予言と計画
翌朝、レルドナを発った予言者一行は、気がつけば総勢六名という、当初の倍の人数になっていた。
「そろそろ予言ってのがほしいところだけど、なにかないのか?」
街道を歩きながら、フィールがディンに声をかける。
「あ、あるに決まっているだろう。なにが知りたいんだ」
「マリィナと高原に帰れるのがいつになるか、ってのは?」
「却下だ。そんなもの、予言する気にならん」
なんだかんだで、このふたりは仲がいいんじゃないかな、とマリィナは思う。
「あ、うちもそれすごい気になる。予言予言って言っとるけど、どんな風になるん?」
ルテアが興味津々で、ディンたちの近くへ寄って来た。
「だ……だいたいは夢だな。夢の中で、未来について知る。それをおれが伝えるわけだ」
「夢かぁ。じゃあ、寝とらんと駄目だけん、今は無理だね」
「いや、だが白昼でふと閃くこともなくはない」
「え、ほんと!?」
がっかりした風だったルテアが、きらりと目を輝かせる。
ルテアはレルトと同い年だと聞いたから二十一歳らしいけど、動きや表情が時々すごく可愛い。
普段は、リューと双璧を成す美人だけれど。
「ちなみに、行き先とかはもう決まっとるん?」
「もちろんだ。おれたちはこのまま進んで、パールフの街を目指す」
「パールフ?」
ルテアとマリィナは、顔を見合わせた。
わたしは高原から出たことがなかったから。
ルテアはこの国についてまだよく知らないからだろう。
ふたりとも、街の名前を聞いても、具体的なイメージが湧かない。
「海辺の街です。大きな港があるので、賑わいがあって、露店を見るだけで面白いと思います」
リューが端的に説明をしてくれる。
なるほど、とルテアとマリィナは揃って頷いた。
「海……」
マリィナは海を見たことがない。いや、天気のいいときなら、高原からでも遥か遠くに海が見えることはあるんだけれど、近くで見たり触れたりしたことはない。
「海が楽しみか?」
マリィナの反応を見て、ディンが訊ねる。
「はい。触れますか?」
「浜辺があるから、そこで触れる。波もあるし、広いから、最初は驚くだろうな」
「波……。楽しみです」
マリィナの気持ちを伝えると、ディンがふっと表情を緩ませた。
「ああ。存分に楽しみにしておくといい。美味しいものをたくさん食べさせてやるから、多少太るのは諦めてくれ」
太る……。
それは少し嫌だ。
けれど、期待の方が勝った。
「はい!」
マリィナは、元気いっぱいに返事をする。
「……で、今のは予言じゃないよね、ただの計画だよね、って誰か突っ込まないわけ?」
レットが最後尾を歩きつつ、指摘する。
「ちっ。余計なことを」
ディンが王子様らしくなく、小さく舌を打った。




