期待を裏切られた時にすっげー頑張って言い訳する人
「期待してた」
「そう」
まだ半分以上残っている煙草を地面に擦りつけ、吸い殻入れに放り込む。
「だけど間違いだったらしい」
「貴方が勝手に期待したんじゃないの」
「その通りだ」
分かっているじゃないかと言わんばかりに指を向けた。
「期待を押し付ける事は構わないが、受け入れられる事を期待してはいけない」
「そうね」
空を眺めている自分を見つめながら、話を続ける。
「特に、普段期待してもいなかった事柄については、押し付け、見返りを求める傾向が強くなる」
「それで?」
「ああ、結論から言えば、単に自分が愚かだった、という事だ」
目の前を通り過ぎて行く車を目で追い、四台目を超えた時点で数える事を辞めた。
「嫌味でも言っているつもり?」
「そうだ。危うく、気付かれなければただの間抜けになるところだった」
「どちらにしても、今みたいな顔をしていたと思うけれど」
表情筋を心の中で叱咤しつつ、平常心を装う。
「そうだな」
相手が言葉を発しないのを横目で確認してから、再び口を開く。
「誰かに知って貰いたかっただけだ」
「そう」
「そうだ」
コンクリートの椅子から立ち上がる。
「またそうやって強がるの?」
「ああ」
「それに、一体何の意味があるの?」
振り返り、指を向ける。
「そんなもの、ある訳ないだろう」
短いですが、ここまで読んで頂きありがとうございました。もし感想等ありましたら是非。