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そんなことすっかり忘れてた!

「ここがスイさんの部屋です」


そう言ってベイルくんが高級そうな木製の扉を開くと、とんでもなく広い空間が……。


何て言うか、ララバイ村で一番大きい建物だった役場より広くない?


「私の部屋、って……ここに住むの?」


「あ、嫌でしたか?」


「嫌じゃないけど、現実味がないというか……」


「すぐに慣れると思います。取り敢えず中にどうぞ」


「は、はい」


部屋の中には大きいベッドにソファ、無駄に長いテーブルなどなど……。


これ、私一人で使うの?

使用人らしきメイド服を着た女性たちが、私の荷物を運び込むと、すぐにお茶を用意してくれた。


そして、すぐに部屋を出て行ってしまったので、そもそも彼女らは存在しなかったのでは?と思うほどの手際の良さだった。


「少し休んでいてください。僕は父上に挨拶しなければならないので」


「お父さんに? 私も挨拶した方がいいんじゃないの?」


「……いえ、まだ大丈夫です」


「でも、これからお世話になるんだよね? 感じ悪くないかな?」


「大丈夫です。本当に大丈夫なので、心配しないでください」


「??」


「じゃあ、行ってきます。おやつもあるので、大人しくしていてくださいね」


そう言い残して、ベイルくんは逃げるように部屋を出て行ってしまった。なんかお父さんと私を会わせること、避けているような気がしたけど……。


って言うか、おやつもあるからって、私は子どもじゃないんだぞ、ベイルくん。


取り敢えずは言われた通り、おやつを食べてベイルくんを待っていたけど、なかなか彼は帰ってこなかった。……暇だ。


「そうだ、都会の景色が見えるかも!」


大きい窓の向こうは、これまた広いベランダが。


そして、そこから見える景色はどこまでも続くような庭。ララバイ村の役場にも、こういうお庭があって、庭師さんがいつも綺麗にしているのを見て大変そうだと思っていたけど……これだけ広かったら誰が手入れをしているんだ?


ふと、視線を移すとそこには、庭のベンチに座る青年の姿が。たぶん、歳は私と同じくらい。いや、少し上かな。


「あの人もベイルくんの親戚の一人かな?」


だとしたら顔を見てみたい、と目を凝らしたが、バサバサバサッと庭の木から鳥たちが一斉に飛び立って、そちらに視線を奪われてしまった。


もう一度、ベンチの方に視線を戻したが誰もいない。


「おかしいな……」


どこに行ったのだろう、と視線を巡らせると、それほどの離れていない場所に、杖を付いたお爺さんを見つけるが、青年の姿は見当たらなかった。


「失礼します」


しばらくすると、ベイルくんではなくレックスさんがやってきた。


何だか深刻な顔をしている。いや、心なしか顔が青い。


どうしたのだろう。具合悪いのかな?


「スイ様、私は貴方のことを疑いたくはないのですが、念のため聞かせてください」


「な、なんでしょう?」


「非常に言いにくいのですが……スイ様は、聖女の国家資格をお持ちでしょうか?」


……やっべぇぇぇーーー!

資格の(そんな)こと、すっかり忘れてたよーーー!

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