修からの提案
『(さて、ここからボスの故郷までは遠い道のりになる上に、道中はとても危険だと聞いた。そこで俺から提案なんだが)』
前を歩くファグルとカルゼに修の声が届いた。
「どんな方法だ?」
後ろを振り返って修を見る二人を確認した修は、とある本を腰から取り出した。
「それって図書館にあったやつじゃない!?勝手に持ち出したの!?」
「図書館にあったのは事実だけど勝手に持ち出してはないよ。しっかり手続きして借りているから問題はないと思うんだけど・・・」
驚くカルゼを見て修は丁寧に説明してあげた。
「で、修の提案ってのはどんな方法なんだ?」
ファグルが修の提案を早く聞きたそうに急かしている声が聞こえて、修はにやりと不敵な笑みを浮かべた。
『(この地図をボスに見てほしいんだけど、故郷がこの地図の範囲内にあればテレポート使っていけると思うんだ。まだ試したことがないから成功率はわからないけど)』
そう言って広げたイーアス国の地図をボスは凝視して確認していた。
『うむ、確認したらギリギリ入っているようだな。しかしこんな遠くにテレポート出来るものなのか・・・』
どうやらボスには一抹の不安が残っている様で三人の顔色を窺っていた。
「まぁ、やらないで時間を浪費するよりはやってミスって後悔した方が俺的には賛成だ」
「確かに。全然俺たちは修の能力を信じるよ」
『(じゃあ一回やってみっか)』
そう言って修は三人分入れる魔法陣を地面に書き出した。
魔法陣を書き始めて30分、やっと完成したのだろう、修が地面に尻もちを着いた。
「やっと完成か、お疲れさん」
「魔法陣ってこう書くんだ、初めて見たかも」
労を労うファグルと興味津々に魔法陣を覗き込むカルゼが修に近付いてきた。
『(ちょっと複雑だったから思ったより時間かかってしまって申し訳ない)』
「全然問題ないよ!」
「準備が出来てたら一回行ってみるのもありだな。どうする?」
ワクワクしつつもしっかり統率を取ろうとするファグルに、修は申し訳なさそうに口を開いた。
『(すまない、魔法陣は完成したんだが写しが向こうの座標に到着するまで時間がかかるみたいだ。明日の昼くらいに開通出来る仕組みになっているっぽい)』
しゃがんで魔法陣に手を添えながら伝える修は、魔力を回復させつつ魔法陣に微量の電気を送っていた。
「それって修には写しが座標に到着したってのはわかるの?」
『(もちろん)』
「じゃあ大丈夫だな。とりあえず今日の所は行くのは中止だ。各自明日の準備を整えよう」
若干肩を落としながらも統率を取るファグルに、ワクワクが隠しきれていないカルゼを見て、いたたまれない気持ちになりながらも修も戻ろうと街の方角へ向かって行った。




