賽はふられた。
かつ、かつ、かつ。
案内される最中視界に入るのはヨーロッパ旅行のパンフレットで載ってるお城や、大聖堂みたいな建物の構造。
現代の建物ならついているガラスの窓、アルミサッシは無く、綺麗な彫刻を施した大きな石柱や、壁には蝋燭立てが規則的な距離でついている。何より蛍光灯は見当たらない。
月並みたが、現実感がない。
「もう少しで試しの間につきます」
少し困った顔で、彼女は私達に振り向く。
「今まで勇者様は一人しか訪れてた過去しかなく、皆様が全員勇者ならとても有り難いのですが一応試さねば為らないので、ご協力ください」
眉が困った顔のまま、一枚岩じゃないのをうっすら感じる表情。
「仕方ないのだろ」
私はただ、答えた。
済まなさそうな顔の彼女は、スミマセンと言った後大きな威圧感ある扉の前で足を止める。
「この扉の向こうが試しの間です。皆様の能力と魔法適性検査をする場所ですが、皆様の中に全く能力がない方がいらっしゃったら“適性無し”として登録して頂く場所でもあります」
「そうなんだー」
大分軽い返事だな、チョコ○。
「その場合、適性無しの施設に入ることになり一定水準の生活は保証されます」
ご了承下さいね、と頭を下げる。
嫌な予感が止まらない。