03.異世界で餓死するなんてまっぴら!?
平林が走り出し、私もそれに続く。
ガサガサと熊が追いかけてくる音が聞こえる。
本当にまずい。
「ヨッ」
意味のわからない掛け声をかけながら平林が倒れている木を飛ぶ。
「ハアハア」
かなり疲れる。
平らな地面ならまだしも、ここは山の中だ。
下りなので、滑り落ちないように私達は駆ける。
ようやく、熊の唸り声が聞こえなくなり、振り返る余裕ができた。
気づくと空は暗くなっていた。
「「熊は?」」
両者共、熊の事以外頭にない。
平林がため息をつく。
「はあ、まず今日起きたことをまとめよう。」
平林が地面に文字を書きながら、マシンガントークを始める。
「まず、俺達はグラウンドで見つけたカメラのシャッターを押すと、異世界に来ていた。まあ、俗に言う異世界転移ってやつだろう。そしたら謎のモンスターがいた。この時点で生じる大きな疑問は2つ。現実世界に戻る方法と、ここはなにか、という問題だ。ちょ、おい、寝るな!」
やばい、完全に寝ていた。
だが、まあ明日考えればいいかと思い、もう一度私は眠りについた。
目が覚めると、毒虫になってるわけでも、異世界転移しているわけでもなく、いつもの家だった。
「え?戻れたの?」
そうつぶやきながら、1階に降りる。
すると、あろうことか熊がいた。
例の巨大熊が。
「ぎゃあああああああああああああ」
冷や汗をかきながら目覚めると、昨日の山だった。
平林が冷ややかな目で私を見ている。
どうやらカオスな夢を見ていたらしい。
いっそのこと、今が夢であってほしい。
そんな私のことを無視し、平林が冷ややかな顔で近づいてくる。
「今からするべきことを考えたから聞いてくれ。まず、この山から降りて人と話したい。現実への戻り方を考えるのはそれからだ。でもその前に食料採取をするぞ!」
平林が一人で喋り倒した。
「あー、あのー、平林?一人で盛り上がってるところ、申し訳ないんだけど、食料なんてどこにあるの?」
純粋な疑問だ。
馬鹿な私には全くわからない。
平林が顔をしかめながらも説明し始めた。
「この山の中に大量の木の実があるだろ!?それをあつめて食べればいい。」
「えーーーー、うそん、これ食べんの?」
私は絶叫する。
確かに今、彼は木の実を握っている。
しかし、よく考えると私たちはご飯がないと餓死する。
私は決意した、食べるしかない。
「仕方ない、コイツラ食べながらとっとと現実戻るぞーーーー」
二人の空間にも飽きてきたし、何よりももう熊と出会いたくない。
山から降りたい。
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