表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/25

それも、ぜんぶ、私

 物心ついた頃には集中力がないと自覚できるようになっていた。とにかく、意識が散漫だ。料理しながら、シャンプーが切れていないか気になったり、映画を観ていたら、クレジットカードが不正利用されていないかハラハラしたり。脈略はない。


 そんな私が詐欺対策セミナーの講師とは。お年寄り向けの講座のつもりが、年齢層が幅広い。早めに檀上から会場を眺める。盲導犬を連れた女性がいる。意外と会場が埋まって来た。今日はうまくいきそうだ、根拠もなくそう思った瞬間、意識が乗っ取られたような気に。


「ペアになってください」と突然、思いもしないことを言った。意識が読まれている気がする。私の中に、そう、あの盲導犬を連れた女性がいる。彼女は頭の中にいた、小さな猫を抱いていた。


(この子、かわいいけど、お姉さんの心をいつも乱してイタズラばかりしてるみたい。連れて行こうか?)

(だめ、それは私だもの)

女性は微笑みながら猫を私に返してくれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ