10/11
振り返ることなく
……
「ここはどこ?」
気づいたら、私は何もない空間の中にいた。
「マグワイア」
突然懐かしい声が聞こえ、声の方に振り返ると
「……!!」
そこには、お父さんがいた。
「久しぶりだね。元気にしてた?」
「…パパ……パパッ!」
私は泣きながらお父さんに抱きついた
「すまんな、こんなに辛い思いさせて」
「ううん、私が悪いの。全部、乗り越えられなかったのも」
「マグ」
「何お父さん?」
私は顔を上げる
「どんなに遠く離れても、俺はマグの笑ってる姿を見ていたい」
「...!!」
お父さんは私の顔を見てニコりと笑いながら言った。
瞬きをすると、ひとりぼっちの家に戻っていた。
「...お父さん」
私は枕を強く握りしめる
そうか、今私がやっていることは
お父さんの気持ちをも裏切ろうとしてるんだ
私は....
リュックに勇気と荷物を入れて家を出る。
「お父さん、行ってきます」
夜明けの太陽が照りつける江ノ島を横目に、私は下北沢へと向かった。




