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広がっていく関係

食事を食べ終え部屋でゆっくりしていたら、二人の男が部屋に入ってきた。修はその二人を見たことがあった。

「お、元気になったみたいだな」

「最初に見た時はびっくりしたよね!」

そう、この二人は修が森から出てきてこの街に来た時、門の警護をしていた二人であった。

「俺を助けてくれた人たちだったな、ありがとう」

「覚えていてくれて光栄だな。俺はファグルってんだ、よろしくな」

「オレはカルゼ!よろしくね!」

修は二人からあふれ出ているオーラを確認するために力を探ってみた。

(・・・この二人、結構強いな。首長と同じか一段階下あたりだな・・・)

探り終えた修は二人に向き合って自己紹介をした。

「俺は修っていうんだ。いきなりで悪いんだけど俺にこの街を案内してくれないか?」

「お、いいねぇ。ちょうど俺たちも修にこの街を案内したくてここに来たんだ」

「そうなのか、なら頼んでいいか?」

「もちろん!じゃあ早速準備して行こう!」

ワクワクという感じではしゃいでいるカルゼを見て、修はなぜか年上には見えないな、と思ってしまった。

「こいつ子供っぽいよな。小さい頃からこんなんだからあまり気にしなくていいぞ」

「あ、あぁ・・・」

困惑していた様子の修を察してかファグルがそう伝えてカルゼを諫めた。

「子供っぽいってなんだよー!オレはいつまでも子供心を忘れていないだけだ!」

「それが子供っぽいって言ってんだよ」

なぜか言い合いが発生してしまいそうな雰囲気を察したが、修にはどうする事も出来ずにただその光景を途中おかしくなって笑いそうになりながらじっと見ていた。

「おっと、すまないな。下で待っているからゆっくり準備してきてくれ」

「わかった、少し待っていてほしい」

その言葉を聞いてファグルは、未だ騒がしくしているカルゼを引っ張って部屋を出て行った。それを確認した後部屋にあるクローゼットを開きちょうどいい服を探して着てみた。このクローゼットの中の服はあらかじめミリューが修のために準備していたものだった。その中から好きなスタイルの服を着てよいと言われていたのでその通りにしたのだった。身なりを整え部屋を出て下に向かい二人と合流した。

「待たせてすまない。いつでも出発できるぞ」

「んじゃ行くか、まず最初にこの世界の知識をつけるのに役に立つだろう所に行くか」

どうやら修が準部をしている間に二人の言い合いは終わっているようだった。

「そうだファグル、修の好きなもの聞くんじゃなかったの?」

「・・・忘れていた、先に市場にいこうか」

カルゼが得意げに鼻を鳴らしていた。それを気にかけずに治療院を出ようとするファグルの後を修はついていく。




「え、修17歳!?大人っぽいな!?」

市場に向かう途中歩きながらいろいろ話をしていると年齢の話になり、修の年齢を聞いたカルゼが驚いていた。

「そんなに驚く事か?普通だと思ったんだけど・・・」

「カルゼからしてみればもう少し年上だと思ったんだろうな、俺たちが20半ばだから22,3ぐらいだと思っていたっぽいな」

言われてみれば不登校になる前、学校ではよく落ち着いているとも言われていた。成績もよくトップクラスにも入っていたし、と修は思った。

「恐らく修は精神年齢が実年齢より高いんだな、だから落ち着いていられるし知識の吸収も早いと予想する!」

「たぶんそうだな。滅多な事では慌てたりはしなかったしな」

「さすがだ、頼もしい限りだな」

ふと一つの疑問が修の頭をよぎった。

「そういえばしばらく俺と一緒にいるけど、仕事はしなくていいのか?」

「ん?仕事なら現在進行形でしてるぜ。俺たち警備隊の仕事は多岐に渡っていて、今日の仕事は街の巡回警備だ」

驚いた、何もしていないように見えて実は周囲を警戒していて街の様子を伺っていたのだった。

「すごいな、という事は俺と雑談をしながらも周囲の様子をしっかり把握していたという事なんだな」

「まぁそういうことになるな。でも周囲探査に関してはああ見えてカルゼの方が優秀だ。現に今いないだろ?」

ファグルに言われ周囲を見ると確かにカルゼがいない事に気が付いた。

「こっそり抜け出して向こうの路地裏に行ったみたいだな、何かあったんだろうが俺のもとに何も連絡がないという事は一人で対処できる範囲だったんだろう。このまま市場まで行くか、もうすぐ着くぞ」

突然消えたカルゼに困惑しながらも、少しずつ賑やかになっていく道のりをファグルと二人で歩いた。


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