国のツートップ
本格的にパーティが始まる。偉そうな人が代わる代わる壇上に上がり、退屈な話をするので、私は何度も欠伸を噛み殺した。最後にエンゲの爺さんが挨拶したところで、やっと歓談の時間になったのだけれど……。
「さぁ、スイさん。ここからが本番です。挨拶回りに行きましょう!」
「えっ、ここからご馳走食べるんじゃないの??」
「挨拶回りが終わったら、です」
「はぁーい……」
「他の人の前では、聖女らしくしてくださいね」
「分かっているよぉ」
「じゃあ、手は前で組む。背筋を伸ばして!」
「やや口角を上げる、でしょ? やってるよやってるよぉ」
「大変なのは分かりますけど、お願いしますね」
はぁ……。大変だなぁ。
成り行きで王子様とフォグ・スイーパになっちゃったけど、何だか思ってたのと違うんだよ。もっと、皆に甘やかされると思ってたけど、気を使ってばかりだし。まぁ、ベイルくんの方が大変なのは分かるんだけどね。
それから、怒涛の挨拶地獄が始まる。
「貴方様に星の巫女様の祝福があらんことを」
はい、一人目。
「貴方様に星の巫女様の祝福があらんことを」
はい、二人目。
「貴方様に星の巫女様の祝福があらんことを」
はい、三人目。
四人目、五人目、六人目!!
……いつになったら終わるのよ!!
いい加減に飽きるわ!
と、ぶち切れそうになったところで、少し気が楽な顔見知りへの挨拶となった。
「スイちゃーーーん! ドレス、最高! 超美人! 私の側室に入らん?」
「げぇ、将軍ったら酒臭い!」
私が鼻をつまむと、隣のベイルくんが慌て出す。
「ちょ、スイさん。将軍に失礼ですよ。あと、回りの目もあるので、言葉遣いも丁寧に!」
そう、ビーンズ将軍だ。
将軍は口うるさく私に注意するベイルくんに、いつもの圧が強い視線を向ける。
「ベイリール様。スイちゃんをイジメては困ります」
「い、イジメてはいません」
ひるむベイルくんに将軍はさらにプレッシャーを与える。
「私はいつでもスイちゃんを引き取る準備はできています。ベイリール様も、そのおつもりで。ねっ、スイちゃん!」
「ねっ、じゃないよ、髭将軍。ベイルくんは私を大切にしてくれてるし、喧嘩したとしても、将軍には世話にならないから」
「そんなぁ……。でもね、本当に困ったら私のところにおいで。毎日美味しいもの食べさせてあげるし、好きなもの買ってあげるからねぇ。超ゴージャスな生活が待ってるよん」
「くうぅぅぅ、どんな生活なんだろう」
次は王様へ挨拶。
「ベイル、もう十二歳! お父さんはね、本当に嬉しいよ! あれだけ小さかったのに、こんなに立派になって……今や国の希望を背負う王子とか言われてさぁ!!」
「父上、皆が見ているので泣くのはやめて……!!」
「今日くらい良いじゃないか! ほら、抱っこしよう! お鬚さんジョリジョリって子どものころ喜んでたアレ、やろう!」
「嫌です! こら、父上!!」
こっちも酒臭い……。
何かトランドスト王家のトップである二人がこの体たらくって、本当に大丈夫なのかな?
「はぁ……」
何だか疲れ切っているベイルくん。王子さまって、本当に大変なんだね。
「じゃあ、スイさん。次はエンゲ様です」
「げぇぇぇ。あの爺さん、何か苦手なんだよなぁ」
「これで最後だから。頑張りましょう」
「はぁーーーい」
これが終わればご馳走が待っている。頑張らないと……。
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