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同志スターリンは美少女です!?  作者: 虎の狐
大戦
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18話 日米開戦!




「········そうか。遂に日本とアメリカが開戦したか。」


クレムリン宮殿の執務室でエジョフからの報告を聞いて確認するようにそう告げる。


「はい。12月8日を以てして開戦したようです。開戦直後からの急報ですが、なんと日本軍がハワイに強襲上陸を行いそのまま占領しました。それにより真珠湾に停泊していた艦艇の殆どが日本軍により鹵獲ないし撃沈されたようです。これにはさしものアメリカも予想外のようでしたね。勿論私も驚きましたが。」


と、続きを聞くと全く私も想像もしてないことが起こっていた。


「待て待て!日本がハワイを占領!?本当か!?」


「え、ええ、紛れもなく事実です。他にも日本はイギリス領インド、イギリス領マラヤ、オランダ領インドネシアにも上陸作戦を敢行しているようで、諜報部からの報告ではどれも概ね成功しているようです。」


はは、ははは。何なんだよそれは·······史実以上の大戦果ではないか!!

大体!ハワイ占領とか誰が考えたんだよ!!


「エジョフ。その、ハワイ占領を考案した人物は分かっているのか?」


「はい。ハワイ占領を計画したのは日本の名将と名高い山本五十六聯合艦隊司令長官と報告がありました。」


やはり、か。史実でもその計画を立てていたようだが······まさか本当に成功してしまうとは。多分我が国の支援のせいだろうな。戦車とか資源とか色々送ってたし。


「ああ、彼か。まあ彼ならば計画してもおかしくないな。それで、今度はこちらの話になるが。防衛ラインは維持できているか?」


「はい。そちらの方は問題はありません。前線からの報告によるとドイツ軍の突撃により度々損耗しているものの備蓄資材により十分な修理が出来ているとのことです。工兵が良く役立っているようですね。」


「そうだな。この時のために育成したようなものだ。それで、反抗の見込みは?」


「はい。反抗作戦に関してはトゥハチェフスキー元帥殿を始めとして立案してもらっています。開戦からこれまでドイツ軍は突撃を繰り返しておりますが我が国の強固な要塞線を前に突破が出来ないようですね。試算ですと半年もこれを繰り返せば反抗も十分可能とのことですが、まさか半年もの間ドイツ軍が突撃を繰り返す訳もないと思うのであまり当てにはできませんね。現時点で反抗を開始しても勝算は十分にありますがそうしてしまうとこちらの損害も拡大してしまいます。」


「そうか。そうだな。この戦争は防衛戦争だ。よってドイツ軍が完全に疲弊するまでこちらは防衛に徹する。これはイギリス政府、チャーチルからの要請だがな、こちらに攻勢に出てほしいらしい。まあ勿論しないが。彼等も彼等で相当苦戦しているようだ。確かにドイツはイギリスには上陸出来ないが東南アジアにおいては日本軍により完全に制海権と制空権が握られている。それにより本土に運ぶ物資と資源がままならないのだろう。更には日本はインドにも侵攻開始している。そこを奪われればイギリスの生命線が絶たれたも同義だからな。彼等も日本との講話を模索するだろう。まさか彼等も日本があそこまで強いとは思わなかっただろうしな。アメリカにおいてもそうだ。ハワイを占領されたと言うことは日本が西海岸を射程に捉えたと言うことだ。制海権が一時的にとは言え日本に渡っている今いつ上陸されてもおかしくない状況になっている。今頃政府と国民はパニックだろう。」


「はあ。しかし、いくら日本軍が精強とは言え相手はあのアメリカですよ?流石に·······」


ふふ、それは分からんよ。日本は時に奇跡を起こす。ハワイを占領した今、新たなる作戦が計画されていることだろう。







■■■■





大日本帝国占領下ホノルル


「鹵獲したアメリカ艦艇は既にドックに入渠。修理及び改装が開始されています。戦力化の見込みはおよそ半年後になります。」


「報告ご苦労。」


そう部下を労うのは今回ハワイ占領を計画した山本五十六海軍大将だった。


山本五十六は聯合艦隊司令長官として艦隊指揮を執りその後補給のため真珠湾に入港した。


アメリカ軍は日本軍の強襲上陸に対して後手後手に回り兵器や物資を軍艦に載せて離脱するのもままならず、一部の足が早い駆逐艦数隻が逃げ仰せたのみでそれ以外は鹵獲ないし撃沈されている。特に停泊していた戦艦八隻はそのままそっくり日本の戦力となり、旧式とは言え戦艦を無傷で手にいれた日本軍。主に海軍は勢い付いていた。これにより相当数の戦力が時間がかかるとは言え加わり、一方アメリカは大打撃を被ったと言える。いくら膨大な工業力と資源を持とうとも主力艦の建造には年単位で掛かるものだし、今回に限り日本軍は航空機を殆ど使わなかったので未だ世界は航空主兵論ではない。まあ、ソ連を除くが。


このアメリカの大敗に世界は仰天すると共に連合はいよいよ講話の道を模索し出すことになる。


当事者のアメリカは無理やり日本を戦争に引きずり込んだ挙げ句にこの様なので非常に議会は紛糾していた。民主党は共和党から散々叩かれており大統領のルーズベルトも支持率を大きく下げており次の大統領選挙が危ぶまれているが完全な自業自得と言えただろう。

他にも秘匿していた筈の『ハルノート』も何故か国民に知れ渡っており民主党自体の支持率の低下を招いていた。


国外に漏れるのも時間の問題と言えるだろう。そもそもこの『ハルノート』の内容流出にはソビエト連邦のNKVDが大いに関わっている。それもスターリンの指示でその文書のコピーが盗まれとある新聞社を通して漏れだしたのだ。元日本人であるスターリンが如何にもとりそうな行動だった。

ともあれこれによりアメリカ国民の大半もハワイ陥落を受けて講話派に回っていて連日ホワイトハウス前にデモの人だかりができる有り様だった。


このような状況なので民主国家たるアメリカでは志願する若者も減りつつある傾向でやはり講話の声が大きい。日本の外務省はそれに付け込みスイスを窓口に連合国との講話を模索している。早くも補給路を分断されたオーストラリアとニュージーランドは日本との停戦も間近だろうと読んでいる。

太平洋戦争開始からたったの数ヶ月の出来事なのだがその短い期間でここまで進撃した日本軍は世界を驚嘆させた。

ただしそこまで強行軍をした日本軍も無傷ではなく、海軍こそ海戦が殆ど無かったので撃沈艦こそないがこれからアメリカ海軍の潜水艦を警戒しなければならない。何故ならば現在、日本の最前線はハワイでありそこまで物資を補給するために船団護衛の任務がより重大なものになったからだ。最悪ハワイが孤立してしまう。


一方のイギリス軍は東南アジアで連戦連敗を重ね、更にはインドもこの勢いだと失陥してしまう。既に陸軍では何人かの将官が更迭されている。海軍はイギリス東洋艦隊が悉く練度の差で沈められていて戦果を中々挙げることが出来なかった。

主に帝国陸軍が苦しんだのは東南アジア及びインドのインフラの悪さだ。奥地に行けば行くほど悪くなる道。熱帯雨林ではまともな道さえ無かった。しかもそこには危険な毒性生物も多数生息しているため医薬品の補給は必須であり、それは本土から運ぶしかないので発熱するものが増える一方だった。それでも持ち前の高い練度でインフラの悪いインドネシア、マレーシアを攻略し、全土占領も間近だった。インドネシアとマレーシアを占領したことによりシンガポール、パレンバンなどの重要な資源地帯を抑えこれが安全に輸送されれば日本は完全に後顧の憂いを無くすことが出来た。そもそも鉄鉱石は中国から、石油はソ連から輸入が継続しているので資源はゴムや希少金属のアルミニウムやクロム、タングステンを確保できれば上々だった。ゴムに関してはインドネシアから大量に産出するので問題はなくなった。タングステンも中国から産出するし、ヴィシーフランスから割譲させた仏印からも産出する。


問題は工業力だが、1939年の中国降伏から2年間で中国沿岸地域に日本企業が大挙して進出して多数の新規工場を建てた。帝国陸海軍も軍需工場や造船所を新たに建設、拡張して中国大陸の生産力も軒並み上昇していた。しかしそれでもアメリカとの国力差はざっと10倍以上は開いている。が、史実の20倍差を考えると非常に高いと言える。これにより日本には資源を求めて拡張する必要もなくなり必然的にこれからは消極的攻勢に入ることとなる。


これにより補給のペースは十分に保たれ、開戦初期よりもゆっくり進軍したため余計に強化された。




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