表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/46

それぞれの役割

「……レルドナでは、すまなかったな」


 しばらく、海と空と白い鳥を眺めながら波の音を聴いていると、ディンが唐突に切り出した。

 

「え、急にどうしたんですか?」


 すまなかった、ってどれのことだろう? とマリィナは軽く首を傾げる。

 

 急に旅に出ることになったのは高原での出来事だし、別に謝る必要なんてない。

 レルドナでというと……。


「追われてたときのことですか?」


 でもあれは、もうとっくに謝られた。


「ああ。それと、宿でのことも」


 まだ気にしていたんだ、とマリィナは驚く。


「そんなの! 全然気にしてないですよ。旅をしてたらよくあることです、きっと」

「いや、あんなのはよくあることではないだろう」

「え、そうなんですか?」


 リューやフィールが動じることなく対処するものだから、めずらしいことじゃないんだろうと思っていた。

 もちろん怖いし痛かったけれど、でも結局大きな怪我などはしなかったし。


「そうだ。リューが慣れているのは、旅だからどうこうというわけではないしな。単純に職業柄だ」 

「そういえば、騎士様なんですよね?」

「ああ。リューは強いぞ。おれも敵わない」

「それは、知ってます」


 リューのなにがすごいって、強さももちろんだけれど、なにがあっても表情が揺らがないところとか、いつも冷静だったりするところとか。

 それでいて優しいし、気を配ってくれたりもする。


 ディンは、なにかを考えているようだった。


「……おまえは、おれも武器を手に闘うべきだと思うか?」  


 やがて、思いつめた声で、ディンが訊ねた。

 マリィナが驚いて隣を見る。

 海を見つめたままのディンの横顔は、どこか苦しそうに見える。


「わたしは……。ディンはディンにできることをすればいいと思います。剣士はリューさんがいるので、ディンがやらなくてもきっと大丈夫です」


 レットが神官で、ルテアが薬師で、フィールが鍛冶師で自分が楽師。

 そして、ディンは予言者。


 それぞれがそれぞれにできることをやって、目的を達成する。

 そのための旅を成り立たせる。

 それができるのは、とても素敵なことだとマリィナは思うのだ。


 自分に楽師としての役割が果たせるかどうかは、怪しいところだけれど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ