暑苦しいほどの情熱
「ジャンプ! 行けるから、ジャンプして!」
午後、私は運動場でアーロンさんの気合が入った叫びに晒されている。
「で、でも……怖いです!」
「根性あれば大丈夫! さぁ、ジャンプ!」
これが何に役立つか分からないけど、私は足場から足場へ飛び移る訓練に挑んでいた。ただ、絶対に私のジャンプ力じゃあ飛び移れない距離なのに、
アーロンさんは「根性があれば大丈夫」の一点張りで、やらないと終わらない空気に追い詰められているのだった。
「根性! さぁ!」
「うっ、ううう……うわあぁぁぁーー!!」
私はやけくそで飛び移ろうとする。が、やはり私のジャンプ力ではぜんぜん届かず……。私は重力をしっかりと実感したのち、巨大クッションの上に落下するのだった。
「いったぁ……」
クッションの上とは言え、お尻が痛い。もう十回チャレンジしているけれど、全部ダメだったし、そろそろお尻が真っ二つになっちゃう気がするんだけど……。
マジでアーロンのやつ、ただの筋肉馬鹿だろ!
根性あれば何でも乗り切れるとか言いやがって!
苛立っていると、ボフンッと音がしてアーロンさんが足場から飛び降りてきた。あんな高いところからジャンプしたのに、見事に着地して白い歯を輝かせている。
「ウエェェェーーーイ! 飛んだねぇ。大丈夫だった?」
「は、はい。ちょっと痛いけど、大丈夫です」
何が「ウエェェェーーーイ」だよ。どういう意味だよ。
不満がマックスに達しようとしていたが、ふとアーロンさんを見てみると、彼はなぜか悲し気に目を細めた。
「もしかして……俺、無理させちゃった?」
アーロンさんはひょいっと私を持ち上げる。お姫様抱っこってやつだ……。
しかも、顔が近い。って言うか、何でそんなに見つめてくるの??
「……スイちゃん」
ちゃん?
「は、はい」
「初めて会った時から思っていたけど……可愛いね。俺、タイプかも」
きゅ、急に……??
「付き合っている男、いるの? 気になっている男は? 顔赤くなっちゃって、本当に可愛い」
何この人!
さっきとキャラ違くない??
しかも、これって情熱的なアプローチってやつ?
それとも、これいくらいは都会だと当たり前なの??
「やべぇ。俺、一目惚れなんて初めてかも」
「そ、そんな」
私に一目惚れ? 本当に?
ウソでしょ、心臓がドキドキする。
こんなに強い力で抱きしめられるの、初めてだし。反応に困っていると、アーロンさんが真剣な顔で見つめていることに気付く。
「スイちゃんは、俺のこと……どう思う?」
「どうって、言われても……難しい、です」
「じゃあ、好きか嫌いのどちらかで答えるとしたら? 二択だけ。それ以外はなしだよ」
どういうこと??
この人、私に好きって言わせようとしているよね?
なんでそこまでするの?
そんなに私のこと……好きなの?
答えに困る私を見つめるアーロンさんは、どこか切なそうな顔になる。
「黙られちゃうと悲しいよ。お願い、どっちなのか教えて」
「そ、それは……」
どうしよう、好きって言わないと……アーロンさんのこと、悲しませちゃう、かも。
「す、す……」
じっと見つめてくるアーロンさん。い、言うから……そんな目で見つめないで!
「す――」
「スイさーーーん! どこーーー?」
どこからか、ベイルくんの声が。アーロンさんは動揺した表情を見せながら、私を下ろす。
「べ、ベイリール様が見学にきたようです。練習の続きを始めましょう」
こんなに動揺するって……
この人、マジで私にマジなのかな??
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