作ればいいのです。そうすれば、王家に嫁がなくとも貢献はできますし、お姉様の正当性を十分に示せます」


「ええ、まあ……。農園をするつもりではいるけれど、そうすると王家に料理人として呼ばれないでしょうか」


「いえ、私が止めてみせます。私がお姉様の自由を守ってみせますわ」


 キラキラと目を輝かせて、アマリス様が必死に訴えてらっしゃいます。この顔には、私もさすがに耐え切れません。


「わ、分かりました。と、とにかくアマリス様は勉強の再開ですね。ルーチェと一緒に学園に通って頂かないといけませんからね」


「ええ、もちろん頑張りますよ。ハンナ、あなたもお願いね」


「承知致しました、姫様」


 アマリス様はやる気に満ちています。

 ルーチェも本気ですし、これなら二人揃って魔法学園に入学してくれるでしょう。


「おーい、姫様を往復送り届けた俺のことは、誰も労ってくれないのかよ」


 私たちの姿を眺めながら、誰にも構ってもらえなかったギルバートが拗ねています。


「あの空間に割り込んではいけないわ、ギルバート。私たちは仕事しましょう」


「お、おいっ。イリス、どこへ連れていく気だ!」


 ギルバートはさっさとイリスに連れられてどこかへ行ってしまいました。空気を読めということでしょうが、あの二人もなかなかお似合いですよね。

 私がイリスとギルバートに気を取られていると、アマリス様がこちらを見てきます。


「お姉様、何を見てらしたのですか?」


「いえ、イリスたちが微笑ましいなと思いましてね」


「そうなのですね。仲の良いことはいいことだと思われます」


 私が質問に答えると、アマリス様も微笑みながらそう答えてくれます。

 それにしても、あの二人ずいぶんと仲良くなりましたよね。最初は淡々としていたような気がするのですが。


「ふふふっ、お姉様と生活しているのが楽しいですよ」


「そうでしょうかね。私が土いじりをしている姿は好ましくないと考えているかと思ったのですが」


「いえ、おそらくはノームと契約したことが転機になったと思います。ノームは土いじりの精霊ですから、ノームに好かれているのなら自然なことと考え直したのだと思います」


 私が首を傾げていると、アマリス様はにこやかな笑顔のまま、そのように話されています。

 なるほど、この頭の回転の差が、私が学園に入れなかった原因なのでしょうかね。いまいち理解ができませんね。


「分かったような分からなかったような……。とりあえず、婚約者の問題が解決したのならひと安心ですね。ならば、私が質のいい野菜を出荷して、公爵家の名誉を回復させるだけですね」


「頑張って下さい、お姉様。それと、勉強もみて下さいね」


「もちろんですよ、アマリス様。このまま学園に入れなかった令嬢の烙印を押されたままで終われますかっていうのです。畑も勉強も頑張りますよ」


「はい、お姉様」


 そんなこんなで、翌日からの勉強再開に向けて、私は気合いを入れ直しておきます。

 今日のところは、王都まで行って頑張られたアマリス様を労うために、私が腕を振るって料理を作らせてもらいます。

 もちろん、送り届けてくれたギルバートもしっかりと労いますよ。


 アマリス様とお父様たちのおかげで、私から婚約者という最大の枷が無くなりました。

 私はそのために頑張ってくれたみんなのために、農園という事業を必ず成功させてみせますからね。

 見ていて下さい。

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