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外伝 日記

2XXX年7月19日


今日から日記をつけようと思う

他の人と違いスキルがあったあの日から1週間が経ったが、今だに【歩ミヲ止メヌ者】は「体を休めよ」しか言わない。

息子の統万は未だ意識不明



2XXX年7月20日


今朝【歩ミヲ止メヌ者】に変化があった


【助言:現在地から東北に200キロメートル先にあるダンジョンに向かえ(1/3)】


これが“一回目”だと思った。

三つの助言をこなせば妻のもとへ辿り着ける

そう信じていた


荷物を最小限にまとめ、悠介に統万を預けすぐに歩き始めた。

すまない統万、目を覚ます前に結衣を連れて帰ってくる。

だが二百キロという距離は想像より遥かに遠く、

一日歩き続けても地図上ではほんの少ししか進まなかった。


それでも進むことしかできなかった。



2XXX年7月24日

助言は昨日とまったく同じ内容だった。


【助言:現在地から東北に二百キロメートル先のダンジョンに向かえ(2/3)】


数字だけが一つ進んでいる。

文言が変わらないのに数字だけが進む不気味さが、胸に張りついた。


昨日の距離を思い返す。

二日で到達するなど不可能だ。


……これは本当に“回数”なのか?


ただ歩くしかなかった。


2XXX年7月22日

【助言:現在地から東北に二百キロメートル先のダンジョンに向かえ(3/3)】


“3/3”

数字だけが変わった。


三日以内に到達しろという意味なのか?

あるいは、三日以内に何かを終えていなければならなかったのか?


考えても答えはどこにもなかった。

それでも歩く。

進まなければ妻にも息子にも、会えない。



2XXX年7月23日

三日間歩き続け、ようやく辿り着き、死んだように眠っていた

足は限界に近い。

だが助言は、初めて“内容そのもの”が変わった。


【助言:ダンジョンに潜り、五回層へ行け】


文言が変わった瞬間、ようやく理解した。


 (1/3)(2/3)(3/3)は、回数じゃなかった。

 三日という“達成期間”だったのだ。


三つの助言をクリアすれば妻に会えると思っていた希望は、

静かに崩れ落ちた。


これは俺の都合では進まない。

俺の願いと関係なく、助言は淡々と進む。


ただひとつ確かなことは、

道はまだ続いている ということだけだ。







2XXX年10月5日


どうやら俺以外にもスキル発現者達がいて政府の元に集ったみたいだ。世界規模で約30人程度、ただ、集った人数が30人程度であって無論政府の元についてない奴もいる、アメリカではギャングを率いて街を破壊しているスキル保有者もいるみたいだ。そしてそれだけ集まれば情報も集まるというもの、スキル保持者には共通点があるらしい。

曰く、それは願い


 全てを癒したいという思い(願い)


 全てを守りたいという思い(願い)


 全てを手に入れたいという思い(願い)


 全てを滅ぼしたいという思い(願い)


希望でも欲望でも絶望でも、極限まで達した者がスキルを保有しているという



……俺は、どれに当たるのだろうか。


癒したいわけでも、守りたいわけでも、手に入れたいわけでもない。

ただ──失ったものを、戻したいだけだ。







2XXX年7月12日

あの日から一年がたった

いまだに【歩ミヲ止メヌ者】はダンジョンを指差し打破を指示している








2XXX年11月21日

ダンジョンに潜った










2XXX年3月8日

大型ダンジョンに潜った100層もあった、しかし指示は止まらなかった









2XXX年9月5日

俺は何故こんなにも戦っているんだ









2XXX年1月3日

亜人と言われる種族に会った。ダンジョンがあった世界から強制的にこの世界に放り込まれたらしい、世間は亜人こそ黒幕と言っているが、とてもそんな風には見えない





2XXX年1月4日

亜人は敵だ

俺の探索道具盗みやがった

死ね










2XXX7月13日


スキルを授かった日。

そして妻が死んだ日から、ちょうど三年が経った。


その早朝、【歩ミヲ止メヌ者】が助言を告げた。


【助言:北東へ3000メートル進め。

    ダンジョンに潜り、隠しダンジョンを見つけ

    神と相対し願いを述べよ】


内容はいつもより長く、

まるで追い立てられるような響きを持っていた。


三年という節目。

それが意味するものは分からない。

だがスキルの声は、明らかに焦っているように聞こえた。


……だが。


今日は、結衣の命日だ。

三年前、あの日、俺の世界が壊れた日だ。


俺は助言に逆らった。

北東へは向かわず、

ただひたすら、妻の墓標へと足を向けた。


墓参りをして、

花を置き、

何も言わず、一日をそこで過ごした。


助言に逆らったらどうなるのかなど、

その時は少しも考えていなかった。


ただ──あの日の場所で、

結衣と向き合わなければ前に進めなかった。


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