失態
「ルテア!」
レットに険しい口調で名を呼ばれ、ルテアは諦めたように、口を開く。
「一度もないとは言えん。最初、奴らに攫われて、意識を失った。気が付いた部屋は、ウィネヴィーのにおいがしとった。……でも、自分から使ったことはないけん……」
レットが厳しい表情を崩さないまま、更に問う。
「攫われた!? いったい、何があった?」
「それは……色々、だよ……」
ルテアの表情から、無理に聞き出すわけにもいかないとレットは悟ったようだ。
ひとまず、今は。
「急に問い詰めて、悪かった……」
レットは、そろりとルテアの肩から手を放す。
ふたりの様子から、枯れウィネヴィーの危険さを、マリィナは改めて感じていた。
「それにしても、こんなことになったんだし、もう組織に戻ることはできないだろ? まさか、ケヴィーは一緒じゃないよな?」
「ケヴィーは……」
ルテアが言い淀んだその時、階段のほうから、なにやら言い争う声が聞こえてきた。
「だからなんでおまえが一階にいたんだって言ってるんだ」
「連中を追い詰めただけだ」
「おまえは二階だけ死守してればよかったんだよ。そうすれば、全員片づけて、俺が二階までたどり着いたんだ」
「はっ、なにを言う、偉そうに。あの時点で二階に敵はいなかった。おまえが仕留め損ねた奴が、二階へ窓から侵入したからこんなことになったんだろうが」
「俺が下りた時、外にいた連中は、全員動けなくしておいた。二階に上がれる奴がいたとしたら、あとから駆けつけた仲間だろ」
「確認を怠ったのが……」
「警戒を怠ったのが……」
先頭を争うようにディンとフィールが姿を現した。どうやらふたりとも無事そうだ。
「いい加減にしてください。ディン様、話をきく限りでは、あなたの失策です」
リューに指摘され、ディンが、ぐっ、と言葉に詰まった。




