ドキドキさせるんじゃない!
村に戻ると、村長はわんわんと泣きながら頭を下げた。
「ありがとうございます! ありがとうございます!!」
そして、村を上げて感謝の意を示したい、ということで役場で宴を開いてくれるそうだ。やっと一息付けるんだ、と思うと少しだけ眩暈が。
「聖女様。顔色が悪いようですが……?」
「ああ、うん。そういえば、昨日は一睡もせずに荒野をさ迷って、ベイルくんに会ってからもバタバタしてたし、血もたくさん流したから……」
そこまで話すと体が突然重たくなった。もう自分では支えきれないくらいに。そんな私をベイルくんが抱き留める。
「聖女様……。お休みになった方がいいでしょう」
そう言ってベイルくんは私をひょいと持ち上げた。本日二度目のお姫様抱っこだ。
「ちょ、どこに……?」
「ベッドで休んだ方がいい。村長に用意してもらいましょう。もちろん、私も付き添います」
「待って! そんな……私は宴会に行かないと! ご馳走、食べるんだから!」
「休む方が先です」
抵抗する私をベイルくんは運んで行ってしまう。
ちょっと、本当にどうするつもりなの……?
分からないけれど、ベイルくんの体は温かくて、大きい何かに守られているようで、変な安心感に頭もぼんやりして行く。
私は抵抗を諦め、その身を委ねようとしたが……。
あれ?
視界が低くなっている……?
「ん? なんか沈んでない?」
「聖女様、まずいです」
「どうしたの?」
「時間がきました」
「へ?」
すると、急激に私の体が沈み、ベイルくんも転倒してしまう。
「なに? なになに??」
「スイさん、痛いよう……」
とお尻の下で子供の声が。
「あれ、ベイルくん??」
そこには子供の姿のベイルくんが。そして、そんな彼を見て思い出す。私はこんなちびっ子に変な気持ちになって……。しかも、大金を出して買った服もズタズタじゃん!
「もう、君ってやつは!!」
自分でも分からない、妙な悔しさに私は拳を振り上げると、ベイルくんは半べその状態で叫ぶのだった。
「ご、ごめんさいーーー??」
そんな私たちを見つめる黒い影。
このときは気のせいだと思っていたけど、それが私の人生を、さらに大きく変えることになるのだった。
二人のポンコツ編はここで終わりとなります。
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