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どこかで遊んでいる(?)ふたり

 マリィナは、なにが起きているのかわからずにいるルテアを突き飛ばそうとした。


「っ!!」


 そんなマリィナを受け止めながら倒れたルテアのすぐ脇を、男の短剣が掠める。


「ゲウォルズ!」


「ちっ」


 ルテアに名を呼ばれた男が、体勢を立て直しながら舌打ちをして、ルテアを睨みつける。


「裏切りは許されない」


「裏切ってなんか……」


「今この状況で、誰がそのたわごとを信じると思う」


「用さえ済めば、すぐに帰るつもりだったけん……」


「言い訳は不要。疑わしい者は始末するのが掟だと、おまえも知っているはずだ」


 男が、短剣を構え直す。


 ルテアとマリィナは抱き合ったまま動けない。


 ディンもフィールも戻って来ない。階下で時折音が聞こえる。あちらも離れられないのだろう。


 殺されるっ!! 


 マリィナはルテアに抱きついた手にぎゅっと力をこめて、目をつむる。 


 ごめんね、おじいちゃん。恩返しできなかった……。


 マリィナが覚悟を決めた直後だった。


 ひゅるひゅるとなにかが風を切る音が聞こえたかと思うと、ゴン、と鈍い音がして、マリィナはなにが起きたのかと瞼を開いた。


 と、白目をむいた男の体が、ぐらりとマリィナたちのほうへ傾いていた。


「いやあっ!!」


 マリィナとルテアは弾かれるように立ち上がって、男の下敷きになるのを免れる。


「だ、大丈夫か? ふ、ふたりとも……」


 いつの間にか、レットとリューのふたりが現れていた。


 レットはぜえぜえと荒い息をしながら、青い顔で、リューの後ろに立っている。


「レット!?」

「リューさん!」


 ルテアとマリィナが、驚きと喜びの声を上げる。


「入れ違いになってしまったようですね。戻るのが遅くなってしまって、すみませんでした」


 レットとは対照的に、息もきらしていないリューが、申し訳なさそうに詫びる。


「よかった。無事で! 助けにきてくれて、ありがとうございます!」


「無事でなさそうなのはマリィナさんたちのほうでしたね。よろよろと揺れるばかりで少しも前に進まないでくの坊を連れていたおかげで、時間をくってしまいました」


 うっ、とレットが息切れのあいまに呻く。


「そんなの……。とても助かりました。リューさんのおかげです」


「まあ、間に合ってなによりでした。……それにしても、残っているはずの男ふたりはどこで遊んでいるんでしょうね。少し、様子を見てきます」


 廊下に転がっていた長剣の鞘を拾って、リューが剣を納める。


 さっきのゴンという音は、どうやらリューが投げた鞘が、男の頭に命中した時のものだったらしい。


「レット、あとを任せていいですか?」


「え? あ、ああ。も、もちろんだ……」


 両ひざに手をついて俯いていたレットが、顔を上げて応える。


 そんなレットを疑わしそうな目で見やったリューが嘆息する。


「わかりました。すぐに戻ります」 

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