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幻蒼物語 ~ファンタズマブル~  作者: K. Soma
第一部 無限の断絶
16/83

結晶少女 15

 ()()()にとって、目の前の光景が偶然とは到底思えなかった。

 

 なるほど。道理で応答がないはずだ。完膚なきまでに打ちのめされている。

 

 肉人形。その者の眼前に残骸を晒していたのはあの肉人形だった。

 

 黒い肉は溶け、液状と化している。奇妙なことに、溶けた肉の下に骨格はなく、ただ純粋に肉だけだった。

 

 いや――ひとつだけ違う。肉以外の物があった。

 

 あの晶球……霊石砲から放たれた蒼気により粉々となった、赤と橙が絡みつく晶球。その破片。溶けた肉で靴が汚れるのも気にせず、その者は一番大きい欠片を手に取る。

 

 それを額にかざし目を閉じた。

 

 瞬間、視界が切り替わる。肉人形がその者に()()()、この "忘れられた森" へと放たれてから今日に至るまでの記憶。

 

 雑音(ノイズ)が酷い。あまりにも断片的だ。これでは何が起きたか把握するのは難しい。

 

 己の力が未熟な証拠だ。実に気に喰わないことだが……まだまだ()()との間には差がある。それは事実だ。だからこそ……自分は……。

 

 突如。その者が(わら)い出した。あの肉人形のそれにどこか似た、薄気味の悪い嗤い。見ようによっては苦しそうに……狂おしそうに、時々ヒュウヒュウと息を吸う。

 

 その者の目には、蒼き光の粒と化した結晶少女とそれを取り込む<白鋼>(しらはがね)が映っていた。

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