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ひとを、ゆびでさしちゃいけません
ゆっくりしか進まなくてすみません。
“勇者”
それは、文字通り勇ましき者。
ある意味選ばれた者。
ある意味“殉職”しかない職業。
それを、彼女は言葉にした。
「“勇者様”御出でませ」と。
言葉が通じるだろうか、不安を私が口にするより先に、大きな歓喜の声でガッツポーズを決めているチョコ○君が彼女に猛突進。
小さくヒッっと悲鳴が彼女から聞こえたがチョコ○君止まらない。
むしろ鼻息荒く近い近い。
御目目爛々‼️ふんすふんす聞こえそうな距離に、小動物みたいに脅える女の子。
ごめん犯罪臭しかしない。
そんな彼、チョコ○君。
めっちゃ嬉しそうに、チョコ○君口開けて
「なぁ、今“勇者”って言ったか?」
なんて爆弾かましてくれやがった。
あ、こいつバカだ。ヤバそうなバカだ。係わりたくない。お馬鹿系男子だ。
同じことを思ったようで、我が親友観月の眉間は三本皺がよっていた。
「私は、此の国の第一王女アデェリアと申します。皆様のご来訪お待ちしておりました」
柔和な笑顔は、華が咲いたように可愛いかった。