この流れはデートだろ!
私の合格お祝いパーティーも落ち着いて、解散ムードが漂った。
「じゃあ、私は屋敷に帰るね」
リリアちゃんが席を立つと、フレイルくんが後を追った。
「送っていくよ。兄さんも行くだろ?」
フレイルくんはベイルくんを見る。
が、ベイルくんはなぜか私を見て、次にレックスさんの方を見た。
「僕は……」
「ベイルくん、ちゃんと送ってあげないと」
何を躊躇っているんだ、ベイルくん。私の言葉にベイルくんは眉を寄せつつ、席を立った。
「うん、行こう。思ったより、遅くなったしね」
子ども三人が立ち去ると、私とレックスさんだけが残された。レックスさんも早々と自室に戻ると思っていただけに、不意を打たれたような状況だ。
「スイ様」
「は、はい」
その低い声で名前を呼ばないでくれ……!
いや、呼んでほしいけど!
「約束が、ありましたね」
「約束? えっと……あっ!」
そうだ、合格したら王都を案内してくれ、って約束したんだった。
覚えててくれたんだ!
「明日でもよろしいでしょうか? 突然で申し訳ないのですが、それ以降になると――」
「大丈夫! 明日で大丈夫です! 私なんていつも暇なので!」
思わず立ち上がり、身を乗り出す私に、レックスさんが目を丸くする。それに気付いたが私は顔を赤らめてから、腰を下ろした。
「す、すみません。う、嬉しくて」
「嬉しくて?」
「えっと……王都を回れるのが、嬉しいんです」
誤魔化す私に、レックスさんは優しい笑顔を見せてくれる。
「それは良かった。スイ様はこの一ヶ月半、ほんとうに頑張ってくれたので、少しでも恩返しをしたいと考えています」
「わ、私は別に……自分のやりたいことだから、頑張っただけで」
「いえ、そうだとしても、私たちにとっては救いになっているのです。どうか、これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ……!!」
レックスさんは頷く。
「では、城門の前で待ち合わせでよろしいでしょうか? ベイル様には、こちらから声をかけておきますので安心してください」
「……へっ?」
「どうしました?」
ベイルくんも一緒、なの?
「ああ、ベイル様だけではなく、フレイル様とリリア様にも声をかけるつもりです。賑やかな方がいいでしょう? あ、解散する前に言うべきでしたね。私としたことが……」
……そこじゃねぇよ!!
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