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1-3 にゃづけ

 早速、猫トイレを作る。


 段ボールをビニール袋で覆って、猫砂を入れた。

 これでトイレは完成。

 簡易だが、今はこれで十分だろう。


 俺は、白猫を抱え、猫砂のところまで連れてくる。

 大人しく抱えられる白猫。

 やはり野良であるためか、その身体はちょっと臭う。


「ここが、お前のトイ……ハッ、ハッ、ハクション!!!」


 とうとう、来てしまったか。

 俺の猫アレルギーが……


 花粉症でもある俺は、春のマスクの残りを持っている。

 あと、花粉防御眼鏡も。


 俺は、それらを装備する。


 白猫は、俺を見て一瞬びっくりしたが、すぐに俺だと認識したようだ。


 そして、今日やる最後で最大の難関を行う。

 この白猫にシャワーを浴びさせるのだ。


 なんの疑問もなく抱えられた白猫は、ユニットバスに連れて行かれた。


 俺はTシャツとボクサーパンツ姿になる。

 マスクとメガネもあり、鏡に映ったその姿は不審者そのものだ。


 バスタブの中で、


「ニャー」


 と俺を見上げて、少し怒った表情を見せる白猫。


 しかし、俺には秘密兵器がある。

 猛獣さえも手なづける『チュルチュル』だ。

 俺はチュルチュルを舐めさせながら、白い身体をゴシゴシする。


 美味しそうに、目を細め、ペロペロとチュルチュルを堪能する白猫。

 いい御身分だな。

 俺はしもべの気分だ。


 最後はタオルで拭いて、ドライヤーで乾かす。

 はい、終わり!


 部屋着に着替えた俺は、座椅子に座り、ひと休みする。


 すると、俺の膝の上に堂々と乗り、香箱座りする白猫。


 俺たちってこういう関係だっけ。

 俺ってコイツに呪いをかけられてるんじゃなかったっけ?

 まあ、存分に甘やかせとは言ってたが。


 しばらくすると、喉が渇いてきた。

 冷蔵庫まで行くのが恨めしい。

 こんな時、お茶を出すドラゴンか狐がいればなあ。


 俺は白猫の両脇に手を入れて、抱え、俺の方を向かせる。

 脚は俺の膝についているが、その胴体はビヨーンと伸びた格好になった。


「白猫さんよお、夢で出てきたネコミミ童女に変幻してくれにゃいの? そして、何処かのドラゴンか狐のように料理とか作ってくれにゃいの?」


 体勢が嫌なのか、牙を出し、シャーッと怒った表情を見せる。


 そういや、名前を知らない。

 ネコミミ童女にならないのなら、俺が決めてやろう。


 こいつ、メスなんだろうか、オスなんだろうか?


「失礼」


 俺は少し持ち上げ股を見た。

 ついていない。

 童女だから当然か。


 メスかあ。

 名前を考えるのは苦手なんだよなあ。

 呼びやすい名前がいいなあ。


 ふと、今日の日付が気になった。


 今日は10月7日。


 そうだ! 名前は『ナナ』だ!


「お前のにゃまえは『ニャニャ』だ。呪いを解くまで本名で呼んであげにゃいからにゃ」


 不思議そうな目で俺をみるナナ。


 俺は立ち上がり、冷蔵庫に入っていたペットボトルのお茶を飲む。


 そして、いつもの如く、TVゲームの準備をする。


 日曜の夜は、格闘系のゲームをして過ごす。

 本音を言うと、特にゲームは好きではない。

 しかし、ストレス発散のためにやっている。


 コンピューター相手の格闘系は頭を使わなくて済む。

 俺は迫る月曜日の仕事のために、ストレスを出来るだけ下げるのであった。

 はたから見れば、死んだ目をして惰性でゲームしているように見えるだろう。


 準備ができた。


 眩しいのは疲れるので部屋の電気を消す。


 画面の光だけが俺を照らす。


 変わり映えのしない週末。



 俺はゲームを始めた……



 しばらくすると、ナナは俺の膝の上に乗ってきた。


 俺は構わずゲームを続ける。


 ナナは時々俺にちょっかいをかけてきたが、相手をする気がないとわかると諦めて、大人しくなった。


 日曜の夜は眠れない。


 当然だ。


 16時まで眠っていたんだから。



 …………そして、深夜3時過ぎ。


 ようやく眠くなってきた俺は歯磨きをしてベッドに入った。




**




「御主、起きろーー!! 起っ、きっ、ろっ、にゃーあーーーーー!!!!!」



 ナナの声が思いっ切り頭の中に響く。


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