詰問
はあぁ、とレットが深い深い息を吐き出したかと思うと、気合を入れるようにがばっと体を起こした。
どうやら、ようやく呼吸が整ったらしい。
「レットあんた……」
「ルテア……」
「……相変わらず、体力なさすぎだわぁ」
視線を合わせて一拍おいたのち、ルテアが呆れたように言った。
「待てよ。ちょっと待て。おまえは勘違いをしてる。僕の体力がもう少しあったとしても、リューと同じように動くのは不可能だから。
ここからおまえらのあじとまで、走りどおしで往復したんだぞ? 息ひとつ切らさないほうが、どう考えたっておかしいね。
あいつ、必死に二階の窓までよじ上ろうとしてる僕を、すごく冷たい目で見上げてたかと思ったら、自分は足場の木箱をひと蹴りしただけで二階の窓に手をかけたんだ。と思ったらひょいと軽々と自分の体を持ち上げて……」
「あー、はいはい。わかったけん。そもそも、あんた、どこの窓から入って来たん? 部屋の窓には、注意しとったのに……」
「あっちの空き部屋だよ。戻って来たら、明らかに足場にしたと思われる木箱が窓の下にあったから、誰かがここから侵入したんだろうって話になって、僕たちも同じ経路を使おうってリューが言い出したんだ」
レットが親指で背後を示した。
ひとつ、ドアが開きっぱなしになっている部屋がある。
「騒動に乗じて、窓を壊して入ったみたいだね」
「あー、そうかぁ。油断しとったわぁ。そっちから入って来たんかぁ……」
ルテアがぽりぽりと額を掻いてから、あ、と思いついたように自分を襲ってきた男を縛りにかかる。
マリィナも慌ててそれを手伝った。
レットも近寄ってはきたものの、そのころには手際のいいルテアによって、男は縛り上げられていた。
「で?」
「で、ってなに?」
レットとルテアが再び向き合う。
「なんでグラトリアスに来てまで、こんな危ないことに手を出してるのかって訊いてるんだよ。許可なく枯れウィネヴィーを所持することと使用すること、これが禁止されているのはグラトリアスも、ネールディアも同じだ。そのくらい、知っているだろう?」
「もちろん知っとるわぁ。禁止されとるから、流せば高値で売れるんだけんね」
「強い副作用が出ることは?」
「使い方次第だけん」
「おまえは……」
レットが言いよどむ。
「なによ?」
ルテアがレットを鋭い目つきで睨む。
「まさかおまえ、自分で使ったりは……」
ルテアはすぐに返答をせず、黙り込んだ。
レットの整った顔が、歪む。
「どうなんだよ、ルテア!」
両肩をつかまれ、ルテアはレットからすっと視線を逸らした。




